人間にもいろんな性格があるように、食べ物にもそれぞれ性質があります。食物や薬物がもっている特性を薬性といいます。薬性を一般には四気五味とも称します。四気とは、食物と薬物は寒・熱・温・涼の4種の異なる性質を指します。食物が体内に入ってから、体をかくし、興奮させる作用があるものは熱性あるいは温性といいます。胡椒、にら、ねぎ、しそ、羊肉、牛肉などは温性、熱性の性質を持っています。逆に食物が体内に入ってから、体をやし、鎮静の作用があるものは寒性あるいは涼性です。苦瓜、すいか、ほうれん草、ビール、昆布、薄荷などは寒性あるいは涼性の性質を持っています。

 薬膳を処方するとき、食物のこの性質をうまく利用して、患者の病気の性質である「熱証(熱邪の侵入、あるいは機能や代謝が過度に亢進したことにより生じた証候。その症状としては、口が渇いて水をよく飲み、冷たい飲みものを飲みたがり、発熱し、いらいらして、顔は赤い、便秘がちで、小便は少なく色が濃いなど)に対応させて、寒・涼の性質をもった食物や薬物―菊花、薄荷、スイカなどを用いると、症状の緩和が期待できます。

 また、患者の病気の性質である「寒証」(寒邪の侵入、または人体の機能や代謝が過度に減退したことにより生じた証候)には、温・熱の性質をもった食物や薬物、たとえば紫蘇葉、生姜、ねぎなどを用います。
 このほか、食物や薬物で著しい寒・涼・温・熱の性質はなく、比較的におだやかなものを「平性」といいます。米、さといも、蜂蜜、しょうゆなど。「寒証」でも「熱証」でも使えます。