この製品の魅力が中途半端で… | lummoxの長い1日

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駄文、散文、写真、絵日記…何を書くかわかりませんが、その日の気分で…

 

今日の獲物は、特別魅力的でもないけど、特別残念でもない。丁度その中間位の物…でも「普通」とは違う…

 

「ミントチョコを思わせるタイプライターワイヤレスキーボード」

 

まず、タイトルが残念だ。

アンティークな機械式タイプライターのデザインを踏襲したところが売り物だろうに、なぜ「チョコミント」????

 

私もiPad Proの為と言う訳ではないけれど、それに使えるワイヤレスキーボードは2つか3つ持っている。Appleの純正キーボードと、折りたたんでコンパクトに持ち運べるキーボード、折りたためないけれどコンパクトに持ち運べるキーボードかな。

 

でも、別々に持ち運ぶより、フリック入力で良いやと思えるようになったので、最近はキーボードをわざわざ持ち運ぶことが無くなった。

もし、ケースと一体になるとかコンパクトにまとめて持ち運べるものなら使うかもしれない…いや、キーボードの重さが折角の機動性をスポイルするとなれば、本当に長く使い続けるか怪しいな。

 

このキーボードは、「気軽」に外に持ち出す大きさではない。専用のポーチが用意されているように、大掛かりな覚悟をもって「さぁ行くぞ」と気合を入れないと持ち運ぶのは大変だ。けれど、「だって、かわいいんだもん(はあと)」と言う錦の旗をもっている製品は強い。その旗の元、全ての罪は許されてしまう。

 

私は長年ソフトウェア開発に携わってきた。と言う事は否応なくキーボードとお付き合いをしてきた。が、それより以前(中学生の頃)から機械式タイプライターを使っていた。高校に入る頃には、すでにタッチタイプができるくらいだったんだ。

 

今時の人は機械式タイプライターなんて見たことないだろうな。

「オリベッティ」とか「れってら」とかのキーワードで検索すれば機械式タイプライターの画像がいろいろ出てくると思う。

 

今時のプリンタは用紙を送り出すと、印字ヘッドが左右に動いて印刷をしていく。しかし、機械式タイプライタは印字位置は完全固定で、用紙の左右送りや行送りは全て用紙が動く。そして改行作業は手動操作なのだ。(*1)

キーの先にアームがあり、その先にキーに対応した文字の活字がある。

文字は、それぞれのキーにアームがつながっていて、その先にキーに対応し活字がついているそのアームは半円状に、同心円状にラジオ並んでいて、どのキーを押しても、どのアームも同じ1点を叩くように配置されている。(*2)

ピアノと同じで指で打つ強さに応じて活字が用紙の前に置かれたインクリボンを打ち付けて用紙に文字を印字する。

印字は、用紙の前にあるインクが染みたリボンを活字で叩くことでなされる。つまり、印字の濃さはキーを叩く指の力に比例して強くなるということだ。(*2)

なので慣れない時、疲れている時などは力の弱い(*1)小指担当の文字がかすれやすかったりしたものだ。

兎に角、そうやって一文字ずつ打鍵していき、用紙の右端まで打鍵するか、開業改行(*3)したい場所に来た時、タイプライタ左側についたCarriageReturn(きゃりっじりたーん(CR))レバーを右に押し込むと、用紙が1行分送り出されながら、用紙を挟んでいるローラーが右端に移動することにより、印字位置が用紙左端に移動するのだ。パソコンなどで「Return」キーを押したら改行して左端にカーソルが移動するのと一緒だ。昔の純粋な機械式タイプライタでは、その動作をレバーで行っていたという事だね。

機械式タイプライタでは、調子に乗ってガチャガチャ打っていくと、いくつかのキーが同時に印字位置に集まる結果、活字同士が場所を取り合って、結果キーアームが動かなくなってしまう事がある。丈夫なので壊れる事はなく、「あーあ仕方ないなぁ」とホームポジションから手を離して、手動でアームを元の位置に戻してやるだけで治るんだけれどね。ガチャガチャ音を立てて1文字ずつ文字を打っていく。打ち間違えたら「BS」キーを押せば前の文字が消え…るはずがないので、「BS」キーで印字位置を1文字戻して、修正テープを用紙とインクの間に挟み込んで間違えた文字を打つ。そしてもう一度「BS」キーで印字位置を戻して正しい文字を打ち直す。カチャカチャ打って、レバーを右に押し込んでチーン(CarriageReturnをすると、ベルが鳴る仕組みがついているんだ)。このリズムがとっても好きだった。

 

だからさ、このクラウドファンディングを見た時も、一目で「機械式タイプライタの郷愁を求めているのかな」と思った。なのに「チョコミント」かよ。まぁ機械式タイプライタに郷愁を覚えるっていう世代に訴求するより、チョコミントに「かわいいっ!」となってくれる世代に訴求した方が売れるってもんだよな。確かにさ。

でも、それならなんで機械式タイプライタの姿に拘ったのかね。

ただ単に「かわいいから」なのかな。

 

残念ながら、このタイプライタは、そのCarriageReturn(キャリッジリターン)レバーにはマクロ関係の操作機能を盛り込んでいるみたいだ。もし、これが機械式タイプライタみたいにこのレバーを右に押すことで改行されますって機能になっていたら、もしかして何も考えずにポチってしていたかもしれない。

 

そこまで書いて、そう言えば以前にもレトロタイプライターを模したキーボードを見た記憶があると思い出して調べてみた。

 

そしたらビンゴ!

値段は高いけれど、やはりレトロタイプライタを模したキーボードで、こちらはきちんとCarriageReturnレバーとして使えるし、その他の機能を割り当てる事もできるそうだ。

値段は倍違うけれど、どうせ買うならこっちかなぁ。

 

このキーボード抜きにしても、ミントチョコキーボードはかわいいと思うし、目を引くデザインではあるけれど、「絶対にこれを買いたい」と言う衝動買いをさせるだけの力がないのが残念だった。

うん、「かわいい」「これは絵になる」と思えるなら買って損はないと思うんだ。そう思える人にならね。でも残念ながら私は「チョコミント」とキーボードの関係に「?」だし、「レトロな」キーボードと訴求したいならキャリッジリターンレバーの機能が残念だしって事で、「私には」購入対象とはならなかった。ちょっと魅力的でちょっと残念まさにそんな製品になってしまったんだ。残念。

 

 

 

そうそうここから先は余談。

本文とは全く関係ない与太話…

機械式タイプライタではJIS(日本語)配列なんてなくて、いわゆるascii配列(USキー配列)かユニバーサル(欧米向け…ドイツ語やフランス語の特殊文字も割り振られている)配列しかなかった。
なので、そんな私が機械式タイプライタからコンピュータ屋になる時に経験したのは…

  1. 機械式タイプが電動タイプに…機械式だと文字がかすれないようしっかり力を入れて打つために知らず知らずの内に小指に力が入っていたようで、電動タイプに変わってすぐの頃は、知らぬ間に「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」と画面いっぱいに打たれている事が多かった。これを矯正するの結構時間かかったな。
  2. ユニバーサルからascii(US)そしてJIS(日本語)配列への順応…それまでそれしかなかったから、それに慣れていた。なのに違う環境に慣れろと強制される。大変だったけれど、慣れって怖いよね。「*」や「@」の位置を確認すると自動的に頭の中でキーボードが切り替わって、間違う事無くタッチタイプできるように進化できたよ。もう今はascii(US)配列忘れちゃっていると思うけれどね。それらには対応できたのに、かな配列とか親指シフトとかには慣れることができなかったのはなぜなんだろう。

 *1:2021/10/05 18:08 説明文追加(以前補足したはずなのに消えている…)

*2:2021/10/05 18:12 文章訂正

*3:2021/10/05 18:15 誤字訂正