フールプルーフ… | lummoxの長い1日

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駄文、散文、写真、絵日記…何を書くかわかりませんが、その日の気分で…

ソフトウェア開発を生業にして長いけれど、ソフトウェア開発にとどまらず、物を作って提供する立場の人を悩ます一番の厄介ごとと言えば、「フールプルーフ(fool proof)」だろう。
 
読んで字の如く(字面を直訳すれば)『バカ(愚か者)対策』…本当にバカを対象にしているのではなく、例えば初めて使う人、とても不器用な人でも使い方がわかるようにする事だったり、どんなに滅茶苦茶な操作をしても安全装置を働かせはしても修理を呼ばずに済むようにする事だったり、平たく言えばどんな使い方をしても壊れないし異常も来さないように作るって事。
 
言うのはとても簡単だ。「壊れちゃダメ」これで済む。
でも、それを実現するのはとても難しい。
昔の有名な話で、電子レンジの使い方にダメと書いていなかったから濡れた猫を乾かそうと電子レンジに入れスイッチを…と言うのがある。
それは極端と言いきれないくらい、開発する側も様々な事象を考え、その対策を組み入れてプログラムを作るのだけれど、いざ運用が始まると「なぜ!」「どうしてこんな使い方をする!」と「?」ではなく「!」が付くほどのびっくりするような使い方が次々と現れるのが常だ。
人は経験を積んで失敗を修正していけるはずだ。コンピュータが実用になってかなり長い時が経つ。その間に蓄積された失敗の量は膨大だから、そろそろネタが尽きても良いはず…そう思いたいのだけれど、ネタは尽きることがないように見える。
果たして作曲家が「もう盗作にならない曲は見つかりません」と言うのとどちらが早いのだろうと思うくらいだ。
 
また、例えばある店で寛いでいる時、ある人は「寒いから空調温度を上げて」と言うけれど、その隣では「暑いから空調温度を下げて」とお願いすることがある。同じ温度でも、体感温度は人それぞれなので、暑くすれば寒がりな人には迷惑だし、寒く擦れば暑がりな人に迷惑でどこにも正解のない問題も普通に存在する。つまりどんなにコンピュータの処理速度が速くとも、どんなに膨大な情報量を扱えるとしても、はたまたどんなに優秀なAI(Artificial Inteliigence)を持ち込もうと、回答が得られない問題が存在するという事だ。
 
いや、そこまで問題を大きくしなくとも、良かれと思って「これでもか」ととどめを刺した「愚か者対策」が逆に愚か者を作り出すこともある。
 
さて、私の今日の昼飯は、以前買い置いたセブンイレブンの冷凍食品「とみ田のつけめん」だった。
袋から麺と漬け汁を取り出して、それぞれ電子レンジで温めて、麺を水で冷やして盛れば出来上がり。本当に手軽においしいつけ麺を食べることができる。ありがたい食品だ。(麺が多すぎるトいうのは私のわがままだ)
さて、外袋に書かれた説明では
凍ったままの具付麺を、具材を上向きにして透明の袋ごと皿にのせ、電子レンジで右記の通り過熱してください。
とある。
袋を見れば、具材ははっきりわかるし、間違いはない。問題ない。
ただ、「なぜ、袋を直置きではダメなのか」が未だよくわからない。
 
 
次はスープだ。
こちらは
袋を開けずに、蒸気口のある面を上にして皿に置き、電子レンジで右記の通り過熱してください。
とある。
改めて見ると、袋には写真のように書いてあるから、間違えるはずがないだろう。

 

しかし…

この袋の裏には、ご丁寧にも写真のような注意書きが書かれていた。

 

 

 

他の料理も並行して作りながら、「この手の料理には慣れているから間違いようもなかろうもん」と高を括って(油断して)いた私は、あろうことか、この注意書きのある方が上だと何も疑わずセットして電子レンジをスタートさせた。ほぼ1分が経過したころ、レンジの中から「ボン」と言う嫌な音がした。

 

レンジを開けてみると、案の定、スープが漏れていた。

ただ、意味も納得せず、とりあえずと袋を皿の上にのせて加熱していたので、多くのスープは皿に残ってくれたので麺をゴミにせず済んだ。もしかしてこういう事態を予測しての予防策なのだろうか…

 

先ほどの外袋の注意書きを改めて読むと、引用した文章に続き

(蒸気口のある面を下にしますと、中身が出ますので、必ず蒸気口のある面を上にしてください。)

と丁寧にも書かれていた。

 

麺のようにわかりやすい具材と言うシンボルもなく、間違いやすいから、「裏面にも注意書きを書いて置けば間違う人も減るだろう」と言う親切心なことは明白だ。けれど、「表にはこっちが上と書いてあるけれど、裏には何も書いていないのが当たり前だろう」と思っている人には、なにか書いてあるというだけで、表裏を間違えてしまう、余計なお世話になってしまうのだ。

 

間違っても今回の私のミスをセブンイレブンのせいだと転嫁するつもりはない。これだけ親切に注意を書いてくれているのを、熟読もせず、勝手に理解したつもりになって、いい加減な確認の元調理をした私が悪い。そこに疑いの余地はない。

 

単に、フールプルーフとして、これでもか!と頑張った結果が裏目に出てしまう事例もあるという一例なだけだ。

 

では、どうすればそれをも防げるのか…

先にも書いた通り、どれだけ注意を払っても、トラブルは絶対になくならない。なくならないにしても、少しでも少なくするためには、できる限り分かりやすくすることが大切だ。

今回も、外袋にはきちんと注意書きが書かれているにもかかわらず、スープの袋に表と見紛う注意書きが裏にもあったため、「裏には何も書いていないはず」と思い込んでいて間違いにつながった。妻にもこの話をして袋を見せたところ、「裏にも注意書きが書いてあるなんて想像もしていなかったわ」と同意していた。

ならば、裏と表で注意書きの色を変えるとか、わかりやすい区別の方法を提供し、それを外袋の説明に明記することで今より誤解される機会を減らすことができるのではないだろうか。

 

そう、日々そんな努力を開発陣は続けているのだ。それでも間違った使い方はなくならなくて、泣きそうになりながら対応の日々…あぁそんな世界から足を洗えて心底ホッとしている。平和な日々っていいなぁww

 

 
 
 
 

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