ボイストレーナーをしていると

生徒さんによく聞かれる質問がある。

 

「先生が一番上手だと思うアーティストは誰ですか?」

 

この質問、何かを教える・伝える立場にある人は

気を付けて回答しないといけないと思っている。

 

トレーナーと同じような声になっていたり

表現がその子らしくないな~と思うことがあるが

そんな時、

そのボイストレーナーは

この質問をされたときに

適切な回答をしているのかと不安になる。

 

そもそも、上手ってなんだ?

 

歌唱力?

表現力?

歌詞がしっかり伝わる?

独自性?

 

歌唱力一つとっても、

高い声が出るから上手なわけではないし

声質だってみんな違う。

 

ソウルフルな分厚い声が好きな人もいれば

ささやくような甘い優しい声が好きな人もいるだろう。

 

上手だと思うポイントは人それぞれ違うので

それは、生徒一人一人に自分で感じてほしい。

 

だから私はいつもこう答えている。

 

声が好きな人

リズムの取り方が好きな人

歌詞の伝え方が好きな人

楽曲の作り方が好きな人

パフォーマンスの仕方が好きな人

性格が好きな人

 

私の好きなアーティストはたくさんいるよ。

 

あなたもまず、このそれぞれの分野で好きな人を考えてみて!

 

 

 

こう提案することで、

今まで以上に様々なジャンルの音楽を聴いて

生徒本人の学びになる。

 

一番を決める前に、数を踏んでほしい。

自分の価値観を飛び越えて

さまざまなアイデンティティに触れることで

あなたの音楽に深みが出るから。

 

そして最後には、

自分の目指す場所

信じる想いを大切に

あなただけの音楽を奏でてほしい。

 

そもそも、音楽はプロアマ関係なく

全世界みんなのものであり、

比べたり、奪い合ったりするものでは本来ないのだから。