盛岡食いしん爺日記
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8月最後の日。
県外から花巻の実家に親戚がやって来た。
9時半には盛岡を発った。
久し振りに会う従弟の長女とその娘。
その日の実家は賑やかだった。
子供達の声、大人たちの笑い声。
テーブルにはたくさんのお土産。
仲のよかった従弟は50代始めに逝ってしまった。
亡くなる少し前、喫茶店で珈琲を飲んだ。
手術後に退院し、顔色もよかった。
昔話をしていた。
そろそろ帰ろうと思った時、真っすぐ私の目を見て言った。
「娘たちを頼む」
しばらくして入院したとの知らせがあり、
見舞いに行った時は、もう起き上がれなかった。
私は何もしなかったが娘たちは立派な社会人となり、優しい母である。
その日、十年ぶりぐらいに話した長女は、
40代も半ばになったと言う。
実家では昼に鮨を用意していた。
近所の寿司正で、以前にいつ食べたか忘れてしまった。
食べながら、昔はよく大勢でテーブルの鮨やご馳走を囲んだ。
子供達だけのテーブルがあり大人たちはビールを飲んでいた。
Answer Me (Live) · Keith Jarrett
従弟の長女は宮城県から娘を連れ、
一関に住む彼女の母と車で来た。
つまり従弟の妻と孫も一緒だ。
従弟は私より3才年上で、小学校は一緒だった。
皆に運動会で見た従弟の話をした。
その小学校は校庭を校舎がぐるりと囲んでいた。
直線で100メートルはとれず、Jの字の様にカーブしていた。
彼はスタートから抜け出し、一人皆を引き離す。
7,8メール先を行く。
カーブにさしかかると派手に転んだ。
眉間に皺を寄せて悔しそうな顔。
直ぐに起き上がり追いかける。
数人を抜き去るものの4、5番目でゴール。
同じ様なシーンを2度見た。
「とても足が速かった。」と言った。
すると、彼の娘が言った。
「お父さんには運動するイメージがなかったんです。初めて聞きました。」
と言っていた。
従弟の奥さんがたくさんの葡萄と一関のお菓子を持ってきた。
懐かしい一関の松栄堂の銘菓「田むらの梅」。
梅餡を求肥で包み、紫蘇で巻いたお菓子だ。
子供の頃は、美味しさを知らなかった。
珍しいスティックのフィナンシェも。
色々な風味を楽しめる。
一関の菓子工房シェルブール。
初めて聞く店だ。
美味しい~
従弟の長女もお土産を持ってきた。
柿の種を越えた柿の種。
食べ始めると、とまらないではない。
今度は近所の和洋菓子店リリーのケーキが並んだ。
いつの間にか子どもたちはテーブルに座り込んでいた。
ケーキに葡萄がのっていたが、
子供達がお土産の葡萄ものせた。
なるほどと感心。
親戚が集まり、
鮨やケーキ、お菓子を食べながら弾む話。
とても賑やかな日だった。
盛岡への帰り道に思った。
従弟の娘の横顔は、小学時代の頃の彼によく似ていた。