妻が帰宅して、タイムシフトで録画されている、昨夜放送のアメトークを見ている。
今回の特集は革ジャンらしい。
番組冒頭から、誰の発言なのか不明だけれど、「革ジャン着ててもそんなに暑くないから」と言うような言葉が耳に飛び込んできて、耳を疑った。
その後も、様々な人が革ジャンを着ていて「ぶるぶる震えた」とか言う。
私はどうしても耳を疑う。
私は零下10度くらいだったら、Tシャツの上に革ジャン1枚で十分温かいと感じる。風を完全に遮ってくれるのだから寒い筈がないでしょと思う。
風速が1m/s増す毎に体感温度は1度下がるという。
革ジャンは風を遮るから、風が吹いても体感温度を下げる事はない。けれど保温性はないから、体温を留めておくことができず、気温が低ければ寒いと思うのは理屈としては理解するけれど、私は革ジャンを着ていて寒いと思った事がないんだ。
少なくとも東京都内だと、私が革ジャンを着る事ができるのは12月から2月までの3か月くらい。それもかなり無理をしての期間だ。それ以外の時期はTシャツの上に革ジャンと言う装備でも暑くて汗が流れて気が遠くなりそうになる。
時々真夏にパンク信者らしい格好をした人を見かける事があるけれど、彼らはどうやって暑さ対策をしているのか、それとも単なる鈍感なのか、物凄く不思議だった…まぁ逆に言えば私の方が寒さに対して鈍感とも言えるのだろうけれど…
バイク乗りとしては、真夏でも半袖で乗り回すなんて阿呆のする事と言う認識がある。常に最悪の事(転倒する事)を考え、肌の露出は避けるという事だ。
遥か昔の若かりし頃、通勤だからと背広姿でバイクに乗って、練馬から浜松町の会社へ向かっていた。
目白通りから明治通り、新宿通りを経由して皇居の前に出て、内堀通から晴海通りを経由して…ローカルな話で申し訳ない。
その皇居前で、右折しようとしたら砂に乗って派手にこけた。
背広もワイシャツも、ズボンもボロボロに破れた。
皇居を警備する警察官が「すごい事故だったねぇ」と他人事の様に笑いながらバイクを起こすのを手伝ってくれた。
それから会社に「単独事故の処理で遅刻します」と連絡をした。当時は携帯電話なんて夢の道具だったので、公衆電話で連絡をしたんだけれど、その公衆電話の足元は半地下の喫茶店があってね、ボロボロに破れたズボンから覗くパンツ姿を、その半地下の喫茶店の窓からモーニングを食べる人たちが可笑しそうに眺めていた。恥ずかしかった思い出。
バイク屋にバイクを引き取りに来てもらって、ようやく落ち着いて自分の体を見たら、腕や足が真っ赤になっていた。大きなけがはしていなかったけれど、右手の手首から肘まで、膝周りがきれいに一皮むけていた。結局その日は会社を休んだよ。でもあのほぼ半裸に近い格好でどうやって家に帰ったのか覚えていない。多分哀れに思ったバイク屋が送ってくれたんだったような…まぁ、そんな経験をしないと「私は事故なんかしません!」って他人事のように考えるんだろうな。
バイク乗りにとって、革ジャンとか革のつなぎはファッションじゃないんだよな。自前の皮を守るための革なんだよ。
なので、私には「革ジャン=実用品」と言うイメージがあるんだけれど、ファッション業界、パンク業界の人には違うんだねぇ。
まぁ自分の知らない世界について語る事はできないし、知識もないので、ファッション革ジャンは実用品とは違う物なんだろうなと納得する事にした。