最近はご無沙汰していたけれど、久し振りに胡散臭い物を見かけたので。
慣性利用~ドライバーセット
要はドライバー内にフライホイールを内蔵する事で「慣性の法則によりドライバーを力を入れなくてもくるくる回せますよ」って言いたいらしい。
宣伝ページの動画でも、机の上でくるくる軽い感じで回るドライバー本体が映っている。
動画の1つには、あたかもネジが軽~くねじ込まれて行ってますよって感じの物もあるけれど、本当に胡散臭い。
どちらかと言えば、すでに1度先行してネジを通した穴に作業をしているようにしか見えない。
まぁ、本当に優れているのなら、フライホイールの効果でドライバの軸が安定して「しまったー!ネジを斜めに打ち込んでしまったー」なんて失敗はなくなるかもしれない。私は信じていないけれどね。
でも、そんな期待よりこの大きさで慣性の法則を期待するためには余程重いか(と言いつつ、本体重量は300gとなっている)余程大きくなければならない(けれど、大きさは写真で見る限り然程大きくはない)だろう。その程度の重さでどれだけの慣性を発生させられるのだろうか。
また、慣性の法則を利用した効果でネジが軽く締めこめますって言うなら、そのフライホイールの回転=ビットの回転となるのだろうか。多分減速機構を入れる程の余裕はないよね。だとしたら、ネジはかなり高速回転しようとしている。果たして狙った場所に狙った力で、狙った深さまでコントロールして締めこめるのだろうか。締め込みトルクが指定されたものに使えるのだろうか。
何より、ネジを締めこんでいく時の摩擦抵抗に打ち勝てるほどの慣性を発揮できるとは到底思えない。つまり「ネジを締める道具ではなく、机の上でコマとかしばらく前に流行ったハンドスピナーのように回して遊ぶ道具じゃね?」と言うのが私の見立て。
既に120人近い人が購入しているようだけれど、本当にこのドライバーは役に立つの?
個人的には最大の敵にしかお勧めしたくないな。
うん、最大の敵なら「勝手に使ってみたら~」と良心の痛みなく勧められるかな。
そして、それより親しい間柄の人には「機能は眉唾。もし機能が発揮できたと仮定しても、組み立てにはお勧めしない。分解専用ドライバじゃね?」と注釈をつけると思う。
最近の安かろう家具は化粧板、合板を使ってねじ止めして組み立てる物が多い。そんな材料にこのドライバーを使ってネジを締め込んだら(宣伝通り完成の法則が効いて、軽い力でねじが締めこめる前提なら)
- 板に穴が開く
- ネジがバカになって空回りして接合がゆるくなる