政治家の世襲化が、いろいろと議論されていますが、世襲が盛んな世界が日本社会にはもう一つあります。



それは歌舞伎、狂言、能楽など「古典芸能」の世界です。



もちろん世襲だけで後継者を養成している訳ではないのでしょう。弟子を外部から取ったりしているのだと思います。



しかし、主役を張れるようになるのは、まず間違いなく世襲により、この世界に入って来た人たちです。



世襲のメリットとして、子供のころから伝統芸能の世界に生きているので、心身ともに伝統芸能の世界に染まりきり、それが芸に反映されるということはあるでしょう。



デメリットとしては、外部の優れた才能の持ち主が脚光を浴びることが少なくなります。



また、伝統芸能の家庭に生まれたため、他の仕事に就きたかったのに、出来なかったという人もいただろうと推測されます。



また、実力が反映される大相撲の世界でも、いわゆる親方株と部屋の継承に関しては、世襲がはびこっています。親方の娘婿となり、部屋を継承するケースが見られます。


これらの世界は、メリットとデメリットを対比して、どちらを採るべきか、そろそろ本気で考える時期に来ていると思います。後継者育成システムについでの再考が必要ではないでしょうか。



全く対照的に、世界中から優れた才能が集まってきているのが、17世紀始めに歌舞伎とほぼ同時期に誕生した、イタリア・オペラの世界です。



ここでは、昔からイタリア人以外の優れた才能を受け入れて来ました。



作曲家ではゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデルやヨハン・アドルフ・ハッセの例を見れば明らかです。



今でもイタリア以外の出身のスター歌手は多くいます。日本出身のソブラノ歌手も何人もイタリアで活躍しています。



こうした差は、何事にも開放的なラテン系民族と、世界でも最も閉鎖的と言われる日本人との差だと考えるのは考えすぎでしょうか?