市村ファントム再び! | 長月式部日記

長月式部日記

さまざま思ふこと


約1年半ぶりの記事アップです。


いろいろあって記事がなかなか書けずにいるのですが、

今回どうしても書き残して置きたい衝動にかられまして、

久しぶりに文字を打っています。



実は先日、ある舞台を観劇してきました。

あの「オペラ座の怪人」の続編にあたる

「ラブ・ネバー・ダイ」 (byアンドリュー・ロイド=ウェバー)です。




ロイド=ウェバーが続編を作ってロンドンで上演したものの、

評判はイマイチだった様で気にはなっていたのですが、

それがまさか日本で上演されるとは!


今回上演されたのは、ロンドン版を大幅に修正して

演出されたオーストラリア版の舞台です。

しかしやはり上演は劇団四季による物ではありませんでした。

でも私はその事にも感謝を申し上げたい。

なぜなら四季主催ではないが故に(ホリプロ主催)、

市村正親さんが演ずるファントムを

再び観ることが出来たのだから!!

(鹿賀丈史さんとのダブルキャストです)



主な配役はすべてダブルキャスト。

実は2度ほど観劇したのですが、2度とも市村ファントムを選択しました。

ファントム:   市村正親

クリスティーヌ:(1回目)平原綾香/(2回目)濱田めぐみ

ラウル:     橘 慶太

マダム・ジリー: 鳳蘭

メグ・ジリー:  笹本玲奈

グスタフ:    (1回目)松井月杜/(2回目)加藤清史郎



実に25年ぶりに観ることが出来た市村ファントム。

市村さんが劇団四季を退団した時、もう2度と市村さんのファントムで

「オペラ座の怪人」を観ることは叶わないのだ、とすごく悲しかった…

それほど私にとって思い入れのある市村ファントム。

また再び観ることが出来る日がやって来るなんて!

それ故にこの感動を書き残しておきたい、と強く思ったのです。

実はもう一つ理由がありまして、この「ラブ・ネバー・ダイ」の

評価をネット検索すると、思いのほか市村ファントムを

受け入れられない、というブログがありました。

それならば反対に市村さんに思い入れたっぷりのブログが

一つぐらいあってもいいじゃないの!と奮起したのです!!

まぁ評価というのは人それぞれですからね(笑)

という事で思いっきり個人的感想の記事です。



この「ラブ・ネバー・ダイ」ですが、「オペラ座の怪人」から10年後

という設定で話が進みます。

ちなみにネタバレはしないで記事を書きますね。

オーストラリア版の舞台はDVDが発売されていますし、

もしも再演になった時(ぜひ希望!)に観る方の楽しみのためにも。


舞台はパリではなくアメリカのニューヨーク(コニーアイランド)に移っています。

前作で死んだと思われたファントムですが、実はアメリカに逃れて生きていました。

そこに、パリ・オペラ座の歌姫となったクリスティーヌが渡米してきます。

実は夫のラウルが作った借金を返済するため、多額の報奨金と引き換えに

歌うためにやってきたのですが、ファントムが巧妙なワナをしかけてきて…

そこにファントムを助ける為に10年前に共にアメリカに渡ってきた

マダム・ジリーと娘のメグ・ジリーの思惑も絡む展開となります。

途中で判明する衝撃の事実、そして哀しいラスト。

私は素直に感動しました。


確かに続編という割には「オペラ座の怪人」とは矛盾する点もあります。

この矛盾点が受け入れられない、という方も多い様です。

(詳しく書くとネタバレになるのでもどかしいのですが…)

全体の楽曲のスケール感も一回り小さいかな、とも感じますが、

ロイド=ウェバーの美しいメロディーラインは素晴らしいですし、

「オペラ座の怪人」の曲と対比させて作られていると思われる楽曲も面白いです。

そして何より、時折流れる「オペラ座の怪人」の様々な曲のフレーズが

無理なく今作につながっていると感じます。


実は私、今は廃盤になってしまった劇団四季の市村ファントム版CDを

持っておりまして、それこそ全曲ソラで一緒に歌えるほど

何年も何年も聞き込んでおりました…(^_^;)

ゆえに、ほんの少しのフレーズでもわかる次第(笑)

でも別に前作の曲を覚えていなくても十分楽しめますよ。

ただ、一度も「オペラ座の怪人」の舞台(もしくは映画)を

観たことが無い方では理解しにくいお話であることは事実でしょう。


でも私が今回の作品をすんなりと受け入れられた最大の理由、

それはもう市村ファントムにつきます!!

幕開けからすぐにファントムのソロがあるのですが、この時の市村さんの声が

25年前のCDとほぼ変わらないという、脅威の歌声だったのです!

それに黒燕尾服にオールバック、白い仮面のファントムのゾクゾクする色気…

一気にタイムスリップしてしまいましたよ!

前作にも使われたフレーズを歌われた時には、涙が出そうでした。

おりしも公演は「オペラ座の怪人」初演と同じ日生劇場。

つまり、市村さんのファントムだったから無理なく前作から

10年後を描いているのだ、という感覚になれたのです。

なぜなら声だけでなくファントムの役柄の解釈が同じだったから。

そして衝撃の事実が分かった時のファントムの苦悩の心情も、

こちらの心にビンビン響いて痛くなるほどの演技。

「オペラ座の怪人」を演じていたからこその表現だったと思います!


パンフレットによると、市村さんの中にはファントムが宿っていて

稽古するたびに彼が呼び起された、という談話が載っています。

そして、「オペラ座の怪人」にまつわるミュージカルは他にも沢山あるけれども、

ロイド=ウェバー作品しか演りたくなかった、とも話しています。

そうなんだ~!

確かに他の演出の「オペラ座の怪人」の市村さんは想像出来ない!

それはご本人も同じ気持ちだったんだ、とファンとしては嬉しい限り(^-^)

様々な条件が重なった巡り合わせとはいえ、市村さんもまた

ファントムを演じる事が出来て嬉しかったのだと思います。



1988年、劇団四季は「オペラ座の怪人」を日生劇場で初演しましたが、

私は幸運にも初日からまもなくして公演を観ることが出来ました。

 オペラ座の怪人:     市村正親

 クリスティーヌ・ダーエ: 野村玲子

 ラウル・シャニュイ子爵: 山口祐一郎

あの時の感動は今でも忘れられません。



上の写真は、左が「オペラ座の怪人」初演時のパンフレットで、

右が今回の「ラブ・ネバー・ダイ」のパンフレットです。



当時、市村さんはまだ39才でした。

なんと驚くなかれ、市村さんは当初はファントムではなく

ラウルの役でオーディションを受けていたのです!

それが、確か招聘した演出家の助言でファントム役に変更したと

当時のインタビュー記事に載っていたと思います。

確かに、ロンドン初演のファントム役の方と市村さんは

声のトーンが高くてとてもよく似ています。

結果、情感たっぷりの素晴らしいファントムが出来上がったのですね。

翌年の再演時には40代となり、なぜかホッとしたなんて感想も漏らしていました。

ファントムは屈折しているけれども円熟した男だという解釈だったのでしょうか。





初演時のパンフレットからちょっと拝借。

市村さんのお若いこと!(笑)

メイキングシーンの写真なんかもあるんですよ。


その後、四季版のファントム役は様々な俳優さんが演じられています。

私も市村さんを含めて全部で4人のファントムの舞台を拝見しましたが、

2005年を最後に「オペラ座の怪人」は観ていません。

ラストシーンのクリスティーヌとファントムの気持ちの解釈が

初演時と変わってしまった様に思えて、

どうも私には受け入れられなくなったからです…

でもそれはあくまでも私が観た解釈であって、

四季側は何ら変えていないのかもしれませんが。

つまりは、ネットリした市村ファントムで見慣れていたので、

他の役者さんのあっさりファントムには満足できなかったのかも(笑)


市村さんは他のファントム役者と比べても

相当声のトーンが高くて歌い方にもクセがあります。

(そこがイイんですけどね!)

どうやらその声の高さが、現在の四季のファントムを見慣れた方々には

受け入れられない様です。残念な事ですが…

それに市村さんも今年で御年65才!

ダブルキャストの鹿賀さんだって64才ですからね~

私は鹿賀さんのファントムは観ていないので

感想は申し上げられませんが、確かにファントムを演ずるには

お二人とも年齢は高めかもしれません。

でも、演技はそれを補って余りあると思いますよ!!!



実はこの公演、明日4月27日が千秋楽です。残念!

クリスティーヌはミュージカル初出演の平原綾香さんと、

劇団四季出身の濱田めぐみさんの両方を観ることが出来ました。

お二人とも素敵でしたよ。

平原さんは、大ヒット曲「Jupiter」の低音のイメージをくつがえし、

素晴らしいソプラノで作中の名曲「ラブ・ネバー・ダイ」を熱唱!

年齢的にも「オペラ座の怪人」から10年後のクリスティーヌに

丁度合っていたと思います。

またぜひ挑戦して欲しいです。(また観たい!)

濱田さんは四季時代の舞台は拝見していないので初見でしたが、

彼女のクリスティーヌは大人で、市村ファントムと並ぶと

こちらがドキドキしてしまう様な色気を感じてピッタリでした!

四季時代には「オペラ座の怪人」には出演されなかった様ですが、

確かにあの作品のクリスティーヌを演ずるには声質が太すぎるかも。

他の作品でも観てみたい女優さんです。


それからマダム・ジリーの鳳蘭さん!

これまたクセのある歌い方に賛否両論ある様ですが、

宝塚のトップスター時代を知っている私にとっては何ら問題なし。

つまりは昔のままだから。

でもロイド=ウェバーの曲には苦戦された様です。

たださすがの存在感で、マダム・ジリーの不気味さの表現は抜群でしょう。


それからクリスティーヌの子供役で加藤清史郎くんが出ていたのですが、

彼はこの4月で中学生だそうですね。

ボーイソプラノは声変わり直前が一番美しく響くんですよ。

彼は「レ・ミゼラブル」のガブローシュ少年役でも拝見した事があるのですが、

今回の歌も演技も素晴らしかったです。

でももう声変わりで子役も最後でしょうね…

いつか、「レ・ミゼ」のマリウスとかアンジョルラスを演じる日が

来るのかどうか、楽しみにしたいと思います!


鹿賀さんは公演途中で2度ほど体調を崩して

市村さんが代役をされた様ですが、大丈夫でしょうか…

チケットが取れれば鹿賀ファントムも観たかったです。

もしもこの作品の再演があっても、鹿賀さんの続投は無いかもしれません。

実は私、なんと偶然にも鹿賀さんが最初に世に出た作品を拝見しています。

同じロイド=ウェバーの「ジーザス・クライスト・スーパー・スター」のイエス役です。

(市村さんもヘロデ王で出演してました!)

当時の私は中学1年生。なんと、通っていた学校の演劇鑑賞会で、

貸切公演として観劇したのです!なんとも太っ腹な学校ですね~

しかもキリスト教系のミッションスクールでもなんでもなかったのに…

当時は「ベルばら」で宝塚にハマっていて、キラッキラの舞台しか観たことが

無かった私にとっては、それはもう衝撃の舞台だったのを思い出します。

(「ジーザス~」の舞台セットにはほとんど色が無いのです)

実は「ジーザス~」のオリジナルキャストのイエス役の方が、

つい最近まで現役でジーザスを演じていらっしゃったので、

もしかしたらいつか鹿賀ジーザスの再演も観られるかも…

なんて思っていたりします(笑)



久しぶりに書いたんで、とりとめのない文章になってしまった…

長くなるのはいつもの事ですけど(笑)


ともかく、私としては市村ファントムの素晴らしさを少しでも

世に残したいと思って書きとめました。

あの声をすぐそばで聞けるなんて、篠原涼子がチョピッと

うらやましく思えてしまったさ~

もしも再演があるならぜひともまた市村さんのファントムで観たい!

でもスケジュールがかなり先まで埋まっている様なので難しいかもしれませんね。

もしくは他の俳優さんが演じられるかもしれません。

四季出身の山口さんとか、石丸さんとかでも聴きたいけれど、

ホリプロ主催の公演なので、事務所が違うと難しいかなぁ。


ホリプロさん、どうか公演のCDを出して下さいまし。

観劇した日から、頭の中で市村さんの歌声がグルグルしています。

市村ファントムよ、もう一度!!!



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