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長月式部日記

さまざま思ふこと

今年も残すところあと3週間。

また12月が巡ってきました。


実は早いもので、もうすぐ父の一周忌を迎えます。

何でも面白がって少し変わった事が好きだった父の命日は

なんと1年の最後を締めくくる大晦日。

葬儀がお正月になってしまって大変でしたが、

それも今となっては思い出の一つとなってしまいました。


この1年は、何かと忙しく悲しくそして腹立たしく(!)もあり。
母などは心労から胃潰瘍にもなってしまって心配でしたが、

ようやく回復してきて元気になってきたのでホッとしています。

そんなこんなで(?)相変わらず私は泣いてなんかいられない

1年を過ごしてしまいましたね~

まぁ色々ありますけど人生ってそんなもんでしょう?!

またひとつ、大人の階段を昇れたかな(^o^;)


ただ、どうしても昨年の今頃は…と何かにつけて

考えてしまうのは仕方のないことなんでしょうね。

あの時こうしていたら…と思い返す瞬間が私にもあります。

もっとも父の場合は入院してからほんの3週間の

闘病生活で逝ってしまいましたので、

出来ることにも限りはありましたが。


そんな悶々と考えている時に、あるエッセイと出会いました。

私が敬愛する美術家・森村泰昌氏の本の一節です。

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この中の「何も為さない事の価値」というエッセイでは、

数年前にお父様をご病気で亡くされた森村氏が

その体験から感じたことを書かれています。


医師や看護士は患者を「治療」するのが仕事であるが、

では家族がする「看病」とはどういうものなのか。

森村氏は、「動けない患者と同じ時間を、同じ空気を吸いながら

共有して患者の孤独感を和らげること」と書いてます。

病ゆえに「何も為せない」人と「何も為さずに居る」ことに価値があると。

寝たきりの人は、動ける人がうらやましいものです。

そばに人が居るだけで安心していた父の顔。

そして、面会を終えて帰る時のあの寂しそうな顔。

思い出すだけで胸が締め付けられる気持ちがしますが、

そんな「看病」を私も出来ていたかしらと…


* * * * *


と、そんな風に父の事をいろいろ思い出している時に、

浅田真央選手のお母様の訃報を知りました。

48歳なんて若すぎる。

ニュースを聞いて色んな感情が湧きあがってきてしまいました。

お母様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


* * * * *


ところで、父と相思相愛だった我が家のレオ君は、

なんだかこの1年で急にお爺ちゃんになってしまいました。

最近は後ろの左足が悪くて残り3本で歩いているんですよ。

寝ててもヒューヒュー言ってて、ちょっと心配です。


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最近はこうして膝掛けにもぐって寝るのがお気に入り♪


レオ君は我が家にとって3代目のワンコで

初代のリッキー君は16歳、2代目のルイ君は13歳で

天寿を全うしました。(3匹ともマルチーズマルチーズだよーです!)


リッキーもルイも、お母さん子だったのですが、

3代目にしてやっとお父さん子のワンコになったので、

父が可愛がるあまりに迎えに来ちゃうんじゃないかしらと

要らぬ心配をしていますあせる


ジュラ紀まであと少し-111211_1355~01.jpg

ただ座っているだけなのにお爺ちゃんに見えるよ~(^_^;)

どうかまだ元気で暮らせますようにビックリマーク

アートの世界では「光と影」が最近のキーワードらしい…?


というのも、前回記事に書いた「南蛮美術の光と影」に続いて

またも「光と影」という題名がついている美術展に行ってきたからです!


「プラド美術館所蔵 ゴヤ-光と影」展

於:国立西洋美術館

期:2011年10月22日~2012年1月29日


ゴヤといえばプラド美術館

そのプラドから、日本では40年ぶりの公開という「着衣のマハ」を始め、

肖像画や版画、素描などがごっそり出展されていまして、

ゴヤだけを200%満喫できる美術展となっていますビックリマーク


ちなみにプラド美術館の館長さんの話によると、プラド以外で

これほど大きな規模でゴヤ展を開くのは初めてだそうで、

しかもプラドのゴヤ専門家2人が監修した最新の研究結果を

展示に反映しているとの事なのですが、そういえば確かに

作品の解説文がどれも読み応えがありました!

じっくり時間をとって行かれることをオススメします(*^▽^*)


ジュラ紀まであと少し


美術展のチラシにも使われている「着衣のマハ」

プラドだと「裸のマハ」と隣同士に展示されている作品。

日本で鑑賞できるのはと~っても嬉しいのですが、

「裸」と「着衣」はやっぱりセットで観たいのが絵画好きの人だと思うので

プラドを訪れた人の気持ちを思うとちょっと複雑な気分でもあります…

とは言え、はやり本物がオーラが違いますね!

モデルの女性の何とも言えない色っぽい目付きに惹きつけられます。

最近の美術展では、目玉作品は大抵最後の部屋に展示されている事が

多いのですが、今回は割と早い段階で観ることができますよ。



それでは気になった作品をご紹介していきます♪

ゴヤは18世紀半ばから19世紀にかけて、当時としては長命な

82年の実に波乱万丈な人生を送りました。

そんな人生が反映するかの様に絵画表現も多彩だと思います。


まず若かりし頃、スペイン王立のタペストリー工場で

下絵画家として活躍していた頃の作品。

どれも愛らしくて素敵なんですけど、気に入ったのはコチラ↓


「木登りをする少年たち」
ジュラ紀まであと少し

まるで少年たちの歓声が聴こえてくるような可愛いらしい作品ですね!

子供っていつの時代でもどこの国でも変わらないんだなぁ。

愛らしい子供達なのですが、衣服は破れていて厳しい生活を

送っていることを語っているようです。

後の「黒い絵」シリーズとは極にあるような明るい作品。

(タペストリーにするんだから当然ですが☆)



そしてコチラはタペストリーの原画なのかわからないのですが、

18世紀末に取りあげた題材としては面白いと思った作品。

「猫の喧嘩」
ジュラ紀まであと少し

「シャーッ!!」って聴こえてきそう(笑)

猫好きには堪らない絵ではないでしょうか(^-^)/

この絵、かなり大きいんですよ!部屋に飾ってあったら迫力でしょうね~



ゴヤは油絵と並んで版画も多くの作品を残しています。

実は今回の美術展が催されている国立西洋美術

様々な画家の版画作品を収集していることでも有名なんですよ♪

このゴヤ展にもたくさん西洋美術館から出展されています。


まずは<ロス・カプリーチョス>という版画集から

61番「彼女は飛び去った」
ジュラ紀まであと少し

<ロス・カプリーチョス>という版画集には、ゴヤが見つめた

ひと癖もふた癖もあるような女性たちが描かれてますが、

この作品はとりわけ私にとってはなじみ深い作品。

敬愛する森村泰昌氏が作品で取り上げているからなんですね~

ジュラ紀まであと少し


森村氏は他にも沢山のゴヤ作品を取り上げていて、

今回はその原画となる作品を幾つか見ることができたので

二重の意味で満足でした♪



こちらは油彩画の作品「魔女たちの飛翔」

ジュラ紀まであと少し

晩年の「黒い絵」に見られるような雰囲気の作品です。
飛翔する3人の魔女たち(一見すると男性の様ですが)は、
抱える男性に知識を吹き込んでいるんだそうです。
胸に口をつけて「フーッ!」と息を吹き込む仕草をしています。
なんだか不思議な浮遊感のある絵ですよね。


そして同じく版画集<ロス・カプリーチョス>から
39番「祖父の代までも」
ジュラ紀まであと少し

愚鈍の象徴とされていたロバを擬人化して
当時の社会を風刺した作品群のひとつ。
この他にも医者になったロバとか、面白い版画が
沢山ありましたよ。


「普遍的言語」
<ロス・カプリーチョス>43番のための準備素描
ジュラ紀まであと少し

この素描はプラド美術館のもの。そしてこの素描を素に
版画作品「理性の眠りは怪物を生む」が生まれまして、
国立西洋美術館からの出展作品が並んで展示されています。
眠っている男に襲いかかる怪物たちは悪夢だそうですが、
ちょっとした転寝の時にヘンな夢を見る事ってありますね。


実は今回、膨大な数の版画が出展されているのですが、
その中の「戦争の惨禍」という版画集の作品は
まるで現代の報道写真に通じるような、
実に生々しい描写の作品なんですよ…
そうしたら、プラド美術館の館長さんの話にヒントがありました。

「私はゴヤを『最後の古典的画家』であり、
『最初の近代的画家』だと位置づけています。
旧体制から新しい時代への転換期を生き抜いた画家が
抱えていた複雑さを、作品を通して知っていただきたい。」

ゴヤが生きていた時代のスペインは、フランス革命後に
ナポレオンが侵入してきて戦争が相次ぎました。
有名なコチラの作品↓「マドリード、1808年5月3日」
ジュラ紀まであと少し
(注:今回の出展作品ではありません)

題材となった背景を知らずとも、何かを感じずには
居られない様な迫力を持った作品なんですが、プラドで見た時、
画家の複雑な思いが絵からひしひしと伝わってきましたね。
後に同じスペイン人のピカソが「ゲルニカ」を描きましたが、
民族の血がそういう気持ちを起こさせるのでしょうか。
会場入口で無料で配布されている読売新聞の特集記事に
プラド館長のインタビューが載っていますので、ぜひご一読を。


版画集<戦争の惨禍>18番「葬って、あとは口を噤め」
ジュラ紀まであと少し

身ぐるみ剥がされて裸のまま放置されている死体…


<戦争の惨禍>44番「私は見た」(準備素描)
ジュラ紀まであと少し

逃げ惑う民衆を見捨てて真っ先に逃げる聖職者と有力者。


<戦争の惨禍>11番「どうしても嫌だ」
ジュラ紀まであと少し

ゴヤの版画は、それぞれの作品についている題名が絶妙です。
どれも版画の内容を深く考えさせます。
 50番「可哀そうなお母さん!」
 15番「もう助かる道はない」
  5番「やはり野獣だ」
  2番「理由があろうとなかろうと」
 69番「無だ。そう言うだろう。」
全部ではありませんが、国立西洋美術館が所蔵している作品は、
HP で公開されていますので見ることが出来ます。


最後に、ホっとする作品もご紹介しておきましょう。
ゴヤは宮廷画家でもありましたが、もちろん
宗教画も沢山描いています。
今回出展があったのはコチラ↓
「無原罪の御宿り」
ジュラ紀まであと少し

実に穏やかなお顔をしたマリア様ですね。
天上の全能なる神がうっすらと描かれているのも
少し近代的な匂いのする絵画です。
暗い題材が多い絵画の中で、この絵の前でだけ
少しホッと出来た瞬間でした。

これだけの規模のゴヤ展は、次に見られるとしても
何十年も後になるのでは?と思わせる内容ですよ。
非常に混んでましたが、鑑賞する価値大いにアリですビックリマーク




なんだか忙しい毎日を過ごしている今日この頃。
書きたい事は沢山あるのに中々手をつけられずにいたら、
今週末に終わってしまう美術展があるので急いでupします!

「南蛮美術の光と影
  泰西王侯騎馬図屏風の謎」展

於:サントリー美術館
期:2011年10月26日~12月4日(途中展示替えあり)
  2012年4~6月に神戸へ巡回します


ジュラ紀まであと少し


16世紀半ばから17世紀にかけて日本で花開いたのが南蛮美術
その中でも技術的に最高峰といわれているのが「泰西王侯騎馬図屏風」で、
現在、神戸市立博物館と東京のサントリー美術館で分蔵している作品を、
一同に公開するのが今回の美術展の目玉なのです!
あまり馴染みのない分野なので、今回は音声ガイドを借りてみました。

実は屏風はモチロン楽しみだったのですが、私にはもう一つ
是非とも見たかった作品が一緒に出展されていました。
先日は日比谷でモーツァルトに会ってきましたが、
ここではあのフランシスコ・ザヴィエルに会えるんですよ!
歴史の教科書には必ず出ているこの絵画です。

ジュラ紀まであと少し

この絵は神戸市立博物館が所蔵していまして、重要文化財指定。
なんと、大阪のさる旧家に「開けずの箱」として受け継がれていた
箱の中で見つかったんだそうですよ。
だから色落ちしてないんですね~
イエズス会から西洋絵画の手ほどきを受けた
日本人が描いたといわれています。
お姿の部分しか記憶になかったので、下部に漢字が
描かれてるのにビックリしたのですが、
「さんふらぬしすこさべりうすさからめんと」
万葉仮名で書いてあるそうです。(読めません…)
読み砕くと「サン・フランシスコ・サベリウス・サクラメント」でしょうかね?

抱いているのは神への愛を象徴した真っ赤な自分の心臓です。
そして口の付近から文字が出ていますが、言葉を発しているのを表します。
「満ちたれり、主よ満ちたれり」と言っているそうなのですが、
このまるで漫画の吹きだしの様な表現を見まして、ある仏像を思い出してました。
コチラ↓の空也上人像です。

ジュラ紀まであと少し

口から飛び出る小さな仏像は、「南無阿弥陀仏」と
唱えていることを表しているんですよ!面白いですよね~
(おっとまた話しが反れてしまった…!)

ザヴィエルはスペインの生まれなのですが、日本へやって来たのは
ポルトガル王のキリスト教布教の要請があったから。
ポルトガルのリスボンには「発見のモニュメント」というポルトガルに関連した
歴史上の人物を表したとっても大きな彫刻の記念碑があるのですが、
そこにもザヴィエルが居ましたよ。

ジュラ紀まであと少し

う~ん、似てるような似てないような…ちょっと微妙?!
といってもこの記念碑は1960年製作のまだ新しい作品なのですけどね☆

さて、今回目玉の「泰西王侯騎馬図屏風」ですが、
それはそれは素晴しかったですよ~!
2双並ぶとド迫力!でしたニコニコ

まずはサントリー美術館所蔵の騎馬図屏風がコチラ↓

ジュラ紀まであと少し

こちらは悠然と馬にまたがる王様たち。
描かれているのは右からペルシャ王、エチオピア王、
フランス王アンリ4世、そしてイギリス王ともカール5世とも
言われているそうです。

そして神戸市立博物館所蔵の屏風はコチラ↓

ジュラ紀まであと少し

サントリーの方が「静」ならこちらは「動」。
剣を振り回し、馬上で闘う姿を現しているようです。
左から神聖ローマ皇帝ルドルフ2世、トルコ王、モスクワ大公
そしてタタール汗(カン)を現しているそうです。

NHKの日曜美術館でもこの屏風を特集していましたが、
この屏風も西洋絵画技法を学んだ日本人によって描かれています。
しかも、使われている絵の具も日本古来の岩彩。
絵の具は日本画用でも技法は陰影法を駆使した西洋画で、
馬具や装身具の金具には金が盛られていて立体感があるんですよ。
これも15~16世紀のヨーロッパの宗教画に見られる特徴ですね。

様々な事情から日本の西と東で別々に所蔵されていた両作品が
一緒に見る事が出来るのは、実に25年ぶりだそうです。
企画展に感謝です!


その他の展示品も素晴しい品ばかりなのですが、
気になった作品を少しご紹介。

国宝「ポルトガル国インド副王信書」
(京都・妙心院所蔵)
ジュラ紀まであと少し
1588年(天正16年)、当時ポルトガル領だった
インドのゴアの副王から豊臣秀吉に宛てた文書です。
羊皮紙に書かれた文書なのですが、保存状態が素晴しいです!
周囲の細密画も美しいのですが、特筆すべきは文頭の飾り文字。
豊臣家の紋章である桐を描いています。
文書はポルトガル語で「キリスト教弾圧を緩めて欲しい」と書かれて
いるそうですが、日本の古文書と違って単語がスッキリ読めるんですよ~
所々理解できる単語もあって嬉しかったです(笑)
ちなみにインドのゴアは、ザビエルの遺骸を納めたお棺がある所ですね。


そして、これまた歴史で習う、キリシタンを探すための踏み絵。
実際に使用されたものです。
ジュラ紀まであと少し

こちらは真鍮製の踏み絵で、当時鋳物師で名が通っていた
荻原祐佐という日本人の作品と伝えられているものです。
なんと、その出来栄えの素晴しさに荻原さんはキリシタンと疑われて
最期は処刑されてしまったそうなんですよ!
なんて理不尽な話しなんでしょうか…。

職人といえば、日本の螺鈿細工に魅了された
宣教師が多かったようです。
ミサや布教に使う用具を螺鈿細工で作るのが流行したんだそうです。

ジュラ紀まであと少し


螺鈿細工や漆細工は、海外の博物館には
必ず展示されている日本の技ですね。
当時も今も、日本の職人は素晴しい!ということでしょうか(*^▽^*)

そして、キリシタン弾圧の哀しい歴史である信者の処刑に関する
絵画も特別にイタリアから出展されています。
元和五年と元和八年の「長崎大殉教図」です。
画像を載せるにはあまりに生々しい描写すぎて控えました…
実際にあった事とはいえ、その絵を見て当時を想像するだけで
震えが来るような悲惨な絵でしたね。

他にも当時の日本人が、一生懸命西洋に技法を学んで
製作された屏風や絵画が沢山展示されています。
本格的な油絵で描かれたキリスト像もあるんですよ!
南蛮美術というあまり馴染みのない分野でしたが、
当時の日本人の技術の高さに感嘆した美術展でした。
興味がおありの方は、ぜひ来年開催の神戸へお運びくださいね~