『恋空』

2007年日本映画 129分

監督:今井夏木

脚本:渡邊睦月

出演:新垣結衣 三浦春馬 他


昨日があれで今日がこれって、別に深い意味なんかないです。


関係者様からチケットを頂いてたのに結局見れずじまいになっていた映画。今実際見終わって胸に去来したのは、これ映画館で友人T氏と一緒に見とけばよかった、という激しい後悔の念。ああ池袋で見たかった。レディースデーに見たかった。マスカラ溶かして号泣する女子高生に両脇固められながら見たかった(「ラストサムライ」を見た時がそうでした)。


終始、降って沸いたような出来事が続く。最初、美嘉(新垣結衣)とヒロ(三浦春馬)が出会うところで、ヒロが花壇から抜いた花を美嘉にあげようとして美嘉がそれを「ひどい」と拒否し、ヒロが再び花壇にそれを埋めて「あ、優しい…」みたいになるところがあるんだが、そのスピリッツが全編貫かれている。花引っこ抜いても植え直して肥料やっときゃ元通り、問題なんか何もなしっていう。そんな感じで初体験もレイプも妊娠も流産もガンも乗り越えて行っちゃうんだねっていう、その安易さがとても恐ろしい映画。


何を根拠にこの二人は惹かれ合ったんだ?とか、避妊のことを誰かいっぺんちゃんと教えてあげた方がいいんじゃないか?とか、結局流産した子供は生まれてこなくて正解だったんじゃないか?といった大人な突っ込みをしてもしょうがないことは重々承知。感情というより反射で生きてらっしゃるので。しかしこういう人々が本当にのさばってるんだとしたら、日本も相当治安の悪い国になりましたね。とりあえず、もっと勉強しよっか勉強。


とはいえ、田舎の高校生の言う「付き合う」って行動がこの程度のものだということは何となくリアルな気がする。行くとこもなく、まともに話ができるほど物も知らんとなると、一番切実に感じられる行為はセックスくらいしかまあ無かろう。何かね、だから妙に寂しくなるんです。物語に感情移入してというのではなく、ああこの子らは、こんな程度の関係を「愛」とか「永遠」とか「運命」などと言うしかない世界に生きているのかと。ペラいペラい世界、でもそのペラさに気付いてすら(もっと言えば、気付かされてすら)いないのかと。この子らの言う「永遠」って、25歳までには終わる「永遠」。ガッキーの、瑞々しさの欠片もない死んだ演技はその象徴。

その辺の皮肉をきちんと自覚しながら作ったら、「イージー・ライダー」みたいに相当痛ましく、挑戦的な青春映画になった可能性もあった気がする。しかしまあ、それが皆目無いってとこが良かったんだろうな、きっと。


今日は複数。


   大人になった美嘉、故郷へ帰る電車の中で。

美嘉のN「もしもあの日、あなたに出会っていなければ、こんなに苦しくて、こんなに悲しくて、こんなに涙が溢れるような思いはしなかったと思う。だけど、あなたに出会っていなければ、こんなに嬉しくて、こんなに優しくて、こんなに愛しくて、こんなにあったかくて、こんなに幸せな気持ちを知ることもできなかった…」

   美嘉、空を見上げて、

美嘉のN「元気ですか?私は、今でも空に恋をしています」

   ×   ×   ×

   レイプされた美嘉を見つけたヒロ。

美嘉「なんでここにいるって分かったの?」

ヒロ「俺の、愛の力だな」

   抱き合う二人。

   ×   ×   ×

   美嘉に子供ができたから一緒に育てると両親に報告するヒロ。

   育てる自信はあるのか、という父親に。

ヒロ「自信じゃねえよ。絶対にそうすんだよ!」


★★☆☆☆☆☆☆☆☆