ポトシ銀山 | スペイン鉄道暮らし

スペイン鉄道暮らし

 メルクリンZゲージを中心に N&HOゲージの車輌コレクション 
 これまで訪れた国の鉄道に関するスナップ写真や記事を掲載しています

ポトシは南米随一の銀の産地。人口11万人

高1の地理で暗記した世界の主な地名の一つでしたが、後になって実際に行くことになるとは思いもよりませんでした。

世界遺産とはいっても、ここは植民地時代の奴隷労働の記憶を伝えるための「負の遺産」です。同時に凄惨を極めた原住民迫害の歴史が刻まれています。そして、それは現代でも・・
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展望タワーよりポトシ全景


1545年に銀脈が発見されて、スペイン植民地時代に繁栄しました。

今でも採掘作業は続けられています。現地のエージェントに申し込んでツアーに参加すれば、坑内に入って採掘現場の様子を見ることができるので、実際に体験してみました。


各国からのパックパッカーの若者たちと共にミニバスに同乗、総勢11名。ガイドは2人で、説明は英語とスペイン語、僕はスペイン語を選びました。8人 vs 3人と、後者は少人数で、選択は結果的に正解でした。


まず、労働者地域の一角にある倉庫で坑夫の装備に着替えて、ガイドの指示で市場の一角でおみやげを買います。一人一本のダイナマイト、2リットルのジュース、コカの葉など・・初めは意味がわかりませんでしたが、坑内で納得。彼らにとっては、こうした実用的な差し入れがありがたいのです。
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入口付近の作業小屋と坑夫たちの住居
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トロッコの軌道が敷かれた坑道の出入口

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4世紀以上に渡って掘られてきた坑道は全長500kmという信じられない長さ。

見学は約2時間、埃と臭い、息苦しさと蒸し暑さに耐えねばなりません。
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入るとまもなく暗闇の中、ヘッドランプの光を頼りにしながら奥へ進みます。

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ポイントのレールは繋がっていないので、重いトロッコを人力で持ち上げて方向を変えます。
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ようやくトロッコが通れる高さと幅しかない狭い坑道。地面に這いつくばって進まなければならない穴もあります。閉所恐怖症の人にとっては耐え難い空間。

ノミとハンマーでダイナマイトを仕掛ける穴を掘って、入れている場面も見せてもらい、坑道の奥底から響いてくる、ボンという重い爆破音も聞きました。

まだあどけない顔立ちの少年も働いています。不法労働がまかり通る実態は昔のまま。一日8~10時間労働で、1か月の給料は1万円足らずとのこと。鉱石の採出量が多ければ上乗せされますが、逆に少ない月は減給されます。

坑内では食事もできず、コカの葉っぱを噛みながら、水と清涼飲料水のみ。多くの労働者たちは肺を病んで、長くは生きれないそうです。あまりにも・・過酷。

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動力車は使われていないので、人力で坑道の坂を引きあげ&押し上げていきます。

一人当たりにかかる重量も大変なもので、まさに重々重労働。

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満身の力を込めてポイントでのレール載せ替え作業 
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ああ、光が見えてきた! やっと娑婆に出れるぞ!
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坑夫たちと一服のひととき
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銀の精錬所
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沈殿した細かい砂銀の粒

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指先で掬った銀粉は辛い労苦の賜物