スワローズファンのあなたに彼女ができそうで、先ずやらなければならないことは彼女に“神宮球場を好きになってもらう”ことです。

東京にもこんな素敵な森があることを身をもって感じてもらって何度も一緒に行ってもらうには、その日スワローズに勝ってもらうことも大切ですが最初のインパクトが大切です。
この森や象徴的な建物なのに入ったことない絵画館や、神宮球場以外に行ったことのないスポーツ施設の生い立ちやうんちくは今週のブラタモリ(神宮外苑スペシャル)を録画して3回熟見して頭に叩き込んでおきましょう。
さて、最初の出会いから数回メールを重ねてやっとこぎ着けた最初のデートは春のデーゲームです。
試合後にお酒のあまり飲めない彼女をいきなり居酒屋に連れていってはいけません。
お散歩ととっておきのレストランでお茶をしましょう。

まず神宮球場からいちょう並木を通り、車の通らない住宅街を抜けて青山墓地を目指しましょう。
花が咲いていても咲いてなくても桜の木が美しい青山墓地を抜け、つば九郎が夜な夜なぱとろ~るしてる西麻布を更に抜けて広尾に向かいます。
ゆっくり歩いて30分くらい…、お散歩はお茶よりも飲みよりもゆっくり会話ができる方法なのです。
お散歩中のネタは野球の話やこれから行くお店の話をして期待を膨らませましょう。
質問のオンパレードや自分の話ばかりでは嫌われます。
お互いの共通の話題を早く見つけてうまく会話のキャッチボールを始めましょう。

さて今日のとっておきのお店は西麻布の交差点から数分の(たぶん)東京唯一のスフレ専門店。
そこは30年近くやっている有名店で、フレンチレストランみたいな落ち着いた店構えと店内に気後れしそうになるけど、そこは場馴れを装って勇気を振り絞って入りましょう、彼女は君の背中を見ています。
フレンチレストランですが昼も夜も基本はスフレと飲み物だけで、スフレの種類だけで30種類以上。
どれにしようか迷うけど好奇心旺盛でチャレンジャーな彼女はきっと一番食べたいチョコレートのスフレあたりを選ぶはず。
彼女と同じ物を頼んではいけません、自分は基本のバニラのスフレにしましょう。
そのわけはしばらく食べ進んだ段階で、
『一口ちょうだい…

とスプーンをつつき合うと急接近できること間違いないからです。

さてそのお味は…
テーブルに出されてふわっと膨らんでいる姿に見とれていると30秒でしぼみ始める代物。
写真なんか撮ってないで急いで真ん中にスプーンで穴を開け、ソースをその穴めがけて流し込み、中心から外側へと崩しながら一気に食べていきます。
粉雪か綿菓子みたいにふわっふわなスフレは口の中で溶け、口の中にはバニラの香りが残る不思議な食べ物。
焼き加減で場所によって色んな触感が楽しめます。
合わせる飲み物はスフレが優しい味だけにコーヒーよりも紅茶が合うかもしれません。
とにかく美味しいんです。

広尾駅までは真っ直ぐ歩いて5分くらい。
スフレの感想やこの日の反省会をするには少し短すぎるので少し遠回りをして有栖川公園を通って行くといいでしょう。
優しいスフレの味に青山墓地を歩いてた時よりも少し二人の距離感は近づき、肩が触れ合うくらい縮まっているに違いありません。
神宮球場でデーゲームの野球観戦の後、たまには夕暮れの東京を散策しつつ、身体も心もホッと温まるフランス菓子を楽しんでみるのもいいかもしれません。

(人にもよりますが)お散歩コースとスフレは完璧です、8割方落ちてます。
あとは広尾の駅に着いて彼女が
『今夜は少しお酒が飲みたいな…』
なんて言ってもらえるかどうかはあなたのトークと誠実な立ち居振舞いにかかっています。
そしてその夜に彼女から素敵なお礼のメールが届くとデートは成功とみていいでしょう。
それでは健闘を祈る。