
彼女の背中には誇らしげに"1"がつけられていて、小さな背中のせいかより大きく見えた。
彼女は浩康の打席になるとiPhoneを彼に向けていて、見ると膝には横浜の新しい浩康ユニが丁寧に畳まれていてそれを握りしめている。
それを見て思わず声を掛ける軽いノリのおっちゃん…
『いいね!浩康が好きなのね?』
『そうなんですぅ~。どっちを応援するか悩みますぅ~♪』
なんて会話から始まって…
『僕も長いことヤクルトファンをやってるけど、浩康は大好きな選手の一人だよ』(決して嘘ではない)

それからは僕の一人言や歓声に一々反応してくれたり気を使ってくれたのか話し掛けてきてくれて、おかげで僕は楽しかった。
たぶん学校の男の子達と来てるんだけど、彼女が会話をした数は僕が一番多かったんじゃないかな~。
撮った写真を見せると『いいな~…』って何度も言う。
そんな写真を譲ってあげようともう少しでLINEのIDを聞くところだった。
《アラヒフのおっさん、神宮で危うく女子大生をナンパするの巻き(笑)》

君が浩康が大好きでとってもいい子なのはよくわかったよ。
でもね、 君が着るべきは山田ユニじゃないと思うんだ。浩康が好きな人ならタイプ的には谷内君だと思うんだよね。
(※個人の感想であり趣向を強制するものではありません)
もちろんLINEのIDを聞くことはなかったけど、別れ際にハイタッチをしてバイバイをして帰った。
神宮球場でつかの間の野球観戦仲間ができたようで楽しかった。
こんなおっちゃんの相手をしてくれてありがとう。