[書籍紹介]

中学校の国語教師・檀千郷(だん・ちさと) は
不思議な力を持っていた。
他人に起こる未来を予知できるのだ。
それは祖父と父から継承した体質で、
「先行上映」と名付けられている。
ただ、やっかいな条件があり、
他人の唾液や飛沫を飲み込んだ時だけ
その他人の視点からの未来を見ることができる。
従って見るには、
その人物の唾液や飛沫を採集しなければならないのだ。
人に言っても理解されないから、秘密だったが、
たまたま生徒が乗る予定の新幹線の事故を予見して告げ、
乗車する列車を変更して難を逃れたことから
その生徒の父親である内閣府の役人の監視下に置かれる。
というのは、過去に起こった「カフェ・ダイヤモンド事件」という
爆弾テロの被害者親族のサークルに不穏な動きがあるからだという。
その影響は檀にも及び、
突然拉致監禁されてしまう。
という話に並行して、
檀の教え子の布藤鞠子(ふとう・まりこ)が書いた小説を
檀が読んでいる内容が挟まる。
猫を虐待した人物を
ある金持ちの依頼を受けてお仕置きする
ネコジゴハンターの二人組、
ロシアンブルとなアメショーの話だ。
ところが、ある時点で、
ネコジゴハンターの二人が檀の前に現れる。
現実と架空の話が連動してしまう。
そして、檀の見た「先行上映」での爆弾テロを阻止するために、
檀はネコジゴハンターと共に、
行動を開始する。
その舞台は人気選手の新記録ホームランが出る
後楽園球場だった・・・
ロシアンブルとアメショーの2人組が面白い。
一人は悲観的な性格、
片方は楽観的性格で、
ことごとく対処の仕方で衝突する。
超能力、架空の物語との連動など、
伊坂幸太郎ワールド全開のお話。
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」の
永遠回帰の考え方が根底にある。
ただ、被害者親族サークルが
その考え方でテロを起こすのは、少々無理がある。
ペッパーズ・ゴースとは、
劇場などで使用される視覚トリックの一つ。
板ガラスと特殊な照明技術により、
実像と板ガラスに写った「幽霊」を重ねて見せることで、
効果を発揮する。
東京ディズニーランドのホーンテッドマンションの
大広間を想像したらよい。