『緋牡丹博徒 お竜参上』
1970年日本映画 100分
監督:加藤泰
脚本:加藤泰 鈴木則文
出演:藤純子 菅原文太 他
シリーズ6作目。傑作ということなので見てみる。
前後の脈絡がよく分からないのと、そもそもこの渡世人というフィクショナルなキャラクターが観客のどんな願望を反映していたのか今ひとつ掴み切れないのとで、正直、傑作とまで言われる理由は分からない。でも藤純子が演じるお竜は文句なしにカッコいいし、ストーリーも反転流転を重ねて飽きさせないし、この映画に熱狂する気持ちはよく分かる。
敵対する組に属しているが結婚を誓っている銀さん(長谷川明男)と君子(山岸映子、顔地味!)の「ロミオとジュリエット」的恋愛とは対照的すぎるお竜と青山(菅原文太)の静かな恋、とすらも言えない互いへの仄かな好意がいい。浅草が舞台で、凌雲閣の描写があるのも興味深い。最後の立ち回りはさすがに見せ場。銃と短刀とかんざし(!)で敵をなぎ倒していくお竜は、髪乱れててもすんごいきれい。話とは全然関係ないけどメイクがきれい。潔く太いアイラインとヌーディなピンクベージュのリップは今見ても全然イケてる。
うーむ、富司さん。そりゃもちろん伝説の大女優さんだということくらいは存じ上げていたが、往年のこの威光を今まざまざと見せつけられるとうわーってなっちゃうなぁ。何言ってるか自分でも分からないが、もっと畏敬の念をもって私も仕事をしよう。
それにしてもお竜って熊本・人吉の人なんだな。福岡から宮崎行く時の最短交通手段は高速バスしかなく、私もちょくちょく乗るんだが、熊本から宮崎に抜ける道はずーーーっと深い山の中。基本乗り物が好きな私ですらさすがに飽きてくる頃に「あ、家だ!」となるのがいつも人吉。
君子のため、この世界から足を洗えと銀次に諭すお竜。
お竜「銀次さん。女の幸せはね、好きな人と添い遂ぐるこつ。それしかなかよ。お君ちゃんは、もうあんたとの幸せに命ば賭けとる。そりゃあんたも分かっとるはず」
銀次「……」
お竜「あんた…女一人ば殺して、そっで男?」
銀次「……」
首を振る銀次。
銀次「無理だ無理だ無理だ。無理だよ…」
お竜「無理じゃなか!酷なこつば言うようばってんが、あんたの気持ち一つばい!」
銀次「…あっしの。あっしの…」
頷くお竜。
お竜「銀次さん。あたしはね、あたしの遂げられんかった幸せば、お君ちゃんにだけは…。そっが、あたしのせめてもの、お君ちゃんへの償いなんよ…」
銀次「……」
★★★★★☆☆☆☆☆