漢方の世界は知れば知るほど面白いですが、今日は卵黄入りの漢方薬ー黄連阿膠湯をご紹介します。

 

黄連阿膠湯(オウレンアキョウトウ)はもともとは後漢の名医張仲景の処方からです。昔、中国である若い女性が原因不明の不眠や不安に苦しみ、夜になると胸がドキドキして眠れず、死んでしまいたいとまで思うようになりました。家族は心配して有名な医師・張仲景(ちょうちゅうけい)に相談しました。張仲景は彼女の脈を診て、「これは体が弱っているせいで心に虚火が燃え、心と体がかき乱されているから起きた」と説明し、黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、芍薬(しゃくやく)、阿膠(あきょう:ロバの皮から作られたゼラチン)などが入っている漢方を処方しました。女性は飲み続けるうちに夜ぐっすり眠れるようになり、死にたいほどの不安も少しずつ消えていったといわれます。

 

唐の時代のある医師が「患者が不眠と不安で衰弱している」とき、上の処方に卵黄を溶き入れて与えました。卵黄は「体に潤いと栄養を与える」性質があり、消耗した体や心を補う働きがあるとされます。

 

今日本で製造販売されている黄連阿膠湯には卵黄粉末が入っています。不眠や不安だけでなく、顔の真っ赤な湿疹にも、鼻血にもよく使われています。