近所のバルのカウンターで食事をしていると、隣にいた知らないおじさんが話しかけてきた。
「世界で一番長い距離を走る列車を知っているか?」
僕が鉄道マニアであることを知る筈はないのに、唐突な質問である。少し考えて、
「シベリア鉄道かな・・ いや、1988年にパリ~香港を走って、日本にもやってきたオリエント急行がある」と答えたが、違うと言う。
「最近走り出したばかりだが、中国とマドリッドを結んでいる列車があるんだ」
意外さに驚いて、自宅に戻ってすぐにネット検索すると、なるほど、それは事実だった。
中国~スペイン間の列車 2014年12月9日付の記事
世界一長い鉄道列車 Yixinon 易信号
義鳥~マドリッド間 13,052km 所要21日間
11月18日、浙江省義鳥市 Yiwu をコンテナ貨車82両を牽いて出発
総貨物量1400トン、800km毎に機関車を交換。
中国、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、フランス、スペインの8か国経由。 途中で軌道幅が変わる地点は3か所、カザフスタンのドスティク、ベラル-シのブレスト、スペインのイルン。
運行はインターレールサービス(IRS)、ドイツ鉄道(DB)などが担当、スペインはTransfesa。
義鳥市は知名度こそ低いが、中国製品150万品目が揃う集積ターミナル、海外市場への出荷拠点となっている。鉄道輸送は、船よりも速く、飛行機よりもコスト安がメリット。
スペインからの復路は生ハム、ワイン、オリーブ油などを積む。今回の列車はいわば試運転的なもので、食糧品を主体とするスペインの物資が中国に到着して採算が合うと判断すれば 2015年春から定期的に運行されることになる。
スペインの勧業大臣アナ・パスト-ル氏は「この列車は、シベリア横断鉄道とオリエント急行の12,250kmを凌いで、史上最長の路線を走る。スペインと中国の商業振興に貢献する希望の道」とコメント。マドリッド市長アナ・ボテージャ氏は「21世紀のシルクロード」と表現した。マドリッドはスペイン、中南米、アフリカを結ぶハブ地点となることが期待される。
1985年にマドリッドは北京の姉妹都市となり、今年は30周年にあたる。
昨年の貿易高は249億ドル。最近3か月間だけで208億ドルに達しており、急速な伸びを示している。将来5年間のうちに、累積総額1万トリミリオン(億兆単位)ドルが見込まれている。
(出典 El Mundo, Antena3, 20minutos 抄訳 by ルイス)
