かつての日本には長距離普通列車がありました。
各駅停車なので、極めて時間がかかり、俗に「鈍行」と呼ばれていました。
東北本線は上野から黒磯までは直流、そこから北は交流に変わりますので、青い電気機関車が赤い電気機関車に交換されるのです。
ED78 交流式電気機関車
東北本線の旅客&貨物列車の牽引機として活躍
中学を卒業した春休みのこと。「高校合格のお祝いは何がいい?」と親に聞かれて、「北海道を一人で旅したい」と答えて、かねてからの念願が叶ったことも懐かしい思い出、初めてのひとり旅です。
まずは一ノ関行、さらに青森行に乗り換えて、普通列車でのんびりと旅をしました。自宅を早朝に出発、途中下車した仙台で北海道周遊券を買い、丸一日がかり。
旧型客車の車内
木の香が漂い、天井の丸いライトに照らされた空間には、ひとの温もりがありました。
暖房はエアコンではなくて座席下のヒーター、足元からしっかり温まります。
列車の壁に掛けられた行き先表示板が郷愁を誘います
青森駅に着いたのは夜中でした。ひっそりとして人も少ない青函連絡船の待合室。
僕は小柄で童顔だったせいもあり、家出少年と間違えられて、鉄道公安室に連れて行かれてしまうという思わぬハプニングに遭遇。夜遅くながら自宅に電話して親に身元確認、事無きを得ました。
寒い雨がちの翌朝に降り立ったのは、憧れの北海道の玄関口、函館・・