『エデンの東』

1955年アメリカ映画 115分

監督:エリア・カザン

脚本:ジョン・スタインベック ポール・オズボーン

出演:ジェームズ・ディーン ジュリー・ハリス 他


大変屈折した映画。安易に「分かるよ、あんたの気持ち」などと言ったら、この映画の主人公キャル(ジェームズ・ディーン)には即座に「ちげーよ!全然分かってねーよ!」とはねつけられそうだ。


複雑な話なのだが、「善か悪か」というその枠組み自体は非常に分かりやすく、確固たるものとして存在している。なので、この話の複雑さは「そのどちらに属すか」という個人の揺れる思いに起因するもの。そういうの、キリスト教的というかアメリカっぽいなぁと思うんだよな。対照的に日本の物語の複雑さは、「善か悪か」という枠組みそのものの不明瞭さに起因している場合が多い気がする。


「個人であることの厳しさ」が徹底的に描かれているためか、登場人物たち一つ一つの台詞も非常に観念的。だから、見ていて非常に疲れる。「自分とは何か」っていう問いは誰もが一度は抱いたことがあるものだろうし、それゆえ共感もできるのだけど、ここまで抜き差しならない状況には日本じゃなかなかならないんじゃないか。


ここで描かれる以前にも色々あったっぽい、と思わせるのは小説原作の特徴。母ケート(ジョー・ヴァン・フリート)が何を考えていたのかとか、ちょっと気になる。


しかし、ジェームズ・ディーンって意外と小柄で可愛らしい人なんだな。斜に構えたポスターのイメージが鉄板すぎるだけに、このナイーブさに驚く。「ブラザーズ&シスターズ」のジャスティンにも似てる。


   父アダム(レイモンド・マッセイ)に説教されるキャル。

   「お前は腐っている!」と言われ。

キャル「僕は腐ってます。昔からです」

アダム「いや、私の言い過ぎだ」

キャル「でも本当です。アロンはいい子です。善も悪も親から譲られる。僕は悪だけ譲られた」

アダム「それは違う。善悪は、心の持ち方次第だ。動物と違い、人は道を選べる!」

   アダム、キャルの表情を見て、

アダム「…聞こうともしないのか」

キャル「……」


★★★★★★★☆☆☆