『ボクが病気になった理由』
1990年日本映画 101分
監督:鴻上尚史 大森一樹 渡邊好孝
脚本:鴻上尚史 大森一樹 渡邊好孝 永井明
出演:鷲尾いさ子 勝村政信 名取裕子 大竹まこと 他
この頃の日本映画っていっちばん遠い。ほとんど見たことないんじゃないか。大体、「僕」を「ボク」と書くセンスが遠い。
病気をテーマにしたオムニバス形式のコメディ。それぞれ傾向は違うものの、ただひたすら思うのは「金あるなぁ」ということ。豪華というわけでもないのだが、なんせバブル。みんな若いし眉毛は太いし。気力も財力も充実していた時代の遊び。リッチなおふざけ。
非常に不思議な気持ちになるのである。面白いことをやっているということは分かるし、自分自身、この手のシュールさに大きな影響を受けていることも自覚している。でも私この映画、クスリとも笑えなかったのだ。「こういうの、好きでしょ」と言われるはずなのに全く。
この冗長、この無意味、この金のかけ方というものは、短く分かりやすくチープなお笑い番組が幅を利かす昨今の潮流の真逆を行く。決して今がいいと言うつもりはない、むしろ問題だらけ。だけど、そんな現状へのアンチとしての笑いすらも、ここまで色褪せて見えるとは。「昔は良かった」という言い訳に逃げることなんか、もはやできないんだな。慎重にならないと。
女医の純子(鷲尾いさ子)、自分が癌だと思って立てこもっている
藤井(勝村政信)に拡声器で毅然と呼びかける。
純子「藤井さん。レントゲン写真を読みました。あの影は、癌じゃありません」
藤井「じゃあ何なんだ!」
純子「それは、うんこです!」
余裕の表情を浮かべる純子。
藤井「うんこ?」
純子「そう。うんこです。うんこは癌じゃない。当たり前ですね?」
順子の隣に控えている刑事の桜田(大高洋夫)も、言い聞かせるように、
桜田「うんこだ!うんこだ、うんこだぞ!」
徐々に藤井の元へ近づく桜田。
桜田「徐々に近づいて うんこうんこ。うんこなんだ!うんこだったんだよ!うんこ!」
藤井「……」
桜田「うんこだぞー!」
と、盾を持ち隊列を組んだ大勢の機動隊員たち、
「うんこだ、うんこだ」と声を上げながら藤井に近付いていく。
★★★☆☆☆☆☆☆☆