ご訪問ありがとうございます。フォローして下さる方、いいね!下さる方、とても感謝です。リブログ大歓迎です。暑さ厳しい毎日、雨の被害に遭われた各地の皆様、お見舞い申し上げます。話をわかりやすく一話完結にしています。

 

長男はセラピーに来るメンバーが入れ代わっても、別に気に留めないようだった。 時々、数年前に務めていたセラピストが我が家を訪問することがあった。 

 

「この人は誰?」

 

質問すると、息子は必ず正しい名前を答えたが、「通り過ぎて行った過去」と認識するのか、執着を示すことは皆無だった。

 

あの夏、私と夫は長男を普通学級へやる夢を諦めた。息子はアルファベットを手書きできれいに書いた。実際、夫の叔父は、長男が彼に書いた手紙を読んで感嘆した。 

 

「長男君の文字は、普通高校で優等生の、近所の子よりずっと上手で読みやすい」 

 

長男は足し算が出来た。しかし、引き算になると混乱 した。自分の名前は言えたが、 毎年変化する年齢を訊かれると、稀にしか正しい答えを言えなかった。

 

せっかく覚えたのに、どうして違うんだろう?

 

彼ははっきりと自閉症の症状を見せていた。言葉によるコミュニケーションに依然として著しい遅れが見えた。

 

私はコンサルタントや 児童心理学者のアドバイス を、細心の注意で聞いていた。誰 もが 同じアドバイスだった。 

 

「長男君は 睡眠が足りないんじゃないかな?」 

「外は寒いから家の中 にいた方がいい」 

「運動が足 りないんじゃないかな?」

 「食事 はちゃんと取っていますか?」

 

早期介入すれば、48%の自閉症の子供は回復する「ABAの48% 伝説」とは、何だったのだろうか? 私 たちは、自閉症の手引書「Facing Autism」に 書 いてあることはすべてやった。母親は実感する。自閉症は依然として原因不明なのだ。治療法は確立されていないのだ。親が正しいと信じて全力で取り組んだ治療が、間違っていたらどうすればいいのか? 結局、うちの子は治らない52% だったのか。挫折感に打ちひしがれ、自閉症の手引書を、古新聞を処分する、リサイクルの赤いプラスチック箱 に 放り込 んだ。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

フォローしてね!