昇華型プリンタで思い出した…MD5500と機械式タイプライター | lummoxの長い1日

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駄文、散文、写真、絵日記…何を書くかわかりませんが、その日の気分で…

今日3度目の更新(連投)

 

先に書いたアルプス電気のMDシリーズ

私も愛用していた。

 

インクジェットと違いインクがにじまない。なのでインクジェットでは多分判別が難しくなる4ポイントとか極めて小さな文字も鮮明に読める。このおかげで、仕様書を書くのがすごく楽になった。

 

こんな細かい字で説明をくどくど書かなければならない時点で、その仕様書は「あまりよくない物」なのだけれど、ブラックな企業で寝る時間を削られ、夢の中でデバッグも強制される企業奴隷にはそんなところをきれいにするより、とにかく「ちゃんと説明書いたからね」と言う実績が欲しかった。小さい文字で説明を今以上に書き込める事が、数分の睡眠時間を捻出するのにどれだけ役立ったことか…

 

更に妻の顔をも忘れるんじゃないか、永遠なんじゃないかと言う会社拘束の時間を何とか生き延び、久しぶりに帰り道を思い出しながら自分の住処へ帰ってみると、ついこの間は「夏休みになったら海に」とか誰かが言っていた筈なのに、「年賀状をどうする?」とか言われて、私の夏と秋はどこに行ってしまったんだと愕然としつつ、折角アルプス電気のMD5500があるのだから、伝家の宝刀「金色インクー」を使って、何となくおめでたい気分を演出した年賀状を作ってやろうじゃないかと張り切ったものだった。

 

このアルプス電気のMDシリーズは小さなカセットにインクテープが巻かれていて、印刷する度にテープは回っていく。例えば細い罫線1本しか引いていなくても、一度使ったインク面は二度と使えない(使ったとしても、前に印刷したところはもうインクがないので…当たり前だ)。

だから、このプリンタしかない自宅に会社の仕事を持ち帰って、エクセルなどの表を印刷するのはものすごく嫌だった。

ベタを印刷するなら、そのテープ面は十分仕事をしつくしたねと見送れる。しかし細い罫線1本しか引いていなかったり、「.」しか印刷していないのに無情にもテープが回っていくと、お金をどぶに捨てている気持ちになった。

多分、これはSELPHYでも変わらないだろう。

変わるはずがない。SELPHYのインクカートリッジを本体にセットする。使おうが使うまいが、用紙一枚印刷したらCYMKとラミネートの層が全部1枚分流れる。どんなに使用面積が小さくてもだ。それを知ると昇華型プリンタとは無駄遣いの極みと痛感してしまう。

 

コンピュータが普及する以前の機械式英文タイプライターは、リボンテープが使われていた。1文字打つたびにこのリボンも巻かれていく。しかし、このリボンは(本来は1度で使いきりかもしれないが)何度も何度もインクがかすれるまで再利用ができた。掠れて乾いてきたら霧吹きで水分を補給し、それでも掠れてきたらタイプの速度を捨て、力を込めて1キーずつ親の仇のように叩きつけた。そんな努力を経験してきただけに、一度使ったらもう二度と使えませんなんて、何と言う非情な奴だろうと殺意さえ覚えた。

 

完全に巻き取って、印刷し終わった面が見えなければまだあきらめられるのに、カセット方式のインクは直前の様子が見えたので質が悪かった。

 

MDを買った当初は「インクジェットなんて使ってられないぜ」と息巻いていたが、インクジェットのコストパフォーマンスにマイクロドライは太刀打ちできなかった。

 

久し振りにそんなことを思い出した。

QX10も昇華型プリンタとして、インクフィルムの無駄遣いは避けられないが、そんなことを考えるより、「昇華型プリンタのおかげで良い写真が印刷できたよ」とにこやかに言っていられる写真を撮っていられますようにと願う次第。

うん、それだけ。オチはありません悪しからず。