『悪名』
1961年日本映画 94分
監督:田中徳三
脚本:依田義賢
出演:勝新太郎 田宮二郎 中村玉緒 他
展開が潔く早い。娯楽路線で割り切った、非常に楽しい映画。
勝新といえばすっかり「座頭市」のイメージだったので、本作朝やん(勝)のつぶらな瞳に少なからず驚く。手足が短く顔大きく、重心は低い。今のカッコよさの基準とはだいぶ違う気もするが、こういう人は今いても絶対にモテる。あと、酒が一切飲めないという設定も良い。モートルの貞こと田宮二郎(これまたタイプの違ったカッコよさ)とのコンビネーションも絶妙。なんかもう、007なんか見るよりこのシリーズ見てたほうがいいんじゃないか、という感じすらする。が、河内弁の聞き取りは英語以上に難しい。
ジェームズ・ボンドばりにモテまくる朝やんなのだが、悪気がないだけに女泣かせなのだよなぁ。これは酷い男だよ。そして、いろんな女との縁が切れない朝やんを最終的にかっさらっていくのが「くいだおれ」で女給をしているお絹ちゃんこと中村玉緒。この人も、あまりに邪気がないためどうしたらいいか分からない。かわいい顔で(そう、かわいいんです)「私は処女を捧げたんだから朝吉さんの奥さんなの」と言い放たれた日には…。ラスト、朝吉を信じて命がけで因島の置屋から逃げてきた芸者・琴糸(水谷八重)も、そらポカーンとなります、分かります。だけど、ああ、だからこの二人って結婚したんだろうなぁ、と妙に納得感があったのも事実。
そしてこういう任侠ものを見ていると、やっぱり高倉健のことを思い出してしまう。同じ構図の物語なのに、勝新ならこんなにナチュラルに女が匂う。そして健さんの特異さが改めて浮き彫りになる。もう最近健さんのことが気になりすぎてマルベル堂で大判ポートレイトまで買ってしまった。めちゃくちゃ暗い目でドス構えてる写真。勝新のピストルの図とはえらい違いです。
因島の旅館で琴糸をかくまっている朝吉の元に、
追手がやって来て、襲いかかろうとする。
朝吉、立ち上がり、
朝吉「その前にあんさんらのどてっ腹に風穴があきまっせ」
着物の懐に、ピストルを構える朝吉。
追手「ピストルか!」
朝吉、後ずさる追手に近づき、
朝吉「どいつや。命知らずなあほんだらはどなたか。ワレかいっ!」
★★★★★☆☆☆☆☆