『七年目の浮気』
1955年アメリカ映画 105分
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー ジョージ・アクセルロッド
出演:マリリン・モンロー トム・イーウェル 他
'The Seven Year Itch'、「七年目のかゆみ」という原題が面白い。「男の浮気心=かゆみ」というわけで、掻けば掻くほどかゆくなるという意味。
主人公は出版社勤務で妄想癖の強いシャーマン氏(トム・イーウェル)。妻子は避暑地に送り、夏の間だけ一人で仕事に専念するつもりだったのだが、家の上の階に魅力的なブロンド美女(マリリン・モンロー)が越してきたことで妄想癖が炸裂、浮気の虫もうずき始める。ちなみにシャーマン氏は結婚七年目、チェック中の原稿にも「男の浮気願望が最も高まるのは結婚七年目である」というデータが(!)
元はブロードウェイの舞台劇なのだそうだが、いわゆるシチュエーションコメディのノリで非常に馴染み深い。「どうしようどうしようあーでもやっぱ…いや、でもここは…えーでもそれは…」というシャーマン氏の堂々巡りはウディ・アレンみたいだし、「となりのサインフェルド」みたいだし。
ビリー・ワイルダーは確かナチスの時代にアメリカに亡命したユダヤ人だったと思うけど、ユダヤ人的な何かっていうのはかなり大きくあるんだろうなぁ。実は、映画に関してはあんまり詳しくなりすぎるのも良くないというか、あくまで映画だけ、脚本だけで判断したいという気持ちが強くて、関係書籍とかも読まないようにしてたのだけど、そろそろそういうこだわり捨てていい頃かも。調べるところは調べてみると、何かまた気付くこともあるかもしれない。知識に邪魔されるぐらいの感覚なら、元から大したもんじゃないのかもしれないし。
そういう意味でマリリン・モンローにも興味がある。まともに見るの初めてだけど、ずいぶん不安定そうな人。もちろんきれいなんだけど、死に方を知ってるからか、この人本当に普通に生きてたのか、どうもとらえどころがない。嘘みたいな顔とスタイル(特に尻)、そしておバカぶり…。「モンロースマイル(恵まれない家庭環境で育った子ほど魅力的な笑顔を振りまく、その笑顔のこと)」という言葉もあるらしいが、その言葉の妥当性はともかくとしても、何か裏があるのではないかと、奇妙な飲み込めなさを残す人である。
地下鉄の通風口からの風でスカートが舞い上がるあの有名なシーン。圧倒的な印象を残すんだけど、話と噛み合ってるかというと別にそうでもない。この浮き方、彼女自身の存在感にも通じるところがある。この映画の中で彼女には役名がなくて、シャーマン氏が他の男に「彼女はマリリン・モンローかもな!」と言う台詞すらあるんだけど、ホント、どういう意味合いの人だったんだろう。
シャンパンを持ってシャーマンの家を訪れた女。
シャーマンは自分が独身だと偽っていたが、ひょんなことから
妻子持ちであることがばれる。
シャーマン「妻子持ちの男でもシャンパンが惜しくない?」
女「とんでもない。結婚してるなんてとっても素敵よ!」
グラスにシャンパンを注ぐ女。
シャーマン「本当?」
女「夜中に床に寝そべって独身男性とシャンパンは飲めないでしょ?」
シャーマン「奥深い理由だな…」
女「簡単な理屈よ。既婚者は欲望に走らないもの」
シャーマンの手からグラスを受け取る女。
★★★★★★☆☆☆☆