盛岡食いしん爺日記
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ある人とランチの後のひと休み。
盛岡のアーケード街ホットライン肴町のすぐ近く、茶廊「車門」へ。
東日本大震災時にも皿一枚も割れなかった堅牢な蔵。
屈強な柱や梁が揺れから守った。
先日、ニュースで香港の高層マンション群の火災を見た。
黒煙を放つ朱色の炎は魔物そのものだった。
現実とは思えない映像だった。
川越など蔵の街は、大火の教訓として造られたそうだ。
秋田県の角館、増田町で分厚い扉の蔵を見た時、
確かに炎に負けないだろうと思った。
日本人の知恵が作り上げた傑作の一つなのだろう。
車門の白壁に紅葉が映える。
盛岡、日本の晩秋の原風景を見ている気がした。
この中で珈琲を味わうのもなかなかの贅沢。
Henry Mancini - Lujon (Official Audio)
厚い扉に頑丈そうな鋲。
見落としてしまいそうな所に車輪。
「車門」の名前の由来だろうか。
店の方に聞こうと思うが、
いつも珈琲を飲むうちに忘れてしまう。
変わらない落ち着く雰囲気。
「お二階へどうぞ」
階段を上る。
漆黒の柱や梁に囲まれていると、心が穏やかになる。
山懐の森で空に向かっていた樹の魂がしっかり空間を支えている。
白いレースが陽光をほどよく受け入れる。
光と影。
サグラダファミリアで知られるスペインの建築家ガゥディは言った。
「強すぎず、弱すぎもしない光が物体を美しく見せる」。
本を読む人、
楽し気にお喋りする人、
スマホを見ては珈琲を飲む人。
今日も多くの人で賑わっている。
ランチの時間は過ぎたが、
人気のハヤシビーフライスを食べる人もいた。
未体験だがピザトーストやスイーツのメニューに、
黒パフェ、赤パフェ、緑パフェやあんみつもなどもあり人気らしい。
黒、赤、緑とくれば並べて食べてみたい。
近頃はあまり聞かない「純喫茶」。
確かアルコールを出さない喫茶店だったと思うが、
今、純喫茶と聞けば老舗でレトロな感じの喫茶店が浮かぶ。
明治に洋装店だったらしいハイカラな建物の隣に建てられた蔵。
その後、昭和の20年代後半に喫茶店として始まった。

一緒の人は「くろごましるこ」。
車門に行くと決めた時から、頭に浮かんだそうだ。
期間限定で秋から冬にかけて味わえる。
長く伸びる餅にも胡麻がふりかけられている。
好みで黒く甘いしるこに黒蜜の追い打ち。
その人は蜜をたっぷりかけた。
スマホで検索すると、
黒ごまは栄養がたつぷりらしい。
抗酸化作用があり老化防止や生活習慣病の予防。
セサミンもたっぷりで髪にもよい。
血行促進や腸内環境を整えてくれる。
美肌効果もあり、滋養強壮、心臓病予防なども。
効果を引き出すためには食べ方が大切だ。
摺りごまやペーストがよいとされている。
ピッタリだ!
食べている人に言うと、知り尽くしていた。
好きな深煎りの珈琲を飲んでいると、
箸とスプーンの手を止めて、
「美味しくて、なんだか芯から温まってきます」
と言う。
巷ではインフルエンザが大流行。
こんな時にこそ、
美味しくて栄養たっぷり「くろごましるこ」。
蔵の中で真っ黒のごまを食べる。
日本の人の知恵は素晴らしい。
今年の冬は、何度か「くろごましるこ」を食べに来ようと思った帰り道。
盛岡市肴町
「茶廊 車門」















