追悼 | 「迷ったらGO!」

「迷ったらGO!」

思い立ったらやっちゃえ!的に行き当たりばったりで行動してしまう、いくつになっても落ち着けないベイスターズファンの親父と、カープ命の母親ジュン、そしてなぜかドラゴンズ狂の息子カイが繰り広げる三つ巴の熱き戦いをお送りします。

 

 

 

 

 

 

 

もう30年も前になるのか。

 

 

 

クラスで断とつワンツーフィニッシュで頭の悪かったオレとタイチが大学の卒業旅行に選んだ地は

 

 

 

中米 コスタリカ

 

 

 

二人とも初めての海外なのになぜそこを選んだのかはいまだに謎だ。

 

 

 

最初の2週間はそれぞれ分かれて語学学校通いながらホームステイ。

 

 

 

その後の1週間は二人で旅行し

 

 

 

タイチは日本に帰り、オレは旅を続けた。

 

 

 

そんな命がけの珍道中を繰り広げている真っただ中

 

 

 

二人でカリブ海のビーチに行こうとした時だった。

 

 

 

夜明け前に乗り込んだオンボロバスはヤシの木の間からこぼれる朝日を浴びながら海沿いを走り、

 

 

 

すっかり陽が昇ったころ終点の小さな町に着いた。

 

 

 

え?

あれ?

 

 

 

ココ、目的地じゃないんスけど・・・

 

 

 

同じバスから降りてきた人に聞いてみた

 

 

 

「ココ、どこっすか?」

 

 

 

「ここは〇〇。あー××ね

30分以上手前のバス停よ」

 

 

 

まさかのスルー!

 

 

 

どうする?

戻る?

もう目的地ここにしちゃう?

 

 

 

パニック!

 

 

 

バス停にいる係のおっちゃんに聞いてみた

 

 

 

「××まで行きたかったんだけど通り過ぎちゃった。どうすればいい?」

 

 

 

「××まで行くバスは昼過ぎまでないぞ」

 

 

 

「だろうな・・・」

 

 

 

「近くを通るバスはあるから寄ってもらうように頼んでやるよ」

 

 

 

マジで!

 

 

 

そんなことしていいの?

 

 

 

しばらくおっちゃんと雑談してると、砂埃を巻き上げながらバスがブッ飛ばしてきた。

 

 

 

ンギャギャギャギャギャー!

 

 

 

と、ちぎれそうな音で止まりドアが開き係のおっちゃんと運転手がトップスピードの早口で二言三言言葉を交わすと

 

 

 

運転手がチラッと俺らの方を見て「乗ってけ」と派手なジェスチャーで迎えてくれて

 

 

 

なんとか目的のビーチにたどり着いたのだった。

 

 

 

かといってそこに何かあるわけじゃなく

 

 

 

ただ単に、カリブ海が見たかった、と言うだけで

 

 

 

あれだけ苦労してきたわりに数時間しかいなかった。

 

 

 

そしてその数時間で撮った写真がコレだ。

 

 

 

使い捨てカメラの割にはちゃんと撮れてるぜ

 

 

 

世界の果てまで行ってQ何をしてんだって話だけど

 

 

 

まぁ、何をしてるのかは一目瞭然だ。

 

 

 

そう、なにをしているのか誰でもわかる。

 

 

 

いまや世界中の人がこのポーズが何をしているのか理解できるのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界中で愛されているドラゴンボール。

 

 

 

もれなくどっぷりと小・中学生時代を鳥山作品にハマっていた。

 

 

 

ストーリーやキャラクターと言うよりも

 

 

 

スクリーントーンを使わないで描かれる風景だったり

 

 

 

昔のようでもあり未来のようでもある乗り物だったり

 

 

 

国籍や民族不明なファッションだったり

 

 

 

そんな、それまでになかった世界観が大好きでした。

 

 

 

1枚のイラストから世界に飛び出し冒険する自分を想像していました。

 

 

 

そしたら

 

 

 

海外初なのにコスタリカを選び

 

 

 

目的地通り過ぎる珍道中をくりひろげ

 

 

 

やっとたどり着いたビーチでこんな写真を撮るような大学生に成長し

 

 

 

その後も命けずりながら遊び

 

 

 

悟空に負けない冒険を目指してたら

 

 

 

放浪癖が抜けない大人になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生を楽しくする術を教えていただき

 

 

 

ほんっとうに

 

 

 

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご冥福をお祈りします。