『大逆転』
1983年アメリカ映画 118分
監督:ジョン・ランディス
脚本:ティモシー・ハリス、ハーシェル・ワイングロッド
出演:ダン・エイクロイド、エディ・マーフィー 他
何の前知識も先入観もないままに見た映画。SNL系のドタバタコメディなんだろうな、と気楽に見てたんだが、どうも深刻。笑えない。いや、もちろんバカバカしいシーンのオンパレードなんだけど、「人間の本質は環境で決まるか血統で決まるか」を実際の人間で調べてみようとしている金持ち老兄弟の試みはまんま社会学の実験(しかもなんかやっちゃいけない系)で、救いがない。面白いは面白いんだけど、興味深いという意味の面白さで、逆になんでこういうネタがこんなバカ軽コメディ風に演出されちゃってるのか不思議に思えるほど。
これ作った人は非常に真面目でロジカルで内省的で、だからこそ暴発してしまったのか、大丈夫かな、とすら思っていたのだが、見終わってこの映画と、監督ジョン・ランディス(『ブルース・ブラザーズ』や『サボテン・ブラザーズ』の監督だった…!)のことを調べてみて、何となくその理由が分った。
「1983年、『トワイライトゾーン/超次元の体験』の撮影中、主演俳優のヴィック・モローと子役2人がヘリコプターの落下事故により命を落とすという悲劇的な事故が起き、罪に問われた。 事故後も映画界はランディスに寛容で、『大逆転』、『眠れぬ夜のために』を監督したが、彼自身の精神的打撃は大きかったようで、射殺される役を自ら演じるという自虐的とも受け取れる行為も見られ、彼の作品にどことなく暗い影を落とすことになった」(wikipediaより)
私は、ドリフや欽ちゃんやマチャアキに異常なまでの拒否反応を示す子供だったんだが(テレビに一瞬でも彼らの顔が映ると火がついたように泣いていた)、おそらくそれは、彼らの背後に、スラップスティックの持つ本質的な残酷さというか、後ろ暗さを見ていたからだろうと思う。この件に関する分析を始めるときりがないのでやめとくが、とにかくこの映画を見ていて思い出したのは、子供の頃敏感に反応していたその手の残酷さ。時代的にも83年、ちょうど私が泣き喚いてた頃の作。
以下、このどこが残酷なの?と思われるかもしれないエディ・マーフィーのシーン。
金持ちのじいさんにいきなり家へ連れてこられたエディ、風呂に入る。
執事「ジャグジーにいたしますか?」
エディ「何だいそれ。妙な仕掛けで溺れさせようってのか?」
執事「いえ、泡風呂でございます。きっと、お気に召しますよ」
ブクブクと泡が出てくる。
エディ「あらー、こら、泡ブクブクだ。風呂ん中で屁たれたってこう立て続けにはいかねえもんな。あ、こらごきげんだぁ、ハハハ」
★★★★☆☆☆☆☆☆