松井さんは、90年代に私がアップル在籍していた時の同僚であり、友人でもあります。著作第一弾『僕がアップルで学んだこと』の時は、私自身のアップル体験とともに、感想・コメントを書かせてもらいました。こちら。
今回の本では、極めて優秀な本社(主にアメリカ)のエリート集団が、生態系のような「仕組み」をつくり、「私設帝国」のごとくに、世界を支配している様子を、具体的に分析的に語っています。ファーストフードのマクドナルドや、石油のエクソンモービルなど他業界のこともとりあげてますが、やはり16年在籍されていたアップルについての分析は、断然面白いです。
私自身、1997年にアップルを辞めてからも、Macintosh、iPhone、iPadなどアップル製品を買い続けてきましたが、さらにiTunesストアで音楽・アプリ・本・映画が買えるようになると、まさに搦め取られるように、お金をアップルに貢いでいます。こうして今文章を書いているMacBook Proも、ビジネスパートナーや顧客への連絡のためのiPhoneも、いつのまにか、これなしでは仕事と生活が成り立たないと思える道具になっています。iPadは、どちらかというと娯楽とか楽しみのための受動的なモノですが、朝ご飯を食べるときに、マレーシアで日経新聞が読めたり、マレーシアのローカル紙Starが読めるのは、やっぱり便利です。
90年代の半ばごろ、パソコンの世界では、WindowsのOSが一気にシェアをとり、当時東京のアップルで働いていた私は、マイクロソフト社のことを「悪の帝国」と本気で呼んでました。「ビルゲイツさんよぉ、インタフェースをマネして、大量にばらまいて、ずるいよ」と。それから20年近くたとうとしている今は、マイナーで倒産寸前だったアップルが、巨大化して帝国のごとく振る舞っているのは、不思議な運命の巡り合わせです。
さて、嬉しいことに、本書『企業が「帝国化」する』の最終章「ではどうすればいいのか?」で、私自身のマレーシア移住と「バリ島のルクサ石鹸」ビジネスのことを、「ネットを使ってマーケットを広げる」事例の1つとして書いていただきました。私設帝国の魔の手から逃れ、自由で自立した個人として生きていくために、いくつか戦略がある中で、日本を飛び出して、自らの商品やサービスを日本(や世界)に向けて売っていくのが有効というのは、自分自身の経験からも納得です。もちろん、簡単なことではないのですが、挑戦してみる価値は有りです。
今の私に足りないのは、「世界に向けて」の部分です。というのは、この15年間マレーシアを拠点にはしているものの、ほぼ100%日本マーケットだけをねらってきましたから。これからは、本当の意味でのグローバル化を実現して、世界を相手に自分の商品やサービスを売っていきたいです。特に、シェール革命で上昇気流にのりつつあるアメリカ市場を、何らかの形で攻略したい。そのためにも、松井さんが言うように「アップルの優れた実行力」をお手本にしなくっちゃ。


