今僕は外苑の森を歩いている。
まだ冷たい空気が頬を刺し、時おり首をすくめさす風は少しずつ芽吹いた新しい息吹きの匂いを運んでくる。
もう春なんだ。
僕はわざわざ遠回りをして神宮球場に向かっている。
寒くてもいい、寒さにビールが全然進まなくてもいい、大好きな野球場で大好きな野球が見れると思うと足どりも軽いし、球場の照明灯が見えてくると早足になってしまっているんだ。
野球観戦が目的でこの森に来るのは去年の神宮球場の最後の試合以来。
会心の勝利、忘れられないくらい嬉しくて喜んだのに、それがその年最後に見た彼らの野球だった。
今年もヤクルトスワローズの野球が神宮球場で見れそう。
あんな神宮球場、あんな思いをもう一度、いやもっと感動的な思いを感じたい。
何をかくそう今年の開幕、オープン戦すら待てずに神宮球場に向かう自分を想像(妄想)していたのだ。
野球場に向かう想像はできても、やってる野球を想像することはできない。
彼らの野球は毎年少しずつかわってゆくから。
今年はどんな野球が見れるのか…
実に楽しみな春が来た。