『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』

2005年アメリカ映画 110分

監督:アレックス・ギブニー

出演:元エンロン社員 他


ドキュメンタリー。全米屈指の大企業が不正経理・不正取引によって破綻に追い込まれるまでを、関係者の証言を基に描く。


「あなた、阿呆ですね」と言われると「そうですね」としか答えようがないくらいこういう分野のことは分からない。こういう分野ってのがどういう分野のことなのかというのも、「お金が動くビジネスの世界」ってくらいのぼんやりした言葉でしか説明できない。そんな頭で見たので、案の定、内容についてはちんぷんかんぷんだった。


なので必然的にキャラクターを注視することとなったわけなのだが、帝国崩壊の引き金を作ったケネス・レイ、ジェフ・スキリング、アンドリュー・ファストウという重役3人の中で一番気になったのが、超マッチョ志向のスキリング。この映画の英語の副題は'The Smartest Guys in the Room'というのだが、スキリングはこの3人の中でもまさに'The Smartest'な男だった…というより、誰よりそうなりたかった男だ。


完全に個人的な経験に基づく偏見で言わせてもらうと、本当に頭がいい人は見た目もいい。頭脳の明晰さはもちろん、着てる服のセンスから佇まいから、全てトータルで「うわぁ完璧だ」と思わせる人こそ、本当に頭のいい人だと私は思う。だから、「頭がいいのにカッコいい」というのは、例外的なことというより当たり前だと思うし、「頭がいいからダサいんだ…」という印象を他人に与えてしまう人は、その時点でちょっと残念な人だという気がする。


このスキリングという人は、その残念な部類の人なのだ。で、その残念に気付いちゃった人。だからこの人は、上り詰めていく過程で必死に見た目を改善しようとした。オタク丸出しのひ弱なルックスを鍛え上げ、どでかいバイクで砂漠を駆る、みたいな人になっちゃった。


でもその反動がまたたまらなく残念だと私は思う。コンプレックスの反動に基づく上昇志向って、基本どこまで行っても残念だ。いくら上り詰めたとしても残念だ。「俺のどこが残念なんだよ!!」と血走った涙目で胸倉掴まれ問い詰められても、「まさにそういうところです」と力なく私、答えるしかない。


じゃあどうすればいいんだよ、という話だが、こういうのはどうしようもないことなのではないかなぁとも思う。逆に、どうでもいいやと開き直ったときに初めて呪縛から解かれるような。その意味で、ルー・パイという元重役の開き直り方はお見事で、これはこれでちょっとカッコいいんじゃないか、という域にまで達していた。冗談も言わない、ルックスもキモい、中毒と言ってもいいくらいのストリップ好き…。だけどこの人、莫大な金とストリッパー引き連れて早々に沈みゆく会社から脱出し、今も大金持ちだそうです。


   巨大なエンロンビルを見下ろす映像の中、

   関係者たちの言葉が続く。

「欲望は膨らみ続け、崖を踏み越え、急速に転落していった」

「長い間、好き勝手にやっていた」

「エンロンは”砂の城”でしかなかった」

「しかも、弱い地盤の上に建てられた城でした」

「エンロンは幻想だったのです」


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