[映画紹介]




一昨日、映画「オデュッセイア」をIMAXで観賞。
アメリカでは既に7月17日から公開。
日本での公開は今週9月11日だが、
IMAX劇場のみ1週間先行上映
本当はグランドシネマサンシャイン池袋の
IMAXレーザー/GTテクノロジーで観たかったが、

せっかく会員を継続したのに、
プレミア会員先行予約に阻まれ、
すぐに満席になったので、
やむなく、イオンシネマ幕張新都心のIMAXレーザー劇場で観賞。

なぜIMAXでの観賞にこだわったかというと、
この映画、劇映画で世界初の
全カットがIMAXカメラで撮影された映画だからだ。
従って、観賞時も通常スクリーンでの画面ではなく、
IMAX劇場で観賞するのが正しい方法。

IMAX(アイマックス)は、
カナダのIMAXコーポレーションが手掛ける
高解像度のカメラ、フィルムフォーマット、
フィルムプロジェクター、アスペクト比の高い横長の大画面
(約1.43:1または1.90:1)と
急勾配のスタジアム席で知られるシアターからなる独自のシステム
(スタンダード映像は4:3、シネスコ映像は2.35:1。)

 

普通の映画はデジタル化以前は35㎜フィルムで撮影するが、
IMAXでは、70㎜フィルムを使用。
(実際は撮影時不必要なサウンドトラック部分を除いた65㎜)
通常の70㎜映画3コマ分を使い、
水平方向にフィルムを走らせて撮影する。


その画面面積は35㎜の約10倍

従って、細部まで鮮明な映像が得られる。

 

 

1. 43:1での上映をフルサイズ上映と称する。

フィルムを使用せず、

デジタルでフルサイズ仕様の出来るIMAXカメラもあるが、


ノーラン監督はフィルムを使った撮影方法を採用。

全編70ミリのネガフィルムで撮影された。


フィルムのIMAXカメラはフィルムを内蔵するスペースの関係で、
3分間しか連続撮影ができず、
しかも、ものすごい騒音を出すので、
会話シーンの撮影に向かない。
だが、今回は軽量のカメラと
騒音防止装置を付けたので、
会話シーンの撮影も可能となった。

フィルムで撮影されたといっても、
上映時はデジタル変換されたもので上映。
しかし、フィルムをそのまま使って上映する劇場
世界に一つだけある。
メルボルンの博物館にある劇場がそれで、

70㎜フィルムを水平方向に走らせるという、


撮影時の再現性が高い方法で上映される。

日本にはIMAXのフィルム上映館がないので、
東京と大阪の2館しかないIMAXレーザー/GTで
(GTとは、Grand Theaterの略。)

観るのが最適だが、

とにかくチケットが取れないので、
次善の策として、
IMAXレーザー(日本に50館ある)での観賞となった次第。

そのため、アクセプト比というが、1. 43:1ではなく
1.9:1になってしまうが、

単純に上下が切り取られてしまうわけではなく、
上映方式に応じてフォーマットされているのだという。

日を置いて池袋の切符が取れるようになったら、
IMAXレーザー/GTで
フルサイズで観ることもできるので、
取り敢えず、IMAXレーザーで我慢することにした。

なお、通常のカメラで撮った映画作品をアップコンバートし、
IMAXとして上映することもあり、
この方式をIMAX DMR(デジタル・メディア・リマスターリング)と呼ぶが、
画面サイズの縦横比は従来通りの場合もあり、
私はそれを「うそマックス」と呼んで区別している。

ノーラン監督の前作「オッペンハイマー」(2023)も、
IMAXカメラで大部分撮影したが、
場面によっては、通常カメラでも撮ったため、
時々上下に黒い部分が生じて、
やや興ざめだった。

で、やっと映画について触れる。


本作「オデュッセイア」は、
トロイ戦争を題材にした
ホメロスの叙事詩が原作。

ホメロスの「イーリアス」と「オデュッセイア」は、
トロイ戦争関連の「キュプリア」など物語8篇(叙事詩環という)のうち、
ただ2つ現存するもの。

当時は出版物はなく、
吟遊詩人が竪琴で歌った物語。
(ギリシャ版浪曲? 韓国のパンソリ?)
「イーリアス」はトロイ戦争そのものを描き、
「オデュッセイア」は、
ギリシャ軍の智将、オデュッセウスの
故郷への帰還の旅を描く。
「オデュッセイア」とは、オデュッセウスの物語、の意。


オデュッセウスは、ギリシャの西の方にある国イタケの王で、
ギリシャ連合軍の将として、トロイ戦争に参加。
10年における長期戦の最後、
ギリシャ軍が退却したと見せかけて、
放置された木馬の中に身を潜め、
戦勝の祝宴にわくトロイア軍の虚をついて、
夜中に木馬から出て、城門を開き、
戻ってきたギリシャ軍を導いて
勝利に導いた作戦の立案者。

終戦を見届けた後、
妻の王妃ペネロペが待つイタケに兵士と共に戻ろうとするが、
立ち寄った島で、一つ目の巨大怪物に出会ったり、
鎧の巨人軍団に攻められたりで、
仲間の大半を失う。
魔女に兵士を豚に変えられたり、
冥界の島に行ったり、
最後は危険な海域に入って渦に巻き込まれそうになったり、
6つの首の怪物に6人が食われたりした後、
強烈な嵐に遭遇して沈没、
自分一人だけ生き残り、仲間を連れ帰ることができなかった。


流れ着いた島で美女に助けられ、
蓮を食べて記憶をなくし、
7年間滞在する。
そして、船の破片でいかだのような小舟を作り、
ようやく故郷のイタケに戻る。

地図で見ると、わりと近いのに、10年かかった。

このオデュッセウスの旅の話に並行して、
残されたペネロペを取り巻く状況が描かれる。
というのは、オデュッセウスが出征してから
20年が経過したため、
もう死んだとみなされて、
ペネロペの再婚が取り沙汰され、
100人近い求婚者が押し寄せていたのだ。
訪れた客人をもてなさなければならないという
「ゼウスの誓い」により、
求婚者たちがペネロペの家を食いつぶしていた。

また、並行して、オデュッセウスの一人息子テレマコス
父の生死の確認の旅や
トロイの木馬を巡るオデュッセウスの回想も描かれる。


木馬作戦で、一つの文明を滅ぼしたことに


オデュッセウスは罪意識を抱いている。

最後は求婚者たちとの闘いになり・・・

なにしろ2800年前の出来事の物語で、
ギリシャ神話に属する話。
だから、荒唐無稽はいたしかたない。
随所にノーラン流の新解釈がなされている。


原作でオデュッセウスが訪れた主要な場所は、
↓のとおりなので、
ノーランがどこを省略したかが分かるだろう。

トロイアを出発

イスマロスで略奪

ロートパゴイ人の島 記憶を失う蓮の誘惑

ポリュペモスの島(シチリア島説) 巨人と死闘

アイオロス島 風の袋と部下の失敗

ライストリュゴネス人の土地 船団の壊滅

キルケーの島アイアイエー  1年間の滞在

冥界への旅 死者との対話

セイレーンの海域 美しくも恐ろしい歌声との遭遇

スキュラとカリュブディスの海峡(メッシーナ海峡説)

太陽神の島トリナキア 神罰で仲間が全滅

カリュプソーの島オギュギア(マルタ島ゴゾ島説)  7年間の足止め

パイアケス人の島スケリア(コルフ島説) 最後の救いの手

故郷イタカ島へ帰還

当時の兵士が命を惜しまず名誉を重んじ
名を残すことに価値を置くなど、
武士道に通じるものもある。
また、亡くなった兵士の弔いを重んずる気風なども描かれる。
紀元前の時代劇だが、
現代に通じる何物かを感ずる。

マット・デイモンがオデュッセウスを演じ、


妻ペネロペをアン・ハサウェイ
息子テレコマスをトム・ホランド


他にロバート・パティンソン、ルピタ・ニョンゴ、
サマンサ・モートン、ゼンデイヤ、シャーリーズ・セロン
らが出演。
「スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ」と
なぜか出演者がかぶっている。

全編正式なIMAXカメラで撮影されているため、
上下に黒い帯が出ることはなく、
映像は鮮明、
戦争を舞台にした人間ドラマとして面白かった。
何より膨大な数のエキストラを使った
壮大な戦闘シーンが超弩級の迫力。
IMAXで撮影されたことを納得できる。

アカデミー賞では、撮影賞、編集賞、音響賞は確実だろう。

11日から一般公開される。

5段階評価の「4」

原題は「THE ODYSSEY」(オデッセイ)。
オデュッセイアから派生した言葉で、
「長期の放浪・冒険」のことを示す。
「2001年宇宙の旅」(1968)の原題は「2001: A Space Odyssey 」。


火星に1人取り残された探索者を描く「オデッセイ」(2015)は、
日本で付けた邦題で、
原題は「The Martian 」(火星の人)。


マット・デイモンが出演しているので、ややこしい。


本作は、アメリカのBOX OFFICEで、
初登場1位、
その後3位をキープ。
最新の情報で、
公開7週目で、興行収入5億6300万ドル(約872億円)をあげている。