#201 うつ病発症13日目・発症後346日目 ~どうか逃げて,どうか生きて~ | サラリーマン弁護士がたまに書くブログ

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2019年7月にうつ病を発症したことをきっかけにブログを始めたサラリーマン弁護士が、書きたいことをたまに書いています。

今日で20代が終わります。10年前に始まった20代が今日で終わってしまい,もう一生戻ってこないと思うと,非常に寂しい気持ちです。時間が止まることなく進んでいることを,誕生日は特に実感します。

 

ちなみ,今晩は何も予定ありません。家でゆっくりYouTubeでも見ます。

 

さて,今日もうつ病経過を記録していきます。(第1回目はこちら。第2回目の大事なのでこちらからどうぞ)

 

【過去のこと・思い出したこと(発症13日目)】

・7月22日㈪:昨日のブログでは,僕の幼い部分・黒い部分を見せてしまいましたが,今日は少し「イイ奴」要素多めです。

 

昨日までのおさらいとしては,うつ病発症後に熊本県の実家で6日間療養したにもかかわらず,愛知県刈谷市の自宅へ戻った途端に不眠症状がぶり返してしまったわけです,僕は。昨日のブログで,かなり色々と思いをぶちまけましたので,そちらを読んでいただきたいですが,今日は,その続きの経過からお話しします。

 

「どうしたらいいかわからん」と泣きじゃくった僕は,「何も考えずに戻ってきなさい」という母の言葉に助けられ,午後3時22分に自宅を出て,空港へ向かいました。午後4時30分に小牧空港に到着し,搭乗手続きを済ませました。

 

搭乗手続後,事務所に電話しました。「しばらく休みます。復帰がいつになるかはわかりません」と伝えるためです。電話をかけ,このことを開口一番に伝えることができました。「ドクターが休んだほうがいいと言っているから」という休む理由も伝えられました。「今は空港にいます。携帯の電源もしばらく切ろうと思います」とも伝えたような気がします。あまり記憶が定かではありませんが,とにかくきつくて仕事なんてできそうな状態じゃなかったことは覚えています。事件の引継ぎもろくにできていないのに,「もう電話もつながるかわかりません」なんて電話で言われて,なおかつ,熊本に戻ってしまわれたら,事務所としては非常に迷惑だとは思いますが,そうするしかないほどに,僕は追い込まれてしまっていました。

 

「うわぁ」と落胆した上司の声が電話口で聞こえましたが,そんなのを気にしてる余裕はありません。「それはうちを辞めるということ?」という質問も聞かれましたが,「それも考えてます」と答えるので精一杯でした。

 

※後日きちんと「辞めるつもりはありません」と書面で正式に事務所へ伝えています。

 

僕が伝えたいのは,こういう,逃げるための具体的な方法です。「携帯電話の電源切ります」「物理的に遠くなります」という2つを実践することが大事です。これで,会社も諦めざるを得なくなります。「携帯電話の電源を切られてしまえば,連絡をとる手段がなくなってしまうし,物理的に離れてしまえば,自宅を訪れて説得もできない」からです。

 

で,おそらく,多くの方が恐れているのは,解雇だと思います。逃げたら解雇されてしまうんじゃないか?収入を失ってしまうのではないか?そういった不安・恐怖があって,逃げることを躊躇してしまい,取り返しのつかないこと=自殺まで追い込まれてしまう人が後を絶たないわけです。

 

ただ,ご安心ください。法的には,仕事が原因で発症した病気の療養を理由に,療養に必要な期間一切切働かなかったとしても,解雇が認められることはありません。僕のようなうつ病の場合,その治療のために長期間の休養が「医学的に」必要になります。そういった場合,長期間の療養を理由に解雇することは,まず認められないでしょう。僕も,今日で346日間も働いていませんが,これくらい長期間の休職であっても,それが必要なものであれば(僕の場合は間違いなく必要ですが),長期間の休職を理由に解雇することはできません。

 

しかし,解雇されないとしても,給料がもらえなければ意味がありません。そのため,次に,具体的な収入をどうするか問題が出てきます。僕の場合,事務所=使用者が強要した過大な業務量,そして,業務時間外に電話やLINEで執拗に報告を求められ,叱責されるというパワハラが主たる要因となって,うつ病を発症し,仕事に従事することができなくなっています。この場合,仕事ができなくなった原因が使用者にあるので,法的には,給料の全額が支払われなければなりません。

 

そうじゃないと,給料を払いたくない使用者が,従業員をうつ病に追い込んで休職させ,給料の支払いを免れる,なんて横暴が許されることになってしまいますからね。僕のように,使用者自身の責任で従業員が働けなくなった場合に,使用者が給料の支払いを免除されることはありません。

 

しかし,使用者としては,働いてもいない従業員の給料は払いたくないでしょう。一切働いていないので,全く売上に貢献していないわけですから。それと,「使用者の責任で働けなくなった」と従業員は思っていても,使用者も同じように思っているとは限りません。「使用者の責任じゃない」「従業員が勝手にうつ病になったんだ」と思っている場合もあります(というか,そういう場合が多いと思います)。

 

そういった,「自分は悪くない!」と使用者が思っている場合,給料は払われないでしょう。「自分は悪くない!」と思っている使用者に無理やりにでも給料を払ってもらおうとするなら,裁判を起こすしかありません。しかし,裁判をやっている間も,どんどん時間は経過していくわけで,その間の生活費を確保する必要があります。

 

こういったときに使うのが「傷病手当」という制度です。皆さん,保険証持ってますよね。保険証を持っていると,3割負担で病院を受診することができることは皆さんご存知だと思いますが,この保険証の特典は,「3割負担」だけじゃありません。「働けなくなった時に給料の3分の2をもらえる」という特典もあるんです。これが「傷病手当」という制度です。

 

「給料の3分の2」と書いたことからわかるとおり,この特典がある保険は「給料をもらっている人」つまり社会保険の加入者に限られます。社会保険ではなく,国民健康保険に加入している人は,「給料」をもらっていませんから,傷病手当はもらえません。「所得の3分の2を支給する」みたいな制度も,国民健康保険にはありません。国民健康保険に加入している人は,自分が働けなくなったときの収入を確保するために,別途自分で民間の保険に加入する必要があります。

 

日頃,給料から源泉徴収(天引き)されている社会保険料は,けっこうな金額だと思います。「全然病院にも行かないのに,3割負担のためだけにこんなに保険料払いたくないわ!」なんて思っているサラリーマンが多いと思いますが(#完全に僕のことです),その保険料は,3割負担のためだけじゃなく,働けなくなった時の補償も含まれているのです。僕も,社会保険料払っていてよかったなと思いました。

 

こう書くと,「じゃあ,働けなくなったら,傷病手当と給料の両方もらえるの?」と思う人がいるかもしれません。「使用者の責任で働けなくなった」場合は,働いていなくても給料を払わなくちゃいけないわけですから。でも,直感的に「そんなうまい話ないよな」と思う人も多いでしょう。その直感は正しくて,傷病手当を受給した場合は,その受給額を差し引いた分の給料しか支払われません。

 

こういう風に,仮に「逃げた」としても,多くの人が想像するほどには,収入面で困ることはありません。「解雇」もできないし,収入も「傷病手当」で確保できるからです。しかし,法律上解雇できないとはいえ,無理矢理解雇を通知してくる使用者もいます。そうやって,形式的には解雇された場合でも「傷病手当」は受給できます。ただ,傷病手当の申請には,使用者が印鑑を押さなきゃいけない書類があって,その書類に使用者が印鑑を押してくれない場合があります。「自分は悪くない」「従業員が勝手に休んでいるんだから,勝手に休んだ従業員を解雇するのは当然」「解雇した従業員の傷病手当受給に協力する必要はない」という理屈です。

 

この場合,傷病手当受給に必要な書類が足りないので,傷病手当は受給できなくなってしまいます。そうすると,失業保険を受給することになります。少なくとも失業保険は受け取れるので,収入面を必要以上に気にしなくていいのです。

 

ちなみに,僕の場合,7月22日に事務所で話した際に,「しばらく休むんですが,給料はどうなるんですか」と投げかけ,「2か月分は払うよ」と言われたので,8月分と9月分の給料は支払われました。10月分以降の給料の支払いを求めるためには,裁判を提起して「使用者の責任で働けなくなった」ことを立証する必要があります。おそらく,使用者=事務所としては,「使用者の責任で働けなくなったわけではない」という主張をしてくると思われます(「使用者の責任で働けなくなった」と思っているのであれば,10月分以降も給料を払うはずなので)。この反論を覆すだけの立証ができなければ,裁判で負けてしまうということです。

 

僕は現在傷病手当を受給していますが,今のところ,給料全額の支払いを求める裁判を起こすかどうかの結論は出していません。自分の体調がまだ完全には回復していないので,結論を出すには早すぎると思っています。うつ病の治療中には大きな決断をしないこと。これも大事な心構えです。

 

いろいろと法律の話を書いてしまいたが,僕が強調したいのは,「逃げる方法」です。「逃げても解雇されない」「逃げても収入は確保できる」という知識を身につけた上で,「携帯の電源を切る」「物理的に職場から離れる」という2つを会社に宣言し,実際に離れてしまう。こうやって,逃げることができるんです。自分にとって,かけがえのない自分のフィジカル(身体)とメンタル(精神)を守ることができるんです。

 

ね?意外と簡単でしょ?

 

会社に電話で伝えるのも難しいなら,メールでもLINEでも手紙でもいいです。全くの無連絡だと,会社に解雇の理由を与えることになります。「一切連絡がとれない」という状態が続いてしまうと,法的にも,解雇を認める余地が出てきてしまいます。

 

「携帯の電源を切る」「物理的に離れる」こういう,最終手段があることを忘れないでほしいです。こんな最終手段をとっても,人生どうにかなります。生きていけます。自分の身体と精神よりも大切なものなんて,この世界に1つもありません。それを忘れないでください。

 

僕が伝えたいのは精神論じゃありません。「あなたには生きる価値がある」なんて精神論は,自殺を本気で考えてしまうほど追い込まれ,正常な判断力を失った人には無意味です。

 

「逃げても法律に照らして大丈夫」という,確固たる知識が,最後の最後で踏みとどまらせてくれるのです。精神がめちゃくちゃになり,精神論が通用しなくなったとき,自分を制御できるのは知識です。

 

この知識があったから,僕は逃げることができました。法律の知識を身につけてください。その知識は自分を助けてくれます。

 

そして,

 

どうか,逃げて。

 

どうか,生きて。

 

→今日はここまで

 

【今日経験したこと・経験して考えたこと(発症346日目)】

・今日できた仕事・勉強

今日は出勤しました。今日読んでいたのは『デジタルネイティブの時代』(木村忠正,2012年)です。時代背景的に,Twitterが出てきたばかりの時代が舞台です。Twitterが,Facebookやミクシィ(!),メールとは異なって,「返信しなきゃ」などの「空気を読む」圧力にさらされないので,日本で爆発的に普及したことが描かれています。あと,Twitterが普及した背景として,日本人が極端な安心・安全志向となっていて,不安定・不確実を嫌う傾向があるとも書かれてていました。こういった不確実性回避傾向は,せっかくのネットワーク情報技術の発展を阻害していると著者は危惧しています。

この指摘は最もだと思います。この本,途中で分析手法がくどくど書いてあって,その部分は全然おもしろくないんですが,↑に書いた最後の結論部分は非常に共感します。僕自身も,拝金主義のもと,極端な安心・安全志向でした。ただ,コロナが明らかにしてくれたように,これからの時代は,どんどん常識が入れ替わります。つい昨日まで「安心」と思っていたものが,今日は違ったりしてしまう。そういう時代に僕らは生きていくわけで,不確実を回避していたら生き残れません。安心ばかり求めていたら,最後に待っているのは,マクドナルドでポテトをあげながら,日銭を稼ぐ未来です。

 

やりたくもない仕事しか残されていないけど,その仕事をして生きるためのお金を稼ぐしかない。それが,安全志向型人間のたどる未来なのです。

 

僕は,今の時点でこのことに気づけてよかったです。変化を受け入れ,楽しみながら,自分だけの幸せを追い求めて,これからの人生を生きていきます!

 

・仕事・勉強以外に今日やったこと

特になし!

 

【今日のうつ病】

昨晩は11時10頃に布団に入りました。寝つきはよかったのですが,途中で1度目が覚めたような気がします。とはいえ,知らぬ間に7時30分のアラームがなっていました。よく眠れたと思います。特に意欲低下もありませんが,それほど絶好調というわけでもなく,まあ,ぼちぼちといった感じです。

 

今日もブログ書けてよかった!

それではまた明日!

 

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