『フェイス/オフ』
1997年アメリカ映画 138分
監督:ジョン・ウー
脚本:マイク・ワーヴ マイケル・コリアリー
出演:ニコラス・ケイジ ジョン・トラボルタ 他
おもしろーい!なんで今まで誰も教えてくれなかったんだろう、この映画。こういうのこそ見てないから見たいんだ。
因縁の関係にあるFBI捜査官ショーン(ジョン・トラボルタ)とテロリストのキャスター(ニコラス・ケイジ)が、ひょんなことから顔を移植で入れ替え、対決することになるという話。昨日の映画と同じジャンルだけど、格段に分かりやすい。監督の香港映画的(というか東洋人的?)な発想が影響しているのか、情に訴える過去話をこれでもかと重ねてくる。そして、ぶっ飛んだ設定にもかかわらず不自然さを感じない。もちろん「顔だけ変えたって気付くだろ」ってのはあるんだけど、そんなのびしばし振り切って突き進むから気にならない。そんなこんなで物語はもう恥ずかしげもないくらいに追い込まれていく。すごいなぁ。と、それは「こういうの思いつくなんて」ってんじゃなく、「ここまでなりふり構わず盛り込んじゃうなんて」って意味での感嘆。
「顔変える」っていう出オチ的発想からスタートしていながら、ストーリーの骨格はしっかりしている。しかも、筋は通っていながらも物語の焦点が度々反転していく(ショーンの息子がキャスターに殺されたっていうアバン、テロの阻止という明確なリミットのための前半、そしてショーンとキャスターの対決に向けての後半)ので飽きない。
それから、あざといまでの演出。「んなアホな」となりそうな顔手術の説明シーンも、部下の耳手術の場面とカットバックさせながらやってるから何となく納得しちゃう。あと、キャスターの仲間の家での壮絶な銃撃戦のシーンに、子供が聴いてる"Over the Rainbow"が重なったり。「…とかやると分かりやすいですけどね」みたいな話で出てきたことを全部実行したような感じだ。
ディテールの遊びも楽しい。刑務所の床が磁石だったり、脱獄して初めてそこが海の真ん中だったってことに気付いたり。あっさりバンバン人殺すところも面白い。
そして、なんてったって役者の魅力だ。というよりニコラス・ケイジだ。私が一番言いたいのはそれだ。もう最高のアホカッコよさ。「赤ちゃん泥棒」の頃も普通にカッコよくて大好きだったけど、年を重ね、髪が寂しくなるにつれてまろやかなアホっぽさが香り立ってきましたね。こういう人のことをセクシーと言いますよ、私は。
役柄的にもニコラス・ケイジ演じる(そしてジョン・トラボルタに入れ替わる)キャスターという男が非常にいい。ショーンの娘ジェイミー(ドミニク・スウェイン)との関係とか。ニコラス・ケイジがよくてキャスターがいいから成功したんじゃないかな、この映画。もちろんトラボルタも(「こんな馬鹿げた顎はイヤだ」というところなんて特に)良かったんですが。ショーンの妻イヴ(ジョアン・アレン)が全然美人じゃないところも絶妙なバランスだ。たまたまかもしれないけど。
キャスターの仲間のアジトでの銃撃戦の後。
キャスターとショーン、銃を構えたまま鏡を隔てて背中合わせになる。
ショーン(中身はキャスター)「お前と入れ替わって何がこんなに嫌なのか…。この顔か、体か…」
キャスター(中身はショーン)「……」
ショーン「お前の女房と寝るのは悪くないが…」
キャスター「……」
ショーン「やっぱり、お互い元の方がいいだろ?だから戻ろうぜ、元に」
キャスター「…奪われたものは戻らない」
ショーン「…そうか。じゃあしょうがない。殺し合おう」
鏡越しに向き合う二人。
激しい撃ち合い。
★★★★★★★★★☆