『アフリカの光』

1975年日本映画 95分

監督:神代辰巳

脚本:中島丈博

出演:萩原健一 田中邦衛 他


アフリカ行きの漁船に乗るため、北の街までやってきた若者二人、順(萩原健一)と勝弘(田中邦衛)。しかし船は来ず、勝弘は小さな漁船のきつい仕事で当座のお金を稼ぐ。順はやくざの見張り役になっていい金をもらう。二人の距離は次第に開く。病気になった勝弘は国へ帰り、順は居場所のないままにそこへ残る。


と、一応はそういう話なのだが、因果関係がハッキリした話ではない。この二人がどこから来て、どういう関係で、なんでアフリカに行きたいのかとかは全然分からない。でも妙に面白い。ちょうど観たばっかりの今年のシティボーイズのコントの印象ともどこか重なり。


順と勝弘はとにかく仲がいい。勝弘がバーの女・ふじ子(桃井かおり)とセックスしてる時も順は隣にいて、終わった勝弘は「お前もやれよ」と勧める。熱出した勝弘を抱いたまま順は風呂に入る。勝弘が漏らした時も喜んで順は拭いてやる。「オカマじゃねえぞ!」という台詞が度々入ってくるけど、二人の関係はオカマというか、夫婦にしか見えない。


ふじ子と度々セックスをし、好きだと言われてまんざらでもなさそうに見えるのに、順にはどこか心が無い。最後の最後でよく分からないというか、扉が開かない感じ、観てるこっちとしても気持ちの持って行き方が分からない感じは、ゲイを描いた映画やゲイの監督が撮る映画で見られる独特な傾向。それがあまりにも露骨に出てるんで、そう思わせるのが狙いだったのかな?とも思うけど、個人的には嫌いではない。敢えて言うなら、何なのかは分からないけど、その切なさ自体は、何となく分かる。


そして、ゲイかゲイでないかはともかく、順=萩原健一がすごくいい。この人いいなぁ、って思ったのそう言えば初めてかも。駅行く度に、汽車待ってる学生たちをいきなり全員ぶん殴り、「ごめんな!」つって笑顔で去ってくショーケン。一人の部屋で、時報に合わせて屁も出ないショーケン。「あーあ」ってのと「あへー」ってのにやたらこだわるショーケン。そして桃井かおりに「友達に比べて下手ね(セックスが)」と言われるショーケン…。凶暴さとしょぼさとの配分が見事にリアル。私、こういう人とても好きだ。


ショーケンもいいけど他もいい。股引姿の若い田中邦衛も言わずもがな。熱出して「親切にしろよ!」って言う邦衛には胸がキュンキュンする。あと、峰岸徹も藤竜也もカッコいいんだよなぁ。この頃の役者ってホント、皆カッコよすぎだ。こういうカッコよさは今一体どこ行っちまったんだ。


時代の文脈に大きく影響されてる映画だと思うし、そういう意味でもこの映画が何を意図してたのか、当時の観客にどう受け入れられたのか、よく分かんないところもあるけれど、ここではないどこかへ逃げようとした先が、全財産370円の切符の分だけだったというラストは泣ける。映画だなぁと思う。


   海で白鳥を追いかけながら。

順「何が起こってもよぉ、あの街にいようよ。昨夜の、飲み逃げでよ、またブタ箱に留められても、(海に向かって駆け出しながら叫び)あのバーのよ、用心棒に袋叩きにされてもよ!もうあの街から動くのやめよう!」

勝弘「(も駆け出しながら)あそこに踏みとどまれねえようじゃ、この先ずうっと逃げ回ってなきゃなんねえからな!」

   二人に追われ、飛び去っていく白鳥たち。


★★★★★★★★☆☆