ひまわり畑を見るために、アルカラ・デ・ガルダイラの町に出かけてきました。
路線バスに自転車を積んで、郊外の町から畑まで自力で走れば大丈夫だろうという考えです。
サン・べルナルド駅のバス停で聞くと、「Viso de Alcor行きのバスに乗って、途中で降りればいい。ただし荷物スペース付きのバスでないと自転車は載せられないよ」との旨。係員のおじさんが携帯で連絡してくれて、次の126番バスなら積めることを確認。運転手は女性で、親切に応対してくれました。
ガソリンスタンド前の停留所で降りて、ママチャリで走ること約6km。
1週間前にバスで通過した時に車窓から眺めた時はすぐのように見えましたが、実際はそれなりの距離。高速道路内の路肩を4kmほど走ります。スペインでは高速でも場所によっては自転車OK。サン・ファン・デ・ディオス修道院の学校から廃道となった旧街道に入り、目指すはひまわり畑。
一面に咲き誇るひまわりの花 油を絞るために栽培されています。
収穫は8月、目的は花ではなく種です。
鮮やかな黄色のミモザ
棘々で嫌われ者のあざみも逞しく咲いてます
グラナダへの旧街道は20年前の高速開通によって廃道となってしまいました。かつてこの道を観光バスが通っていた時代が懐かしいです。
丘の上には大地主の古風な館。レコンキスタ時代の砦が起源で、現在の建物は17世紀以降のものと思われます。
周辺一帯は先史時代から集落があったようで、イベロ・ケルト期のドルメンも発掘されています。歴史や考古学も興味の対象なので、標識を頼りにサボテンの生い茂る道に入っていきました。奥には軍施設があり、歩哨に尋ねるも曖昧な答え、遺跡の場所は見つかりませんでした。たとえ辿りついても管理人もおらず、一般公開していない可能性大なので、今回は諦めて、炎天下の下、脱水症状に眩暈を覚えながら、再び高速道路をバス停まで。
なによりも、水! 倉庫の隣にバルがあり、すぐさま飛びこんで水補給。
腹ごしらえも必要で、日替わり定食のパエジャとポークシチューを注文、一息入れて復活☆
満腹になったところで、さて、帰りの算段。昼下がりはバスの本数も減り、1時間近くありません。行きはヨイヨイ、帰りはコワイ、コワイながらも通りゃんせ・・とは、まさにこのこと。
停留所の傍には墓地と葬祭場、正確に言えば火葬場。時間も余っていることだし、スペインのこの種の設備はどうなのだろうと好奇心を覚えて入ってみました。
受付のおじさんと顔が合ったので、挨拶を交わしてプチ・インタビュー
スペインでは公営ではなく大部分が民間企業による運営。都市部では火葬の割合が70%、土葬の割合が30%、農村部ではこの比率が逆転します。都会ではカトリックの教義に則った伝統、亡骸は残して最後の審判で再び甦るという信仰も薄らぎ、昨今の墓地価格の高騰と土地不足から、火葬が現実的になってきたのでしょう。葬儀の平均費用は3200ユーロ、最近は保険会社や互助会による積み立てが増えているそうです。
「ウチは綺麗な焼き上がりが自慢で、普通は1時間半ぐらいで済ませるけれど、3時間以上かけて丁寧に仕上げる。どうだウチの互助会に入らないか?」とユーモアたっぶり。こちらでは日本のように骨は残さずに完全に灰にするので、骨上げの儀式もありません。司祭も付き添わず、宗教的な意味は全くない、単に焼くだけの施設。
お礼のつもりで日本の葬儀事情を説明すると、おじさんは興味深々で聞いていました。 内部には釜入れの扉も礼拝堂もなく、病院のように清潔で簡素な幾つかの待合室のみ。棺と墓石の展示販売室がちょっと不気味ですが、奥はモダンなカフェテリアになっています。御焼き上がり(というのか?)を待つ親族の方々がビールやカフェを飲んでいました。最近は日本の斎場も変わりつつありますが、暗く陰鬱な雰囲気があまり感じられない、妙に明るい空間です。数年前に「おくりびと」という映画化された小説も読みましたが、既成の観念とは違った現代の死生観へと変化しているのでしょう。誰もが最後にお世話になる場所、避けては通れません。
高速上に架かった歩道橋の向こうに、トラムの軌道が見えます。
セビージャからアルカラ・デ・グアダイラまでの建設中の路線。ブログネタに使えるので寄り道することにしました。これは次回の記事で紹介しましょう。
最近は地元のひまわり油からディ-ゼル燃料を生産しており、エコロジー分野で注目されています。価格は従来の軽油と同等で、1リッターあたりの単価は12ユーロ55セント。
余禄は市バスの車庫に保存されていた古い路面電車、初めて見る型です。
警備員に尋ねても?状態 年代も本物かレプリカかも定かではなく、データは不明。
市街地に入る手前で貨物専用の線路を跨ぎます。
当地の貨物線は市街区域を大きく迂回しているので、中央駅を通りません。
夜間のダイヤが多く、これが貨物列車に馴染みが薄い理由の一つ。
結局、帰路はバスに乗らずに、ひまわり畑からセビージャまで延々と約25km
40度を越える猛暑の中を走って戻ってきました。
自宅に帰るなり一気に水シャワーを浴びてバタンでした。



