盛岡食いしん爺日記
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よく通っていた店に遠ざかることがある。
盛岡のアーケード街ホットライン肴町にある
「㐂作(きさく)」もそうだ。
飲み会の後やランチ、
遅くなった夕飯にも訪れていた。
以前はバスセンターの近くにあったが、
だいぶ前に移った。
久し振りに行きたくなった昼下がり。
Days Of Wine And Roses · Frank Sinatra
近頃の盛岡は連日雪。
積もってもせいぜい数センチ。
昼頃には溶けてしまう。
真冬とは思えない春の雪の様だ。
ホットライン肴町の真ん中辺りに「御幸(みゆき)新道」がある。
明治期、天皇が全国を巡行され、盛岡も訪れた。
その時、宿泊所として行在所(あんざいしょ)が造られ、
向かう路も作られた。
それが「御幸(みゆき)新道」。
名を刻んだ石の塔の周りに自転車が並び、
今は、気にとめる人も少ない。
突き当りに賜松園と呼ばれた建物があったが、
今はこの界隈の老人福祉センター。
当時の面影を残す庭園をロビーから見渡せる。
二度松を賜ったらしいが、
その松は残っているのだろうか?
ここから「㐂作」はすぐ。
中に入ると、
「あら、お久し振り!」
と奥さんの笑顔。
㐂作では、キッチンバスがあり、
災害があれば支援に出掛ける。
数年前の岩泉町の大洪水の際にも行き、
避難した方達に温かいじゃじゃ麺を出し、
町の広報にも掲載された。
「お決まりですか?」
「白と赤の半々のやつ、ありますか?」
「はい、ハーフね」
赤は唐辛子入りで体の芯から温まる。
普通の白と半々。
ここだけの楽しみ。
奥さんが厨房と客席を行き交いながら、
近況を聞かれる。
そうこうしてきた!
徹底的に赤と白と味噌を掻き混ぜる。
いい具合になった。
そうそうこの味だ!
食べ始めると箸がとまらない。
一気に完食。
今や盛岡のソウルフードじゃじゃ麵。
盛岡界隈にはたくさんの店があり、
それぞれ微妙に違う個性がある。
暮らす人は好みの味の店に行く。
前に「㐂作」の名の由来をマスターから聞いた。
そんなに凝って付けたわけじゃなく、
関東にいた頃、
よく行った店の「㐂」の字が好きだったからと話していた。
完食して玉子を落とす。
またよくかき混ぜる。
スープを注いでもらいチータン。
後は好みで味噌や生姜、ニンニクを入れる。
ランチ時に訪れるお客さんも色々。
中華そばやもやしラーメンも人気だ。
ネクタイ族、お年寄りにОL風の人。
みんな思い思いに食べている。
昔は飲み会の〆に来てビールを一杯飲んでミニを食べる。
それがルーティンだった。
自分のライフスタイルが変化し、
よく行く街も変わってきた。
ふと4、5年前のことを思い出した。
中華そばを食べているおばあさんに、
「病院の帰り? 今日はどうだった?」
「それがね・・・・・・」
と話は続く。
本当に気さくな店だと思ったものだ。