[映画紹介]

ある港町に青年・キャメロンがやって来る。
乗って来たおんぼろキャンピングカーが故障してしまい、
修理で町に足止め。
修理費を稼ぐ為に紹介されたのが、
町が運営する小さな水族館の清掃員。
そこでは、年老いた未亡人トーヴァが働いていたが、
足をくじいた老女トーヴァの助手として働き始める。

キャメロンが町にやってきたのは、
母を亡くし、まだ見ぬ父親に会うため。
最近実の父親の存在を知ったのだ。
自分のバンドも今は解散状態で傷ついている。
一方、トーヴァは、
老後の生活を施設でするか悩んでいた。
トーヴァには、
30年前に息子を失ったことがあり、
息子の死は自分のせいと思い込んでいる。
複雑な事情で孤独な2人。
歳の差を超えて少しずつ友情を育んでいく。
亡くなった息子へ投げつけた言葉への後悔。
会えた事がない実父への憧憬と渇望。
そして、実はキャメロンとトーヴァをつなぐある事実が隠されていた・・・
という、小さな町の小さな水族館を舞台に展開する人間模様。
特色は、そのことを
水族館の一匹のミズダコ・マーセラスの目を通じて描いている点。

タコという動物は、
その不気味な姿に反して、
高い知性を持っているという。
そのことは、
2020年のアカデミー賞の
長編ドキュメンタリー賞受賞作
「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」
でも描かれていた。

マーセラスは人間たちを観察していて、
言葉も理解している。
マーセラスはケガをしていたのを保護されたのだが、
既に1300日を過ぎ、
最近、死期を感じており、
最後は海に帰って死にたいと思っている。
時々水槽から抜け出して、水族館を徘徊したりしている。
そのマーセラスが、
キャメロンとトーヴァの間にあった
ある因縁を明らかにする。
トーヴァの心の傷をいやし、
人生を大きく変えるような事柄だった。

こういうアメリカの片田舎での
傷ついた者同士の心の通い合いを描くのは、
アメリカの得意技。
原作は、シェルビー・ヴァン・ペルトの全米100万部突破のベストセラー。
世界累計400万部以上を売り上げている。

監督は「ザリガニの鳴くところ」のオリヴィア・ニューマン。
トーヴァをサリー・フィールドが演ずる。
最近顔を見ないが、
「ノーマ・レイ」(1979)、「プレイス・イン・ザ・ハート」(1984)と、
アカデミー賞主演女優賞を2度受賞しているベテラン。
キャメロンをルイス・プルマン(ビル・プルマンの息子)
マーセラスの声をアルフレッド・モリーナが担当している。

映画全体が暖かい雰囲気をもっており、
読後感はすこぶるいい。
タコの造形と動きはCGだろうが、見事の一言。
原題は、「Remarkably Bright Creatures 」(意外な、輝く生き物)
邦題は、先に出版された書籍に合わせたもの。
Netflix で今年5月8日から配信開始
Netflix の映画ランキングで1位を獲得。
