『チャイナ・シンドローム』

1979年アメリカ映画 122分

監督:ジェームズ・ブリッジ

脚本:マイク・グレイ T・S・クック ジェームズ・ブリッジ

出演:ジェーン・フォンダ ジャック・レモン 他


原発の事故隠しを巡るサスペンス。「チャイナ・シンドローム」とは、事故が起きると地球の裏側(つまり中国)まで吹っ飛ぶ、という意味。勝手に「ダイ・ハード」みたいなパニックものを想像してたけど、非常にシリアスな社会派映画だった。


暇ネタ担当の女子アナ・キンバリー(ジェーン・フォンダ)が特番取材のため撮影クルーのリチャード(マイケル・ダグラス)らと原子力発電所に行くが、そこで職員らの慌てている様子をカメラに収めてしまう。「よくあることです」という職員の説明を受けてその場は帰るが、実はそれが炉心溶融事故寸前であったということ、不具合を抱えながらも利権が絡んでいるので操業を止めることができないという状況を知り、キンバリーらはそれを告発しようとする。しかし、巨大な組織が手段を選ばず妨害工作に出てくる…というお話。


何年か前に原発絡みの仕事をしたことがある(すごいな、今思うと)ので、一通りの勉強はしてる。だから用語とかは馴染みがあるのだけれど、こういうのって知れば知るほどよく分からない。職員のゴデル(ジャック・レモン)の口ぶりなんかがまさにそうだけど、「なんでですか?」と聞いたらいくらでも答えは用意してあるのですよ。でもいくら説明されても、結局言葉でしかない。実感するってことがあり得ない。そりゃそうだ、「原発は危険だ」と証明されるのは、みんな死んでる時なわけだから。だから結局は「信じるか信じないか」という、非常に抽象的な信念の問題に行きつくしかない。


この映画の立ち位置は徹底して「原発は危険」というところにあり、そうした信念を問う形にはなっていない。その分反発もきっと大きかっただろうが、その割り切りのおかげで非常に明確な脚本になっていると思う。最後、原発の司令室に立てこもるゴデルのサスペンスなどは「未知への飛行」みたいだった(あ、そういえばジェーン・フォンダはあの大統領役ヘンリー・フォンダの娘)。二分割の画面に平穏なCMの映像と騒然とした現場の中継映像が並ぶラストシーン、続く無音のエンドロールは出色だ。


まあしかしこのネット社会だと全然違う話が展開されそうだなぁ。そういう意味で、古き良き時代のお話かも。


   原発職員行きつけのバーで、ゴデルを捕まえたキンバリー。

ゴデル「記者は大嫌いだよ。あいつらは悪いニュースしか取り上げない。それに発電所を目の仇にしてる」

キンバリー「記者は大衆の味方よ。実績もあるし」

ゴデル「大衆のための質問なら答えよう」

キンバリー「…いいわ」

   キンバリー、ゴデルに向きなおり、

キンバリー「大衆は常に危険にさらされるもの?」

   と、その会話に割って入るバーテン。

バーテン「(キンバリーに)すみません、サインください」

   鬱陶しそうにサインをしようとすると、他にもファンが集まってくる。

キンバリー「……」


★★★★★★★★☆☆