『座頭市物語』

1962年日本映画 96分 

監督:三隅研次

脚本:犬塚稔

出演:勝新太郎 万里昌代 天知茂 他


この時の勝新、30歳か…。ありえん。

勝新の顔って、もちろん知ってるはずなんだけど、どうもぱっと浮かばない。一番リアルな印象として残ってるのは、子供の頃テレビで見た例の逮捕時の顔くらい。でもそれは勝新が印象の薄い顔をしているせいではもちろんない。むしろ正反対、あまりにも強すぎるので、いわゆる等身大の人の顔として認識しにくいせいだと思う。これで30ってのもありえんが、この顔もありえん。大体目つぶってるのに目力が凄いってのがありえん。そういうわけでまあ、言わずもがなの凄い映画。


しかしよくできた脚本。非常にシンプルだけど強い構図。娯楽作は、誰が見ても理解できるような普遍性がないといけない、とは分かっちゃいるが、つまりはこういうことなのだろう。現に外国でも人気高いらしいし。パソコンとかDVDとか無い時代でもこういうしっかりした脚本というものは作られていたんだよなぁ、阿呆のような感想だが。


そして不勉強にして今まで知らなかったが、これの舞台って房総なのだそうで。ますます興味を引かれるな、房総。大好き房総。南房パラダイス。また行こう。


そして何よりこの映画、全編通じて飛び交いまくる「この、どめくらがっ!」という言葉ありきのカタルシスで構成されているわけだが、綾瀬はるか版ではどうなるんでしょう、と言うまでもなく、電車内、お年寄りに席を譲ってる人のいる風景が目に浮かびます。合掌。


市「なあ吉さん、お前さん今たかがめくらだとか言ったね」

吉「いや、それは…」

市「俺はね、めくらだとかかたわだとか言ったって、別に文句は言いはしねえよ。その通りだもんな。だけどね、たかがめくらだとか、めくらのくせに…そうめくらを侮った言い方されると文句があるんだよ」

飯岡「文句とは何でえ、開き直って何を言ってんでえ」

市「てめえのこというのはいやですけどね、あっしは座頭っていう名前通り、3年前までは笛吹いて街を流してた按摩でさぁ。そりゃずいぶん侮りも受けたし虐められもしたもんだい。はは、別に泣きゃあしねえがね。…悔しかったよ。こんちきしょう、めあきの野郎ども、何とかして鼻明かしてやりてえ…そう思ってこう、いじり始めたのがこいつだ」

   と、大事そうに刀を撫でる。

市「おい吉さん、お前さんも立派なめあきだけどね、こんなこたできるかい」

   と、おもむろに居合い抜き――!

   蝋燭、火がついたまま真っ二つに割れる。

市「断っときますけどね、市の命はそう安くぁ売れねえよ」

   出て行く市。


かあああっこいい。


★★★★★★☆☆☆☆