先日の11月25日の三島由紀夫の市ヶ谷の自衛隊東部方面本部占拠・自決から45周年になるので、久しぶりにDVDをみました。監督は2012年10月17日に76歳で亡くなった若松孝二氏です。出演は井浦新(三島由紀夫)、満島真之助(森田必勝)、寺島しのぶ(三島の妻)等です。



ストーリーの中に、三島由紀夫が自衛隊と言うものに対する羨望というか憧れに関して、詳細に描かれています。三島由紀夫に続いて自決する森田必勝についても、三島由紀夫と同じ時系列で表されていきます。



自衛隊の決起→治安出動をよびかけるために、三島由紀夫他4名の「楯の会」メンバーの行動が自衛隊市ヶ谷東部方面本部の総監を人質に、自衛隊員をグラウンドに集合させ、決起するよう呼びかけるのですが、彼ら自衛隊員はヤジと怒号で答えます。



彼ら自衛隊員は三島由紀夫たちが考えているより、ずっと非政治的であり、決起などという非日常的な空間を作り出す考えなどは持っていなかったのです。



自衛隊が決起しないと判断した三島は総監室内に戻り、上着を脱ぎ腹を出して自決します。しかし介錯役の森田必勝が介錯をやりそこない、代わりに剣道の得意な小賀が介錯し首を落とします。



次に森田必勝が自決しますが、彼も小賀による介錯を受けます。



映画はこの時点で終わっていますが、実際には2人の首を床に置き遺体に上着をかけ、警察に拘束・逮捕されます。



この事件は70年安保闘争に対する右からの動きと言えますが、この行動に強い影響を与えたのが「ブント赤軍派」による「よど号ハイジャック事件」であったことが、映画の中で示されます。



赤軍派のハイジャッカーの中に、彼らが拘る日本刀を持ったメンバー(これは田中義三)がいたことに対し、三島と森田が悔しさを見せるシーンがありますが、無意識的にでしょうが彼ら「楯の会」メンバーも新左翼の学生運動から影響を受けていたことを表していました。



若松孝二監督は若い頃から反体制的な作品やピンク映画を作り続けていましたが、「実録・連合赤軍・あさま山荘への道程」と「キャタピラー」の製作の頃から、世界的に広く名前が知られるようになりました。2012年10月17日に不慮の交通事故のため死去、76歳でした。