梅干し(塩分22%)…日本人でよかったー!なおいしさだった | lummoxの長い1日

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駄文、散文、写真、絵日記…何を書くかわかりませんが、その日の気分で…

私の実家の近所に高雄さんと言う名前のおじさんがいた。

それだからと言うわけではないけれど、新潟の片田舎に引きこもって育った私は、初めて「南高梅」をみた時、下手ベタ(*1)だけれどマジに「この梅干しは『みなみたかうめ』さんが作ったんだな」と思ったものだった。

 

大粒で実がシワシワフヨフヨの梅干しも、小ぶりでカリカリの梅干しもどちらも好きだし、私の実家で作っていた大粒でカリカリ気味の物も大好き。

 

そんな私が「許せねー!」と憤るのが「減塩」とか言っている梅干しの偽物だ。

減塩が好きなら梅干しなんて食わなきゃいいんだよ!

梅干しの塩分はすごく高い。

そんなのは了承済みだ。

例えば「お肉が好きだ」からと言って、一食で肉を1kgも食べる人は一般的ではなかろう。

大食いの人は兎も角、一般的な食事量の人は、どんな食べ物であれ、自分に合わせて量を調節して食べるはずだ。

梅干しだって、当然食べる量を調整して自分に合った分量を食べれば良いだけだろう。

「1個食べたらすごい塩分なんですよ」とか言っている能天気な人(ここに阿呆と書きたい自分を必死に抑制している)は滅べばいいと思うくらいだ。

 

話は横に逸れるけれど、昭和の中頃まではね、物流もそんなに発達していなかったし、当然通販なんて手段もほぼなかった。なので地産地消が当たり前に近い環境だった訳で、そんな中で雪国の人たちは冬になれば食糧難になることも珍しくなかった。そんな環境の中で漬物だとか干物だとか塩漬けだとかさまざまな保存方法ができたんだよ。

 

私の田舎では塩鰯なんていうのがあって、単純に鰯を塩につけただけのもので、塩で水分が抜けきって、身の色が真っ黒に近い焦茶色になるまで漬け込まれたそれ(うちでは「しおいわし」と呼んでいたけれど、「いわしのしょっから」という名前が通り名らしい)は(*2)つま爪(*1)先ほどの身を舐めただけで梅干しを10個くらい食べたような強烈な塩っぱさが口内を襲う。これだけでご飯を茶碗一杯食べられそうな勢いだ。

それを一匹丸々食べるかと言うと、多分食べるやつはいない。いるとしたら、何も知らずに出された県外の客人が残してはいけないと無理をした時(*2)か、塩っぱいものが大好きな命知らずくらいだろう。

 

冬はそんなものしか食べられなかったので、東北の人の寿命は他所に比べて極端に短かったんだ。

そりゃそうだろうな。塩分ばかり摂取して、酒を飲んで寒さを凌ぐような生活をしていたら、腎臓病一直線だよな。

昔はそんな将来の心配より「今」を生き残る事に一生懸命だった。だから仕方ない選択肢だった訳だ。

 

しかし、今は物流も発達し日本全国どこでも一年を通じて野菜や魚肉は豊富に出回っている。もう保存食が保存食である必要がないため、はちみつ漬けだとか減塩なんていう「もどき」食品が大手を振って出回ってしまう時代になったということなのだろう。

 

はちみつ漬けや減塩のような「もどき」商品であっても、食べられないよりはそれでも良いと選ぶ人もいるだろうし、保存食である必要はないのだから、美味しいと思える味に変えていくというのもありなのだろう。うん、先に「阿呆」と言いたいということは訂正させていただく。単に私はそれを必要としていないってだけだ。

「塩っぱい」と思って口に含んだ梅干しが甘かった時の衝撃…何も言わずはちみつ漬けを出されて口にした時の衝撃を私は20年以上経った今でも忘れていない。そして今もその気持ち悪さが蘇ってくる。もし、最初に「はちみつ漬けなんですよ」とだされたら結果は違っていたと思う。しかし、地面だと思って踏み込んだら落とし穴だった…そんな驚きと衝撃と言えばいいのかな。兎に角「何を食わされたんだ!」って恐怖だったんだよ。

 

閑話休題

 

(塩分が高い)梅干しの問題は、食べようと思えば食べられる程度の塩っぱさで、それに慣れている人には「おいしい」と思わせ、更に「塩分は目に見えない」と言う罠が併設されていると言うことなのだろう。

「お腹がいっぱいだからもう食べられない」「こんな辛いもの無理」など、具体的にやめるべき信号がない。

気がついたら、若しくわ気をつけたら「こんなすごい塩分だった」となるので始末におえないのかもしれない。

 

ダイエットを始めて塩分を意識し始めてからは当然だけれど、考えてみるとここ10年くらい梅干しを食べていなかった。

2020年9月30日にもその事に触れているけれど、この家に引っ越してくる前は毎年のように梅干しを漬けていた。

それが幾樽にもなって、年毎の味の違いも楽しめるようになっていたのだけれど、今の超ウルトラスーパー狭小住宅デラックススペシャルを建(*1)てて義両親と同居をし始めた時に、台所の主導権を持つ義母に樽を預けた所、全ての樽の中身を一緒にされ、更に砂糖を加えられた。

「甘い梅干し」は義母の故郷である福島では「あ・た・り・ま・え」なのだそうだ。

はちみつ漬け梅干しのせいで「2度と外では梅干しを食べない。信じられるのは自分でつけた梅干しだけ」となった私に追い討ちをかけられた次第。

 

その時以来、美人のお友達が鰯の梅煮を作ってくれた時、そしてその時に余った梅干しを食べた時以外ほとんど食べたことがなかった。それももう5〜6年前のことかな。

 

ずっと無しで過ごしてきたから、もう無くてもいいや…とならないものなんだね。

スーパーの売り場で梅干しを見ちゃうと「食べたい」って思っちゃうのが不思議。

普段は、すぐに振り切れるんだけれど、今回はちょっと誘惑に勝てなかった。

それは、「減塩」という宣伝文句が目立つ中「塩分22%」という文言が目に入ったから。

同じシリーズで5%、8%などいくつかの塩分の物を作っているようだ。

塩分22%なら、減塩はしていない。

原材料が梅と食塩のみであることを確認し、ついついカゴに入れてしまった。

 

 

不覚にも「塩分22%だと、100gあたりの塩分は何g?」とか考えちゃったよ。

22gに決まってんじゃん!

 

今日の不健康な夕食。

作り置きの貧乏丼(世間では豚丼)の具、八幡屋礒五郎の一味、岩下の紅生姜、サラダ、チーズ、焼売、梅干し、玄米。

 

 

 

貧乏丼の具は、バラ肉では無くロース肉を使用し、一夜置いて固まった脂を取り除いて一応ダイエットの面目としている。

梅干しは1/2個を食べた。10.9gでカロリー3.924kcal/塩分2.398g

 

梅干し1/2個で塩分3g!強力だね。

以前にも書いたけれど、私はしばらく7g/日の塩分量を意識していた。

今は栄養指導から10gを上限としている。

もし、梅干し1個食べたら約6g。(*2)以前の制約なら、これだけで1日分の塩分はおしまいだ。

 

身近(?)なものと比較すると、日高屋の和風つけ麺が塩分6.1gだそうだ。

そのつけ麺1杯と梅干し1個が同等の塩分。

そう考えると凄いよな。

 

素朴な疑問なんだけれど、東北などの冬が厳しい地方で塩漬けなどの保存食量が発達するなら理解できるんだけれど、年中アロハシャツで過ごせそうな温暖な和歌山が梅干し王国っていうのはなんでだろう…

 

そういえば、昔勤めていたブラック企業の社長は和歌山出身で、ある時、大阪の仕事をとってきた。冬の大阪に出張となった時「大阪に雪は降らないから。アロハシャツでも持っていけば快適に過ごせるよ」と送り出された。その日は夜を徹して仕事場である広い倉庫にコンピュータを設置し開発したアプリのインストール及び(*2)設定する仕事だったのだけれど、その日の夜は何年だったか何十年ぶりだったかの大雪に見舞われ、追い打ちをかけるように仕事場に設置されたストーブは夜中の1時頃に灯油切れを起こしてくれた。皆が凍えながら「寝たらあかん」「寝たら最後だぞ」と声を掛け合い、なんとか朝を迎えた。朝の7時、出張先の専務と社長が倉庫に飛び込んできて「本当にごめんなさい」と土下座する勢いで謝ってきた。

「謝るってことは、灯油切れは確信犯だったんですね?」というと「ひらにひらに」と更に頭を下げる。

結局、その日の朝定食と、夜のカニ道楽での接待で手を打った、バブル崩壊直前の思い出。

 

それから何年もしないうちに、次は和歌山の仕事だという。

「和歌山なら社長が行けばいいじゃん。地元なんでしょ」というけれど、そこで求められているのはC言語ができる人。

となったら行くしかねー。

その時も冬だったので、「あの大阪があったからなー」と言ったら「今度こそ!和歌山に雪が降るなんてありえない」「和歌山こそ本当にアロハで過ごせるから」(*2)と断言された。でも、大阪があったからなー…

 

案の定、和歌山に着いたら雪が降り始めた。

私は雨男のつもりだったのに、雪男だったのか?

 

余談の余談だけれど、この時、初めて和歌山に行ったんだ。

で、マクドナルドでハンバーガーなどを買ったんだよ。

そしたらカウンタ向こうにいた高校生のアルバイトと思しき女の子から「ありがとー」(とーのあたりにアクセント)と言われた。

「ん?」(なんね?この生意気な態度は)と一瞬思った。でも、たまたまそんな子だったんだろう。

 

で、次は食堂に入った。

食べ終わってお金を払った。レジのやはり高校生らしい女の子が「ありがとー」という。

これでようやくわかった。これこちらの方言というか、地元での標準なんだって。

 

わかってしまえば可愛いと思えるけれど、東京方面の常識しか知らないと「え?」となってしまう。

まぁ、そんな地方限定の常識は色々あるよね。

それを初めて(強烈に)体験した記念すべき思い出。

 

 

…「温暖な年中アロハの和歌山」の由来はそんな経緯だ。なので、その言葉は絶対に信じちゃあいけねーよ!

 

再度閑話休題

 

横道で語った通り、温暖であるはずの大阪や和歌山にも雪は降る(日もある)。雪は降らなくともそれなりに冷える。

寒冷地、極寒冷地の人からすれば「半袖で十分」な暖かさだとしても、その地しか知らない人には寒冷地なのだ。

実際、私も新潟から上京した時は、特急が豪雪で数時間足止めを喰らうほどの中から出発したため、結構重装備をしていたんだけれど、上野のホームに降り立った最初の感想は「熱帯だ!」と思ったし、その年の冬を迎えても「東京はTシャツ以外服はいらねー」と思った。なのにファッション誌は溢れているし、それに踊らされて重ね着をする変態(と私の目には映った)が溢れているし、本当東京っていうのは見栄だけで生きていく人のなんと多いことよと思ったよ。寒冷地の人にとっては、東京でさえ熱帯の南国だ(真冬の北海道から飛行機でやってくれば、2時間の間に気温差が30度なんて普通にあることだ)。

 

だから「なぜ、あの温暖な和歌山で保存食を?」と思うのも間違いなのだろう。

あの温暖、亜熱帯な和歌山でも、住んでいる人には冬は寒いのかもしれない(行ったことはあるけれど、住んだことはないので疑問形でご容赦)。こんな暖かい土地でも冬は保存食に頼らなければ食糧調達が大変な時代もあったのかもしれない。その辺りは残念ながらわからないけれど、兎にも角にも、保存食云々はどうあれ、梅干しという文化が和歌山という地に根付いて、美味しい梅干しを生産する土地になったというのは、幸せなことであると思う。

 

そう、先日経験した久しぶりの「削りたての鰹節」が本当に食事を楽しくさせてくれたのと同じく(今日の貧乏丼も削りたて鰹節で出汁をとっている)、塩分22%の梅干しも食事を楽しませてくれた。

肉片をちょっと千切って舐めるように口に含むとふくよかな香りと共に酸っぱみが広がり、一緒に放り込んだご飯に合わさって「日本人でよかった」と心から思わせてくれる。本当に涙がちょちょぎれそうになったよ。

やはり「これぞ日本」という食事は心を温かくしてくれるね。ありがたい話だ。

 

しかし、前述したように塩分はとても高いのでバクバク食べるわけにはいかない。

妻とも食べた分の重量から塩分を計算した結果を見て「これは毎食食べるとか、1個まるまる食べるとかはできないね」と確認をしつつも「これぞ日本人の贅沢って事で時々はやろうね」ということに至った。

 

今回買ったパックは5粒入り。2人で5日分。

1個か2個は梅煮やドレッシングなどに使うことにして、後はちびちび楽しんで日本人を堪能する。

次の「日本人でよかった」は何が来るかな…

 

*1:2023/04/10 02:40 誤字訂正

*1:2023/04/10 02:44 文章追加