『ギターを持った渡り鳥』

1959年日本映画 78分

監督:斎藤武市

脚本:山崎巌 原健三郎

出演:小林旭 浅丘ルリ子 他


「甘い声の石原裕次郎、甲高い声の小林旭になくて、高倉健にあったものは、ドスのきいた低い声である。…」(長谷部日出雄「邦画の昭和史」より)


気になるでしょう。一人気になる人いるでしょう。だから見た。この映画。


小林旭、どうしてもモノマネのイメージが先行してしまって、カッコいい人という印象は全く無かったんだけど、やっぱりスーパースターだったんだな。DVDのジャケット、ちょっとボブ・ディランみたいだし。


実際、上記三人の中で一番フツーにイケメンなのが小林旭。今見ても全然アリな顔。松田龍平みたいな顔。裕次郎は最先端すぎたゆえ今見ると滑稽に見える部分も多く、また健さんは元より唯我独尊の頓珍漢なのでカッコいいかどうかも分からない(ので私は大好き)のだが、この人はちょうど良い塩梅。しかしそのちょうど良さのため、印象も薄かったのかもしれない。


何だかよく分からないが、「和製ウエスタン」という言葉で説明される作品のシリーズ第一作。ギターを担いだ流れ者の滝(小林旭)がふらりと函館にやってきて、やくざ組織の秋津組に入るんだが、実は滝は元刑事で、悪事を尽くす秋津の組長(金子信雄)を成敗するという話。そこに、神戸から来たやくざのジョージ(宍戸錠)や、組長の娘・由紀(浅丘ルリ子)が絡んできたりする。どうでもいいけど浅丘ルリ子が昔の細川ふみえに似ている。そして期待していたほど甲高い声というわけでもなかった。期待が高すぎただけですが。


この作品もまた安保闘争とシンクロしていたという。当時の熱い観客の視線になるだけ近づいて見てみよう、と低体温の私もとりあえず努力してみたが、しかし、どうしても「悪者をやっつける」という程度のことしか読み取れない。「そういう話なんですね」という以上の感想を持てない。で思う。何やかんや言ってるけど要するに当時からその程度のことだったんじゃないの…?


   ロープウェーで山頂まで登った滝と由紀。

   滝に女がいたという話を聞いて、

由紀「帰ろうかな、あたし」

滝「え?」

由紀「あたしなんかと遊んでも面白くないでしょ?その人んところ行ったらいいわ」

   由紀の顔を見て、笑う滝。

滝「…遠すぎるよ」

由紀「えっ…」

滝「あそこさ」

   顎で空を指す滝。

由紀「…亡くなったの」

滝「ああ。二年前にね」

由紀「ごめんなさい」

滝「何が」

由紀「イヤなこと思い出させて」

滝「思い出すってのは、忘れてるからだろ?俺は忘れたこともない。だから思い出すこともないさ」

由紀「どんな方だったの?その人」

滝「ミス・ユニバースよりも、きれいでしとやかで、上品で教養があって…」

由紀「……」

滝「なんでそんなこと聞くんだい」

由紀「分かんないわ。聞くまいと思ってもつい聞いちゃうの」


★★★★☆☆☆☆☆☆