昨日は4/8。
日本の各地方では4/8(卯月八日)に
釈迦の生誕祭を祝って
甘茶を振舞う風習が残っています。
正式には灌仏会かんぶつえ、
降誕会ごうたんえ、などともいわれ
鮮やかな花で彩られた花御堂の仏像に
甘茶を灌ぐことで仏の供養、
また子どもや家族の健康、厄除けを祈る行事です。
日本では卯月八日が桜の季節であったために
花祭りと名称されて今に続いています。
****************
灌仏会で仏の体に甘茶(甘露)を注ぐ意味は
釈迦の生誕時の伝説によります。
釈迦(ゴータマ・シッダールタ)が生まれたのは
紀元前400年代~600年代まで
諸説ありますが、誕生日は中国暦換算で
春の卯月八日だったとされます。
生地は現ネパール南部のルンビニという村です。
釈迦は生まれてすぐに立って歩き、
両手で天地を指して天上天下唯我独尊と叫び、
これを見た九頭の龍(帝釈天ともいわれる)が
喜びのあまり甘露を降らせて
釈迦の産湯に使わせたという伝説です。
ここから降誕会では
平安時代には五色の香水が仏像に注がれ、
後に民間風習になった際には
甘茶が使われるようになりました。
甘露が降る時は世に幸せが降り注ぎ、
人々の苦しみを取り払う霊水であるとして
降誕会の甘茶を持ち帰り、家族で飲みあって
厄除け、幸福祈願とするようになったのです。
これが今に続く花祭りの起源となります。
*************
釈迦族の王子として生を受けた釈迦ですが
母である摩耶夫人は
釈迦を生んで七日後に亡くなり、
釈迦は摩耶夫人の妹である
マハープラジャパティに育てられます。
そして王族として何不自由ない
教育や暮らしを与えられ
16歳で結婚、子どもも生まれますが
29歳の時に王城を抜け出して出家するのです。
35歳で悟りに達し、
80歳の時、食中毒で亡くなり
入滅(仏滅)したとされます。
釈迦の生まれたルンビニは
花豊かな土地であり、
季節も花咲く春だったことから
釈迦の生誕祭⇒花祭りの語源は
その生地、誕生月にあるともされます。
*******************
釈迦の死後、弟子たちの間では
初期仏教の厳格さをそのまま
守ろうという流派と、
時代に合わせて戒律を緩めていき
大衆に流布しようとする
流派に分断されていきます。
前者は南方系仏教となり、
小乗仏教と呼ばれ、初期仏教の厳格さを
守り続けて伝わってきています。
後者は北方系仏教として
中国を通して日本にも伝わり、
大乗仏教と呼ばれてより広い地方に
拡散して行きました。
(釈迦の生誕祭を4/8に行う地域は
概ね大乗仏教が伝来した地域です。)
ここからさらに分派していき
今の日本の仏教は概ね
13宗派に分かれているのです。
日本の十三大仏教
※南都六宗
(奈良時代、平城京を中心に隆盛した流派)
①法相宗(玄奘三蔵⇒慈恩大師⇒道昭。興福寺、薬師寺)
②華厳宗(杜順⇒良弁が宗祖。東大寺)
③律宗(法聡⇒鑑真が宗祖。唐招提寺)
※平安仏教
④真言宗(空海、密教、高野山)
⑤天台宗(最澄、法華経、比叡山)
比叡山ではのちに宗祖となる
法然、親鸞、道元、栄西、日蓮などが
学んでおり、日本仏教の母山ともいわれる。
※浄土系仏教(平安末期~鎌倉時代)
⑥融通念仏宗(良忍)
⑦浄土宗(法然)
⑧浄土真宗(親鸞、絶対他力)
⑨時宗(一遍、踊り念仏)
※日蓮系(法華経)
⑩日蓮宗(創価学会は1991年に破門)
※座禅仏教(禅宗)
⑪臨済宗(栄西)
⑫曹洞宗(道元)
⑬黄檗宗(隠元)
インゲンマメは中国僧の隠元が
江戸時代初期に日本に輸入。
大乗仏教はその柔軟な性質上、
その土地の民間信仰とも融合しやすく、
中国の陰陽五行論や日本の自然信仰の中にも
徐々に浸透し神仏習合していきました。