多重共鳴(MR)TADF発光材料のほとんどはホウ素と窒素の骨格でできています。これが狭い発光線幅を生む一方で、窒素ドナーがHOMOを押し上げるため、発光は450 nmより長波長側になります。400 nm付近のバイオレットは、この骨格では届きません。
窒素を酸素に置き換えるDOBNA型のコアなら発光はバイオレットに移りますが、今度はTADFが止まります。一重項三重項ギャップが広がり、逆項間交差(RISC)が遅くなるからです。
成均館大学のパク・ジンホさんとイ・ジュンヨブ教授らがLGディスプレイと共同でSmall誌に発表した研究は、CT経路をひとつ探すのではなく、複数のCT経路が同時に働く分子を設計しました。DOBNAコアに電子豊富なインドールまたはベンゾフランを融合させ、ホウ素のpara位にカルバゾールドナーを置き、テトラフェニルシリル基で立体保護する設計です。
結果です。トルエン中でBOID-Cz-Siは401 nm発光、半値幅27 nm、ΔEST 0.16 eV。BOBF-Cz-Siは397 nm、半値幅25 nm。10 wt% DPEPO膜でPLQYはそれぞれ95%と86%。分解温度は461 ℃と454 ℃で、真空蒸着に十分です。そしてDPEPOをホストにした一般的な素子で、420 nm発光、最大EQE 22.7%。バイオレットOLEDでは最高水準です。
駆動寿命のデータは論文になく、DPEPOホストの安定性は課題です。バイオレットはディスプレイの色ではないので、近い応用先はセンシング用UV光源やフォトレジスト露光、硬化工程などです。それでも、短波長MR-TADFではCT経路を複数開くという設計原理は残ります。
この素子構造に使われるDPEPO、HATCN、TAPC、カルバゾール及びテトラフェニルシランビルディングブロックは、弊社が昇華精製グレードで供給しています。バッチごとのCoA付き、グラムからキログラムまで。
LUMORA:https://www.lumorachemicals.com
LAMKO(受託合成・CRDMO):https://www.lamko.co.kr
全文と素子構造:https://www.lamko.co.kr/research-highlights/boid-cz-si-pure-violet.html