『地上より永遠に』
1953年アメリカ映画 118分
監督:フレッド・ジンネマン
脚本:ダニエル・タラダッシュ
出演:バート・ランカスター モンゴメリー・クリフト 他
真珠湾攻撃直前のハワイのアメリカ軍が舞台。軍隊生活の過酷さを描いた群像劇なのだが、「フルメタル・ジャケット」の凄まじさとか知ってると割と呑気に見えてしまう。仕方ないことだけど。
ハワイに転属となったプルー(モンゴメリー・クリフト)は、過去の実績を買われて軍のボクシング部に誘われる。しかし、ボクシングで親友を失明させた経緯のあるプルーはそれを断り、そのことが原因で理不尽なしごきを受けるようになる。
ボクシング部強化のことばかりを考えている中隊長(フィリップ・オーバー)を冷ややかに見ている曹長のウォーデン(バート・ランカスター)は切れ者で、不幸な結婚生活を送る中隊長の妻カレン(デボラ・カー)と恋仲になったりする。ウォーデンはプルーを表立ってかばいはしないけど、内心ではプルーに共感している。
プルーの唯一の友人はマッジオ(フランク・シナトラ)という陽気なイタリア系の男なのだが、彼は上官ジャドソン(アーネスト・ボーグナイン)と諍いを起こし、不当なしごきが原因で死亡。それを知ったプルーはジャドソンを殺し、恋人ロリーン(ドナ・リード)の家に身を隠す。
でもそうこうしてるうちに真珠湾が日本軍によって奇襲される。じっとしていられないプルーは軍に戻ろうとするが、不審者と見なされて射殺されてしまう。その遺骸に、ウォーデンはしみじみと「立派な男だった」と呟く…。
かなり丁寧に書いてみたが、何とも漫然とした印象だ。原作は小説らしいが、どういう書き方をしてあったのだろう。何となく、短編二つ(プルーのラインとウォーデンのライン)を一つにまとめたみたいな感じがするけど。
そしてこの苦い終わり方、アメリカン・ニューシネマに通じるような印象を残す。プルーっていうキャラクター自体がアンチヒーロー的だもんな。そしてこの映画、海辺でウォーデンとカレンが戯れるシーンが有名らしいのだが、この下敷きがあったからこその「泳ぐひと」だったのか、バート・ランカスター。見る順番間違った。この人の海パン姿見てるともうあの映画の破れかぶれしか思い浮かばない。それにしても、「泳ぐひと」は未だに思い出すくらい面白かった。ああいう夢もよく見る。
最後、降って沸いたような日本軍の描写が興味深い。ずっとちまちましたいじめ話や恋愛話が続いてたのに、終盤も終盤にウソみたいにテンションが変わる。ただもう全部ぶっ壊される。その描き方が何とも自虐的で、だからこそ不思議な共感が余韻として残る。53年か…。どういう文脈で作られた作品なんだろう。
ジャドソンを殺し、ロリーンの家に隠れていたプルー。
真珠湾攻撃のニュースをラジオで聞き、軍に戻ろうとする。
それを止めようと、涙ながらに抱きつくロリーン。
ロリーン「行かないで。何でもするわ、一緒に本土にも帰るし、結婚もする」
プルー「……」
ロリーン「今行ったら最後になるわ」
プルー「許してくれ」
行こうとするプルーの前に、ロリーンは尚も立ちはだかる。
ロリーン「何のために戻るの?あれだけ痛めつけられ、足蹴にされた場所よ?友達も殺されたじゃない!なのに、なぜ…!」
プルー「俺は兵士なんだ」
ロリーン「兵士が何よ!正規軍の正規兵だって、ただの男じゃない…!」
プルー、振り切るように、
プルー「灯りを消すよ。灯火管制だ」
電気を消し、出ていくプルー。
泣き崩れるロリーン。
★★★★★★★☆☆☆