普通はその種目は期待薄です。これは疑う余地もないのですが、都市伝説ではなく、スキーのお仲間(2人)から聞いた話で転んでも合格点がでたことがあると。種目はテクニカルプライズの不整地小回りと(かつて種目があった)不整地大回り。そのお二方ともすごく上手いので、そういった人でも検定で転ぶくらいの状況だったということでしょう。お二人とも落とした種目はなく、合格。なので、転んだとしてもすごーく薄めに期待を残しつつ集中力だけはなくしたらダメです。
・・・石打丸山スキー場のテクニカルプライズ、不整地小回りで大ゴケ、72点をたたき出したじぶんが言ってみる。。。
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(準指導員 むかし話)
今をさかのぼること10年くらい前。1級検定を受かった翌年、スキークラブというものに入会し、すぐ準指導員検定を受けに行った男がいた。その男はじぶんで基礎が出来ていないとよくわかっており、初回から受かるなんて色気は持っていなかった。養成講習も普段スキースクールでレッスンを受けるように楽しく受講していたようだ。
検定会当日。その日の検定会場、車山高原は曇り。前日に少しだけ雪も降ったがバーンコンディションはまずまず。朝起きて、スキー場についても、リフトにのっても緊張感はまったくなし。開会式でもそれは変わらず。もう少し緊張すると思っていた男は予想外の落ち着きに拍子抜けしていた。
最初の種目、不整地小回りのスタート地点に移動する。男の順番までは30人くらい待つようだった。男は合格できるとは考えていなかったが、不整地小回りだけは合格点をお持ち帰りしようと決めていた。もともとスキーにハマるきっかけとなったコブ。散々滑ってきてこれを落とすくらいならそもそも指導員検定なんてものに来た意味はない。
他の受験者の滑りを見てコブのラインが乱れるポイントを確認する。検定前日に怪我人も出たらしいが、丁寧に行けばラインを外すことはないだろう。養成講習でもフリーでもこのカチカチに凍りついたコブは散々滑っている。受験者が滑ったおかげで雪はすべてはけ、青びかりする氷に磨かれているが想定の範囲内で問題はない。
順番が近づく・・・。
あと5人。応援が来ているクラブの受験生に、ギャラリーから熱の入った掛け声がとぶ。男のスタートとなった。旗が振られる。
コブのラインの入りが崖になっているが、無理に減速せず軽く流しながら次のターンに入り膝を柔らかく使っ・・・。
「ギシッ」
脚、いや、膝はほとんど吸収幅がでなかった。
車山高原の寒さで冷え切った体。冷え切っているのもわかっていない程、男は緊張していたらしい。気づいていなかったが男は検定会の雰囲気に呑まれていた。緊張していたことすらわからなかった。
気がつけば、板が外れ男はコブの中へ放り出されていた。一瞬、何が起こったかわからない。視線の中に外れた板が転がっている。無意識に板を拾った。幸い、外れた板は片方だけだった。
「ガチャッ」
ビンディングにブーツを載せる。はぁ~・・・自然とため息がでた。すぐに演技を開始しなくてはならないが、気づいた時はゴール地点だった。弧を見せようとか、中間の棚でズラシを入れて暴走しない様にとか、後半の1/3からラインが右へ曲がっていくなど最初に注意していたものは色々とあったはずが、ただ滑り降りて終わった。ストックはチャッチャ、吸収と伸ばしだけの滑り。
ゴール地点に検定会に参加している他の仲間が来て怪我はないかと心配してくれた。とにかく咽喉が渇いていた。軽く挨拶をすると男はひとり、レストハウスに戻って缶コーヒーを一気に飲み干した。
はぁ~・・・。ひと息ついて、最初のコブでとばされたことを振り返ることができた。(面白味のない検定会になってしまったなぁ~)
・・・
後の種目は今となってはどうやって滑ったかもよく覚えていない。とばされた瞬間の景色だけが記憶に残った。
後日。不合格となった受験生に講評と採点シートが郵送されてきた。当時は9種目中7種目の合格点があれば合格だったが、男が合格点を出せた種目は5種目だった。
!?
なんと、予想もしていなかったことに男の不整地小回りの評価には「〇」がついていた。
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検定会は合格することを目標にするのが当たり前ですが、結果は結果。
途中で残念なやらかしがあったとしても、残りの種目を大事に滑ることが次につながる第一歩なのだと。集中力の欠如・緊張感との付き合い方の大切さはこのあと至る所であたまを悩ませるのですが、それはまた別の機会に。。。
スキー検定や大会で120%の力を出せることはまずありえない。そういった人がいればそれはアスリートと呼ばれる部類の人たちでしょう。
凡人には100%すらも怪しい・・・。検定と大会はまた違うけど、それでも実力以上のことを引き出そうとしてもそれは無理というもの。それが、前十字靭帯断裂という大きなお土産をもらってじぶんが得た結論。
できることをきっちりやって結果を出す。できることを増やすのは練習しかない。つまり滑るしかない。
効果的な練習をするためには、創意工夫が必要でそれを継続するためにはとことんスキーを楽しまなくては続かない。これがなかなか難しい。
煮詰まったら検定とかフォームとか、そういった修正だとか課題だとかから離れて好きに滑ることも大事かなと。
検定をやるためにスキーをやっているわけじゃない。だけど、今のところ楽しむ上で検定合格を目指すことがは最高のスパイスなのかもしれない。・・・辛すぎて腹壊しそうだケド。
テクニカル(不整地小回り)
転ばずに降りてきた回もあります。とっちらかった後の方が脚が良く動いているのが不思議。緊張感がリセットされて堅さがとれたからと自己分析。前半思いっきりビビって抑えて、全然落ちてきてないのが残念だけど、検定の中ではこれが精いっぱい。。。
気持ちがチャレンジしないのはダメ!!
チャレンジは大事だけど、滑りで博打が決まるのはせいぜい1・2回。3回以上博打を張るならそれは無謀というもの。スキー検定の合格点の滑り、その相場を理解することは大事だと思います。加点をとれない種目なら、少し抑え目にきっちり合格点を狙って無茶はしない。逆に博打を張るならどこまでいくかの張り方を決める。
動画の滑りで75もらいましたが、じぶんが見た範囲で「マヂうまいな~」と思った人は2人。そのうちの1人は攻めすぎて後半転倒で-1。最後に張り出された採点表では7割くらいが合格点。加点出した人はなし。
板を横に向けてぜんぜんOKだったということです。
前走りの滑り。
前走、うまいよね~。バンク滑りがもてはやされていた頃なのもあり、かなり弧をつくってきた。前走の滑りが魅せてきたからジャッジの採点も辛くくるかと思ったけど、(不整地小回りについては)そうでもなかった。実際に、とっちらかった自分はマイナス出されても(全体の採点表を見なければ)納得したと思う。
相場がわかると押すところ引くところが見えてくるので、合格に近づくのではないかと。(昔あった)不整地大回りなんてそういった要素が強かったと思います。受験生全体的に猛者揃いの回はリスク承知で博打を張らないと勝負にならない。逆に全体的に抑え目の会は、じぶんもリスク承知で狙って逝くのか、無難に75拾うか。
会場格差の有り無しで言えば、やっぱりあると思う・・・。というか斜度・雪質が厳しいところ・採点が辛いところはある。じぶんに向いた会場・不向きだった会場、選定された検定バーン。それらの運・不運も含めて検定ということか。
当落線上をさまよっているなら数受けるというのはアリだと思う。シーズン1回しか受けないというポリシーの人もいますけど。じぶんはその辺、こだわりないので連アタは厭いません。
前走の滑りからはジャッジの相場は見えない。でも、前走の滑りが微妙なのにジャッジが辛かったらなんだかなぁ~とも思う。とあるところで、見学した1級検定は前走がコブのライン外しまくっていた・・・(あれで、ライン貫通した受験生がマイナスされていたら浮かばれない)。
検定で出来ることはじぶんが良いと思った滑りを持ち込むところまで。そこから先の採点はジャッジにゆだねる他はなし。だから、じぶんが受けたいと思った会場で頑張った方が、落ちても後悔が少ない。もちろん、事前講習でのコメント・検定後の誠実な講評に、落ちても納得できる・次につながる検定をしてくれた会場もある。個人的にこういうものは貴重でありがたいもの、大事にするべきものだと思う。
検定結果に文句は言えない。でも、どこの検定を受けに行くかを選べるのは受験生の権利。時間もお金も気力も無限ではありませぬ。
厳しいね、検定。
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検定終わったら楽しく滑ろうじゃなくて、今楽しく滑るべき。いつ滑れなくなるかわからないから・・・。
~ lumevangis ~