映画アラビアのロレンスより
機関車の前に連結させた貨車にトルコ守備兵を配置して沙漠の中を走行
背後から標準を合わせた軽戦車によって直ちに打ち落とされるトルコ兵
それ、かかれ!名馬はオレたちのもの
検分のため機関車に向かうロレンスと少年兵
この後の襲撃で雷管を誤爆させた少年兵は負傷して作戦は失敗。
捕虜になり拷問で自白するのを避けるために、ロレンス自らが少年の頭を撃ち抜きます。
決して勝利の連続ではなく、困難に満ちた戦いの連続でした。
この映画を見ると、ロレンスはアラブの独立をもたらしましたが、時の権力に疎まれて引退し、暗殺説も囁かれる悲劇の死を遂げた人物です。戦後の新たな枠組みにおけるアラブの顕揚と共に鎮魂の意味を持つ映画とも解釈できます。
しかしながら、長い中東の歴史の観点から見ると、第一次大戦後のオスマン・トルコの滅亡とアラブ諸国の独立は、現代の社会に混乱と戦乱を招いたというマイナスの要素も大きいように思われます。
それは、ヨルダン国王が晩年になって感慨を述べた言葉に凝縮されています。「トルコは長きにわたって中東世界を統一と秩序によって統治していた。過去にトルコは我々に対して害をなしたか。その恩義に対して、我々は仇を以って報いたのではないだろうか・・」
イギリスによる二枚舌外交の結実としてイスラエルが建国され、パレスチナとの終わりなき対立が始まり、現在に至るイラク、シリアの戦乱や中東地域の情勢不安の多くは、約100年前のこの時代に決定づけられた事項に起因しているのです。




