『スリーメン&ベビー』
1987年アメリカ映画 103分
監督:レナード・ニモイ
脚本:ジェームズ・オア ジム・クラックシャンク
出演:トム・セレック テッド・ダンソン 他
心霊映画として有名な映画。その情報だけ知った上で観たらめちゃくちゃ怖い。かく言う私がそうでした。「そういや心霊映画って言われてるけど何のことだろ」と思いながら、そんなことすら忘れて観入ってると、映ってる…。探すつもりなかったのに、いる…。ぞぞぞぞ…。ホラー映画含めても、こんなに背筋に寒気が走った映画って他にない(実際はこの霊、置き忘れた小道具だとかって言われてはいるようだけど…)。
内容は霊とは全く関係ない、ほのぼのコメディ。三人の男性独身貴族が突如赤ん坊を育てる羽目になったという、「フルハウス」の原型的作品。最初の音楽から80sの匂いがぷんぷんしてる。イイネ!
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建築家のピーター(トム・セレック)、俳優のジャック(テッド・ダンソン)、漫画家のマイケル(スティーヴ・グッテンバーグ)はルームメイト。独身の三人は自由気ままな生活をしている。ジャックが海外ロケで家を空けていたある日、部屋の前に赤ん坊と「ジャックの子です」という手紙が置かれているのをピーターとマイケルが発見する【II】。
出かける前、「知り合いからの荷物が届くはずだから」と言い残していたジャック。ピーターとマイケルはその「荷物」が赤ん坊なのだと思い、対応に四苦八苦。そんな中、「荷物を受け取りに来た」とやってくる怪しい男二人。ピーターとマイケルは赤ん坊を渡すが、怪しい男たちが取りに来た「荷物」とはドラッグのことだった。ジャックは何も知らないうちにドラッグを預かっていたのだった。事の真相を知ったピーターたちは、麻薬組織に渡してしまった赤ん坊を取り返すために戦う【KI/P1】。
トラブルは解決。最初は困惑するばかりだった赤ん坊にも愛着を感じるようになったピーターたちの元へ、赤ん坊の母シルヴィア(ナンシー・トラヴィス)が返してほしいとやってくる【P2】。しかし、一人で赤ん坊を育てるには、シルヴィアは夢を諦めなければならない。赤ん坊と別れたくないピーターたちはシルヴィアに、ここで一緒に暮らせばいいと提案する。
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麻薬のエピソードは正直微妙だけど、「男三人が赤ちゃんにてんやわんやする」っていうだけだと(ドラマにはなっても)映画的にはならないから盛り込んだのだろうか。あと赤ん坊の母シルヴィア、最初から話し合いで何とかすればよかったんじゃないだろうか等々、突っ込みどころは多々ある。
でも、ゲイカップルの子育てってこんな感じなんだろうな、と思って観るとなかなか興味深い。両親は父二人という家族形態、日本では何十年待っても到底根付きそうにないが、世界には実際に存在してるわけだからね。女性性と母性の結びつきに疑問を感じる今日この頃、そういう家庭の親や子がどんなことを感じてるのか、単純に興味がある。
そしてこの映画の極私的な見どころはジャック役でテッド・ダンソンが出ている点である。伝説の馬鹿野郎、「ダメージ」のアーサー・フロビシャー役、もしくはラリー・デイヴィッドのお友達としてお馴染みの彼。この映画でもやっぱり馬鹿野郎である。若き日の馬鹿野郎。嬉しくなる。
重要な見どころ、霊シーンがどこかということは、一目瞭然すぎるので書かない。
赤ん坊のメアリーをシルヴィアに渡した後。
部屋の中はどこか暗い雰囲気。
ジャック「男だけで子育てなんて無理だよ…。そうだろ?できるか?」
ピーター、残っていたメアリーのミルクを捨てながら、
ピーター「無理だろうな」
ジャック「母親と一緒の方がいいんだ」
手にしたワイングラスに口をつけるジャック。
マイケル「(ジャックを見て)…」
ジャック「俺たちも肩の荷が下りた。普通の生活に戻った。そうだよな?」
マイケル「君の言う通りさ」
ピーター「(ジャックを見て)…」
ジャック「そうとも…!」
立ち上がるジャック。
ジャック「…だけど、すっきりしない」
ピーター「何だって?」
ジャック「なんか、すっきりしないんだ。(胸を押さえ)やけに痛むんだ、ここんとこが」
ピーター「どうしてだ?どう思う?マイケル」
マイケル「ワインのせいさ」
ジャック「ワインじゃないよ」
ピーター「じゃあ一体何なんだ」
ジャック「分からないよ…。とにかくつらいんだ」
マイケル「悪いものを食べたんだ」
ジャック「違う」
ピーター「それじゃ睡眠不足のせいだ」
ジャック「そうじゃないって…」
マイケル「じゃあ、何なんだ?」
ジャック、二人に背を向けたまま、
ジャック「…メアリーのせいだ」
ピーターとマイケル、目を合わせる。
ジャック「メアリーがいないからだ。今となっちゃ、もう手遅れだがね…」
ピーター「いや、そうとは限らん」
ジャック「どういうこと?」
ピーター「飛行機は何時だ?」
駆け出す三人。
★★★★★☆☆☆☆☆