[映画紹介]

 

 

アメリカ人のジョイは、
ボリショイ・バレエ団のプリマになることを夢見、
2009年、15歳で単身ロシアへ渡り、
バレエ団付属のボリショイ・アカデミーに入学する。
苛酷な指導に耐え、
卒業公演で主役に抜擢され、
最優秀の成績で卒業するが、
ボリショイ・バレエ団の入団者リストに彼女の名前はなかった。
アメリカ人であることが理由と思ったジョイは、
ロシア人の男性ダンサーと結婚し、
国籍をロシアに変えて、
ボリショイ・バレエ団に入団する。
しかし、バレエ団の暗部を暴いたために、
ほされ、夢をあきらめそうになる。
しかし、最後の関門のコンクールを目指したジョイは・・・・

実話だという。
モデルとなったのは、
2012年に、アメリカ人女性として
初めてボリショイ・バレエ団とソリスト契約を結んだ
ジョイ・ウーマック
ジョイの回顧録「Behind the Red Velvet Curtain 」がもとになっている。

「美と狂気のバレリーナ」と副題がついているが、
何事でもトップを目指す者は
狂気にとらわれないと達成できない。

アカデミーでは、
教師ヴォルコワによる脅迫的なレッスン指導が描写される。


言葉の壁、過激な減量、浴びせられる罵詈雑言、
ライバルを蹴落とすことに容赦がない激しい競争。
アメリカ人のジョイは同級生に良く思われず、
陰湿ないじめに遭う。
トウシューズにガラスの破片を入れられたりもする。
華やかなバレエ界の裏側で
ダンサーたちが直面していた過酷な現実。
バレエ団の暗部を暴いて、裏切り者の烙印を押されるが、
このあたりは描写不足か。
再起を目指してコンクールに臨む時、
先輩ダンサーのナタリア・オシポワ
(現英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル=本人が出演)と邂逅。
コンクールに出場したジョイは
「裏切り者」との罵倒の中で全力で踊るが・・・

ジョイを演ずるのは、タリア・ライダー


教師ヴォルコワはダイアン・クルーガー
監督・脚本はジェームス・ネイピア・ロバートソン                 

レッスンシーンとバレエシーンは破綻なく、
過酷な世界の光と闇がクールな映像美の中で描かれる。
共演のダンサーたちも、
世界トップのバレエ団で活躍する現役ダンサーたち。
今まで知らなかった世界を知る驚きがあふれる。

モデルとなったジョイ・ウーマック本人は、
ボリショイ退団後、
やはり同じロシアのクレムリン・バレエに入団し、
プリンシパルダンサーとなった。
今もバレエ界で活躍を続けており、
パリ・オペラ座の契約団員など各国で舞台に立ち、
2025年のローザンヌ国際バレエコンクールで審査員を務めている。
ウーマックは本作製作の始めから深く関わり、
撮影時は振付、バレエシーンの指導をし、
主人公のバレエの代役もつとめたという。
そのかいあってか、
アカデミーでの訓練シーンは大変リアルだし、
バレエのシーンも美しく仕上がっている

昨年の4月に日本公開された作品。
私は「CCS」という映画観賞サークルに在籍しているが、
そこでは、年間ベストテンを投票で決めている。
会員がつけたそれぞれのベストテンの
1位を10点、2位を9点・・
と採点し、その合計で全体のベストテンを決める。
本作は16位で、3人が各自のベストテンに入れているが、
うち一人は年間ベストワンに上げている。
公開時は知らない作品だったが、
丁度Netflixで配信したので、観た次第。
観てよかった。